埼玉県川口市にあるS社の駐車場。吹きさらしの広大な空き地に高級車が並んでいる

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 被害者とのトラブルでマスコミを賑わせた「カーシェア投資」は、運営会社の破産手続開始決定で問題がさらに複雑化している。被害者たちの怒りの声や新証言などその巧妙な手口を暴く!

◆11月20日ついに東京地裁に破産申請

 今回、問題になっている個人間カーシェアリングサービス「スカイカーシェア」は、個人投資家が購入した高級中古車を預かり、ユーザーに貸し出すというビジネスモデルだった。

 ローンや駐車場代などを全額、運営会社が負担し、かつ投資家は契約報酬や貸し出しによる月々の配当がもらえると謳い投資を募っていたが、10月に事業を停止。そしてついに11月20日、「スカイカーシェア」を運営するSERIAS社(以下、S社)と関連会社3社が、東京地裁に破産を申請した。

 今回の「カーシェア投資」騒動は、遡ること約1か月、代表者から投資家の元へ事業停止を知らせるメールが送られてきたことで表面化。投資していた被害者は600人を超えるとされ、社会問題となっていた。

◆途方に暮れる投資家たち…自己破産を考える人も

 事業停止は投資家にとってとどめとなった。というのも、すでに8月頃からS社からの入金はストップしており、投資家の間では存続を危ぶむ不安の声が上がっていたからだ。700万円のローンを組んでレクサスを購入したTさん(30歳)は途方に暮れる。

「残債が540万円も残っています。車は川口(埼玉県)の駐車場にはなく行方不明です。5〜6月に貸し出しという連絡があったので、本当なら戻ってきているはずなんです。しかも、貸し出された場合、売り上げの5%が配当されるという話だったんですが、振り込まれた額はどう見ても5%に届いていない。その直後に事業停止となり、破産ですよ……」

 今回、被害に遭った投資家たちの多くは20〜30代と若い世代だ。年収も特に多くなく、300万〜400万円台が中心。手取り月収二十数万円のうち3分の1から半分近くをローンの支払いに持っていかれるのだからたまらない。

「私は年収350万円なのですが、ローン契約書を見たら700万円になっていた。もちろん、そんな金額は書いていません。毎月の支払額はローンと保険料合わせて8万2000円。S社が破産しても信販会社への支払いは続くので、相当厳しい」(Nさん・32歳)

 前出のTさんも年収は410万円だったが、書類上は680万円と“改ざん”されていた。ローンなどの支払いは月々10万円を超え、現在は自己破産を考え始めたという。

◆報奨金を餌に投資経験の乏しい若年層を釣った?

 このカーシェア投資は、ビジネス系のコミュニティやSNS、友人・知人を通して知り合った運営関係者と中古車の売買契約をし、その管理をS社の関連会社に託すというのが一般的な流れだった。しかし、投資家たちが手にした契約書は別の関連会社のもので、カーシェアの広告宣伝を依頼する業務委託の契約書のみ。にもかかわらず、毎月のローン相当額はS社から振り込まれるという不可解なスキームだった。

今回のカーシェア投資の問題点について被害者の代理人である加藤博太郎弁護士はこう話す。

「今回、低収入の若年層に大きな借金を背負わせているのが問題点のひとつ。契約時に渡す数十万円の報奨金を餌に、投資経験の乏しい若年層をターゲットにしたのでしょう。2つ目の問題点は関連会社が多数あり、お金の流れが非常にわかりづらいこと。そこに相手側の思惑があるのですが、被害者のほうも全体の仕組みを理解できず、結果的に契約書の不審な点にも気づきにくいのです」 契約時に投資家はS社に言われ、若年層にはあり得ない高い年収を偽って記載していた。自動車ローンの融資を行っていた信販会社はプレミアとアプラスが多かったが、在籍確認もほとんどされず、杜撰な貸し付けが行われていた形跡がある。