C大阪アカデミーの技術委員長に就任した風間八宏氏。その育成手腕に期待がかかる(写真は名古屋監督時代)。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

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 セレッソ大阪アカデミーの技術委員長に就任した風間八宏氏が12月2日、オンラインで複数メディアの取材に応じた。

 風間氏は「指導者の育成や技術の向上。そして、それを子どもたちにしっかり落としていき、技術にしっかりフォーカスしてやっていきたい。また新たな仕組みを作るべきなのか、あるいは(すでにあるものを)もっと向上させていくべきなのかを、他の指導者みんなと話をしながら作っていきたいです」と意気込んだ。

 C大阪のアカデミーを運営する「一般社団法人セレッソ大阪スポーツクラブ」の藤田信良代表理事によれば、風間氏と交渉を始めたのは10月頃。理由は「もう一度アカデミーとして進化したい」という想いからだ。

 C大阪は2006年のJ2降格を機に育成型クラブを志し、07年にアカデミーへの個人協賛会「ハナサカクラブ」を設立。これまでアカデミーからは柿谷曜一朗、山口蛍(現・神戸)、丸橋祐介、扇原貴宏(現・横浜)、杉本健勇(現・浦和)、南野拓実(現リバプール)と数々の実力者を輩出してきた。しかし近年、目立った活躍を見せている若手は今年でプロ3年目の瀬古歩夢くらいで、「トップチームで活躍する、あるいは海外に進出するような選手が出てきていない」と藤田氏は低迷を危惧していた。

 そこで白羽の矢が立ったのが風間氏。現役時代には広島の他に、レバークーゼンやレムシャイトなどドイツでもプレーして知見を広げ、引退後は桐蔭横浜大、筑波大の監督を経て、川崎、名古屋のトップチームを率いると、独自の育成メソッドを駆使して魅力的なパスサッカーを展開した指揮官に再建を託そうと考えたのだ。

 そんな風間氏が就任する技術委員長は下部組織のトップであるアカデミダイレクタ―(現在は大熊裕司氏が務める)の下の立ち位置。U−18チームからスクール(小学生年代)までの指導者育成に努めることになる。
 
 そして風間氏が掲げる理想の選手イメージは「簡単に言うと、見ていてワクワクする選手」。

「特に若い世代でワクワクしない選手はやっぱりトップに行ってもワクワクしないと思う。この前、マラドーナが亡くなってしまいましたけど、やっぱりああいう選手は子どもの時から、お客さんが集まってくるような選手ですよね。その選手がトップチームにいってお客さんを集める。敵だろうがボールを持ってくれと思うような選手がひとりでも出てくれば、すごく面白い」

 そう語る風間氏は、以下のように今後を展望する。

「これから未来のことをやるわけですから、もちろんすぐに結果が出るのは限りません。ですけど、今現在いる選手たちをどうすれば上手くできるか。もちろんマラドーナは世界にひとりしかいませんので、そんなに簡単に出てくるものだとは思っていませんけども、才能のある選手がすごく多いと思うんですね。そこを見逃さないように、我々の目を揃えること、そこに対してどうアプローチをすべきか。これをみんなでやろうと。

 ドルトムントでも16歳でデビューした選手がいますけど、そういう意味では選手の成長の度合いはみんな違うと思います。しかしたら16歳でJ1デビューする選手がいるかもしれませんし、たとえば19歳、それから22歳でデビューする人もいます。その時間軸は、どれくらいというのは難しいですよね。でもやっぱり次から次へと選手が出ていくような仕組み作りはしっかりしていきたいなと思っています」

 C大阪のアカデミーをいかに変えるのか。その手腕に大きな期待がかかる。

構成●サッカーダイジェスト編集部