全仏OPで初めてナダルを破った選手の回想

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ラファエル・ナダル(スペイン)は、「全仏オープン」で輝かしい記録を保持している。2020年に13度目の優勝を果たし、同大会での通算100勝を達成。15回の出場で負けたのはたったの2試合で、最初に彼を破ったのは2009年大会でのロビン・ソダーリング(スウェーデン)だ。そのソダーリングが「全仏オープン」でナダルを倒すことの比類なき栄誉について語った。ウェブメディアEssentially Sportsが報じている。

2009年、「全仏オープン」5連覇を目指していたナダルを4回戦で撃破したソダーリングは当時を振り返り、自身が用いた戦術や戦略について説明。彼は自分の強みを生かし、速く深いショットを打ってナダルを驚かせた。


「僕の計画は、とにかく攻撃的にプレーすることだった。この試合に勝ちたいなら、ラファにポイントの主導権を握らせてはいけないと思ったんだ。先手を打たなければいけないということで、いつもよりも賭けに出ることにした。そうしたらそれがうまくいったんだ。気分的にも本当に素晴らしかったよ」


ソダーリングはまた、ナダル相手に経験した精神面の変化について回想する。試合の前半、ソダーリングは失うものは何もない状態だったが、試合の後半には、失うものしかない状態に変わっていたのだ。


「第4セットのタイブレークをよく覚えている。たしか6-1までリードを広げて、5つのマッチポイントを手にした。その時になって初めて、僕が勝つ見込みが大きくなった。誰もが、その時には僕が勝つと思っただろう。つまり、僕にとっては失うものしかなくなったわけだ。その後、最初のポイントを失ったと思う。彼がもう1、2ポイント取らなくて本当に良かったよ。もしそうなっていたら、僕はちょっと震え始めていただろうからね」


ナダル相手に大番狂わせを起こした後、ソダーリングは謙虚になって次の試合に集中するよう最大限努め、大会最終日まで会場に残ろうと試みた。


「喜び過ぎないように本当に努力したよ。とにかく集中力を保っていたかったんだ。トップシードの選手を倒したことで嬉しくなってしまって、次の試合で気の抜けたプレーをして負けてしまう、みたいなパターンには絶対に陥りたくなかったからね」


ソダーリングは実際に決勝まで勝ち進み、そこでロジャー・フェデラー(スイス)に敗れた。続く2010年、ソダーリングはフェデラーを下して再び「全仏オープン」決勝に進出したが、今度はそこでナダルに敗北を喫した。それでも、彼自身もテニスファンたちも、「全仏オープン」でナダルに初めて土をつけたという彼の偉業を忘れることはないだろう。


(テニスデイリー編集部)


※写真は2011年「全仏オープン」でのソダーリング
(Photo by Alex Livesey/Getty Images)