レモン産地で“新創業” サステナブルな生産振興と価値創造に本腰 ポッカサッポロ征矢社長が意気込み

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ポッカサッポロフード&ビバレッジは、これまでやや総花的だった飲料・レモン・スープ・大豆チルドの各事業構造を見直し、植物性素材により特化した事業構造にしていく方針を掲げている。この中で主力のレモン事業は、原料産地と原料加工にフォーカスして生産振興と価値創造を強化していく。

11月30日、広島県豊田郡大崎上島町を訪れた征矢真一社長は「レモン事業を新創業させる。今まで加工食品ということでやってきたが、農作物であるレモン自体を勉強して、生産に携わる農家の方々と一緒にレモン事業を伸ばしていく」と意欲をのぞかせた。

同社は13年から国内最大の生産地である広島県と連携し、国産レモンの生産振興を主目的として地域に寄り添った事業活動の体制を構築している。

大崎上島町とは16年4月に包括協定を結び、その後、18年から23年までの5年間、町民約500人が参加して日常的にレモンを摂取し健康状態への効果を確認する産官学連携の「レモン長期観察介入研究」に取り組んでいる。

(左から)征矢真一社長(ポッカサッポロフード&ビバレッジ)と大崎上島町の高田幸典町長(広島県豊田郡)

これについて大崎上島町の高田幸典町長は「私も参加し、昨年の調査で骨密度が上がった。高齢化が進むこの町でも健康維持に期待が高まる。これからも健康とレモンのPR、農業所得の向上にご支援をいただきたい」と語った。

健康志向の高まりで国産レモンの需要が拡大する一方で、産地では農業従事者の高齢化・後継者不足や耕作放棄地が課題となる。大崎上島町では荒廃した田をレモン園に変えて、若い人が携わるなどの取り組みが進行しつつある。

ポッカサッポロも同町の中心部地区で農地を賃借して19年4月にレモンの栽培を開始し、24年に10tの生産量を見込む。同社でレモン事業を担当する土屋淳一氏は「自らが栽培に携わり、農業従事者が抱える課題を理解し、その解決策を地域とともに進めていく。生産環境を永く守っていくこともまた弊社の使命。市場創造だけでなく、社会的な貢献もレモンを通じてやっていきたい」と述べた。

また、同社の大矢修司中四国支社長も「大崎上島町での取り組みについて、取引先企業からの評価や関心も高い。これからもメンバー一丸となってレモンを通じた取り組みを発信していく」と表明した。

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