「トヨタモビリティ富山Gスクエア五福前(五福末広町)」電停に入る市電=富山市

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 富山市内を走る富山地方鉄道の路面電車(市電)に2021年1月1日、日本一長い駅名の電停が誕生した。その名も「トヨタモビリティ富山Gスクエア五福前(五福末広町)」。表記は25文字、読み仮名は32文字。実は以前の名称も長さでは日本一だったことがあり、今回約9カ月ぶりに「首位奪還」を果たした格好だ。一方、周辺では文字数が多すぎるために意外な影響も出ているようだ。

【写真】片仮名や漢字、アルファベットまで入る25文字の駅名

トヨタ系販売店の統合で名称誕生

 日本一長い名称は、命名権(ネーミングライツ)を持つ富山トヨペットが、富山トヨタ自動車、ネッツトヨタノヴェルとやまの3社が合併し、1月1日に新会社「トヨタモビリティ富山」となったため、生まれた。Gスクエア五福は販売店名で、店舗は電停の目の前にある。

嵐電から9カ月ぶり「首位奪還」

 旧名称の「富山トヨペット本社前(五福末広町)」(表記17文字、読み仮名24文字)も2015年3月の改称時点で日本一だったが、京福電気鉄道(京都府、通称嵐電)北野線が2020年3月に改称した「等持院・立命館大学衣笠キャンパス前」(表記17文字、読み仮名26文字)に、読み仮名でトップの座を明け渡していた。

 HPや地図表記を順次変更

 一方、日本一長い名称に思わぬ影響を受けている施設がある。電停から歩いて約10分の富山県水墨美術館だ。市電を利用して訪れる県外の観光客は多く、ホームページ(HP)やパンフレットなどの印刷物の表記も順次、新しい電停名に変更していくという。厄介なのが、企画展ごとに作成するA4チラシ。ただでさえ小さいアクセス地図に、日本一長い名称を入れる作業はひと苦労で、若松基副館長は「文字は小さくなり、印刷しても見えるかどうか。省略もできないし、困りましたね」と苦笑いする。通学で利用する生徒が多い富山商業高校も、新年度以降にHPや学校要覧などの地図上表記を変更する予定という。

かつては射水線の廃線駅名「新富山」

 もともと同電停は「新富山」の名称で市民に親しまれ、1980年に廃線となった富山地鉄射水線の駅名にも使われていた。ところが2015年3月の北陸新幹線開業に伴い、市電やJRから分離された並行在来線の「あいの風とやま鉄道」の停留所名がいずれも「富山駅」となり、「新富山」と混同を避ける狙いや命名権制度により、「富山トヨペット本社前(五福末広町)」に変更した歴史がある。

「狙ったわけではないが…」

 日本一をめぐっては、嵐電が駅名を記念した硬券を発行するなどPRに活用。一方、首位に返り咲いた富山地鉄の担当者は「日本一を意識したり、狙ったりしたわけではない」としながらも「全国の鉄道ファンに注目されればうれしい」と話している。

日本一は新幹線の駅名にも

 富山県内にはもう一つ、日本一長い駅名がある。北陸新幹線の「黒部宇奈月温泉駅」(富山県黒部市)だ。新幹線の駅名では「かみのやま温泉駅」、「さくらんぼ東根駅」(いずれも山形県)と並んで文字数1位、読み仮名は11文字で最長となっている。

富山には6鉄軌道事業者

 富山県内には、富山地鉄をはじめ、JR(新幹線、高山線、城端線、氷見線)、あいの風とやま鉄道、万葉線、黒部峡谷鉄道、立山黒部貫光と鉄軌道事業者が6つもあり、全国でも有数。電車やトロッコ、ケーブルカーといったさまざまなスタイルの車両が走り、愛好家から「鉄軌道王国」とも呼ばれている。コロナ禍がひと段落し、2つの日本一の駅名を持つ王国に、全国の鉄道ファンが訪れる日が待ち遠しい。

(まいどなニュース/コノコト)