16日、松山英樹が用具契約を結ぶ住友ゴム工業主催のYouTubeライブ「松山英樹×SRIXON LIVEセッション」に出演し、契約外のドライバーからスリクソンのドライバーに移行した経緯などを語った。そこから見えたのは凄まじいまでのギアへのこだわりだった。
松山英樹がこだわる「見た目」とは? 本人のドライバーを激撮!【写真】
松山といえば、2016年頃まで長らく08年モデルのスリクソン『ZR-30』を愛用してきた。ところが、16年の途中から今年8月の「BMW選手権」までのおよそ4年間、“契約外”のドライバーを使い続けることになる。16-17シーズンに挙げた米ツアー3勝は、いずれもスリクソンではなかったのだ。これについて本人は、コメントを避けてきた。
なぜ契約外のドライバーを使い続けたのか? この日、ついに松山の口から理由が語られた。「タイミングがなかなかなかった。自分のそのとき取り組んでいるスイングとか、打ちたい球があって、当時のスリクソンのドライバーがなかなかフィットしなかった」。スリクソンの松山を担当するツアーレップ、宮野敏一氏と何度も何度もテストを重ね、今年の「BMW選手権」で、ようやくスリクソンのニューモデル『ZX5』を手にすることになる。
「そのとき、自分のティショットの調子がめちゃくちゃ悪かった。飛距離が出るかもしれないという期待もあって、『どうせ悪いんだったら替えちゃえ』というのでスタートしたら3位でした。(方向性は)荒れていましたけど距離は出ていました」。新ドライバーを投入した試合でいきなり3位という好成績も相まって、『ZX5』は大きな話題となった。
松山の要望を聞きながらクラブ調整を続けてきた宮野氏は「本当に厳しい目を持っていますし、(新しいクラブを)使ってもらうまでは長い道のりだと思います。逆にいうとあまり先入観なく、いろんなものを前向きにテストしてくれるので、メーカーとしては頼りがいがある。会うと毎回テストですけどね。終わらないです」と語る。
そんな松山のドライバーへのこだわりとは?「まずは(構えたときの)見た目から入ります。例えば、ドライバーでロフトが少し立っているように見えたら、いまの自分の動きだったら上がらないと思っちゃって、上げる動きになったりする」。構えたときにフェース面があまり見えないドライバーだと上げにいく、逆に見えすぎるドライバーだとフェースをかぶせてしまう。構えたときの見た目で体が反応する。「それはアマチュアも同じ」と松山は言うのだ。
「自分が(構えて)見たときに(フェース面が)ストレートに見えて、これくらいの弾道でちゃんと飛んでくれそうっていうのをまず見ますね」と松山。この厳しい基準をクリアしないと、ボールを打つところまでいかずにはじかれる。
「BMW選手権」の翌週の「ツアー選手権」の練習場では宮野氏がドライバーのヘッドにペイントする姿があった。「構えたときのシャフトからのフェースのつながりを見ています。それに対するロフトの付き方、ヘッドの後ろのバランスとか、けっこう細かく見る」という松山の好みに合わせるためだ。
以前、宮野氏に松山用のドライバーを見せてもらったことがあるが、ヘッドの真ん中からトゥ側にかけてフェースの上部をクラウンと同じ色に塗り、開いて見えないように工夫していた。しかし、そのヘッドも松山のバッグには入らず。しかし、ひとたびバッグに入れば、世界基準のパフォーマンスを見せてくれるのだ。宮野氏はそこにやりがいを感じている。
「見た目が9割くらい。そのあとにやっぱり飛距離、コントロールできるかどうか」。松山はそういいながら、飛距離の基準に届かずお蔵入りになったドライバーもある。「今年、いくつか試しているドライバーのなかですごく良い1本があったんです。でもちょっと飛ばなかった。そういうものは2度と使われない」と宮野氏がいえば、「一日で終わりました。フェアウェイキープは13回くらいだったけど」と松山はいう。つまり、パー3以外のドライバーを使った14回のうち、13回フェアウェイに飛ぶドライバーでも、飛距離の基準に満たなければ、松山のキャディバッグからすぐに消えてしまう。
さらに難しいのは、松山がドライバーに求めるこだわりが一定ではなく、変わり続けることだ。「打ち手のスイングがちょっと変われば球筋も変わるので、クラブの好みも変わってくる。スイングとの兼ね合いがすごくあると思う」と松山。それに対して宮野氏は「もちろん先読みしないと、後追いだと全然ついていけなくなっちゃう」。これを聞いて松山は思わず、「すいません」と小さな声で謝っていた。
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