公開された動画の一場面。熊と遭遇した時の対処法を紹介している(長野県提供)

写真拡大

 もしも熊に出合ったら――。そんな状況で危険を回避するための正しい行動を紹介する動画を、長野県が作成した。全国的に熊の目撃や人身被害が多発する中で、遭遇した時の正しい対処方法を啓発することで被害低減につなげる考えだ。動画を撮影・編集した鳥獣対策・ジビエ振興室は「全国的にも珍しい取り組み」とみる。

 同県では4〜10月にツキノワグマが1327件目撃され、人身被害も10件発生した。ともに同期間では2015年度以降最多となっている。

 動画は、熊の生息調査などをするNPO法人信州ツキノワグマ研究会が監修。山の中を散策している時に、熊と遭遇した場面を再現した。静かに立ち止まり、ゆっくり後ずさりをすることをポイントに挙げている。

 この他、やってはいけない危険な行動として「大声を出す」「物を投げる」「背中を向けて走って逃げる」「写真を撮ろうと熊に近づく」などを例示した。

 動画は動画投稿サイト「ユーチューブ」の長野県ハンター育成学校公式チャンネル「2020長野県ハンター講座」で公開している。

 動画を編集した同室の宮嶋拓郎技師は「動画にすることで、いつでも誰でも視覚的に対処法を学べる。今後は熊に限らず、農業被害が多いカラスなどの鳥獣害対策の啓発動画を作っていきたい」としている。