要請が始まった11月27日、午後8時の様子

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―[キャバ嬢に訊け]―

 現在、第3波に突入したといわれる新型コロナウイルス。感染拡大を受け、大阪府では11月27日より大阪市北区、中央区の酒類を提供する飲食店などに営業時間短縮と、感染症対策を取っていない店に対して休業を要請した。

◆持続化給付金をもう一度

 これを受け、北区にある多くのクラブやラウンジなどが立ち並ぶ歓楽街・北新地では戸惑いの声が上がっている。

 まず、今回の要請を受けて怒りをあらわにするのは、時短営業が確定した北新地のラウンジに勤務する女性。

「大阪の感染者が一気に増加した11月中旬以前よりも、店では閑古鳥状態が続いていました。それほど、北新地の客は自粛していたんです。今、増加している感染者は第3波といわれているのにもかかわらず、リスクを承知で出歩いて感染した人達じゃないですか。それを、私達が感染源のように名指しされて時短や休業を要請されるのは理不尽にもほどがあります。

 そもそも、緊急事態宣言で自粛をさせたあとに『Go Toキャンペーン』で政府が外出を煽ったことで、一気に外出する人が増えて感染者が増えたんだと思います。それなら、最初から自粛なんてさせないほうが良かったんですよね。リスクを背負って出歩いている感染者を政府がわざわざ守る必要があるのかなと。しかも、協力した店には最大50万円の協力金といわれても店には入っても私達キャストには1円も入らない。要請をするなら、持続化給付金をもう一度もらわないと納得できませんよね……」

◆要請は誰も守らない?

 要請開始された初日の夜8時、北新地の本通り(メイン通り)には男性客の姿はほとんどなく、出勤中のホステスと店の前に立つ黒服の姿であふれていた。一方、北新地でバーを経営する男性は今回の要請について「誰も守らないと思う」と漏らした。

「緊急事態宣言のときもそうだったのですが、シャッターは閉めていたけど予約の客がいれば営業する……というクラブやラウンジも多かったので、今回もほとんどの店がそうするんじゃないかと思います。知り合いのクラブのママは、系列店含めて50万円をもらっても人件費にも満たないので『今回は難しい』と話していました。

 うちの店も表向きは21時にクローズしますが、お客さんがいれば延長は仕方ない……と思います。でも、初日にこれだけのテレビクルーが来てしまっているので、営業しづらい空気はありますよね。今日は営業している店も多いですが、12月になるとまた状況が変わるかも知れませんね」

◆6〜700の飲食店が閉店する可能性も

 そんな中、「今年一杯で北新地の数100店舗の店が閉店する」……という、衝撃的な情報を耳にした。話を聞かせてくれたのは北新地のスナックでママを務める女性だ。

「うちの店は時短営業に協力するつもりです。この辺のお弁当屋さんと提携して5000円のお弁当を店で出すようにして、夕方頃から開店して21時に閉店する予定です。まだ始まったばかりなのでどうなるのか分かりませんが、お客様の入りによって休業も考えるかも知れません。でも、他の店はどうなのでしょうね。北新地では、閉店させるときに3ヶ月前にビルのオーナーに言わないといけないのですが、今年いっぱいで600から700軒の飲食店やクラブやラウンジが解約するという話を聞いています。

 もしかすると今、新地自体の地価が下がっているので家賃の低い店舗に移転するだけなのかもしれませんが……。そうなると、最後に家賃を稼ぐために今回の要請に協力しない店も多いのかもしれませんね……」

 そして、時短営業が決められた21時。北新地を歩いてみると、バースデー営業をしているキャバクラもあるが、多くのホステスや男性客がJR大阪駅方面に向かう姿が見られた。また、その客を待つかのように隣接する曽根崎通では多くのタクシーが列をなしていた。本来であれば、忘年会シーズンが始まる時期の時短・休業要請。年が明ける頃、北新地の町並みはどのように変わってしまうのだろうか。<取材・文/カワノアユミ>

―[キャバ嬢に訊け]― 【カワノアユミ】
東京都出身。20代を歌舞伎町で過ごす、元キャバ嬢ライター。裏モノ・夜ネタを主に執筆。アジアの日本人キャバクラに潜入就職した著書『底辺キャバ嬢、アジアでナンバー1になる』(イーストプレス)が発売中。ツイッターアカウントは @ayumikawano