元国税局職員 さんきゅう倉田です。好きな小説の書き出しは「国境の長いトンネルを抜けると、税務署であった。確定申告が白くなった」です。

20年11月10日に放送された「ニュースウオッチ9」(NHK総合)の放送内容が話題になっています。

番組には、学生時代に奨学金600万円を借り、毎月3万円ずつ返済しているという25歳の女性Aさんが出演していました。40歳までに返済する計画で借り入れていますが、すでに難航しているようです。

Aさんは会社員ですが、コロナの影響で残業が減り、さらに、冬のボーナスが0になってしまったことで悩んでいました。

「病院とか、とっさの時にお金が出せないのはしんどい」「奨学金破産している人のSNSとか見てると、自分もそうなるのかなっていう恐怖みたいなものがすごくある」などと不安を吐露していたそうです。

先日、ぼくが主宰する税金サークルに参加してくださった20代の税理士の先生も、奨学金の返済が苦しいとおっしゃっていました。税理士になるため、大学から大学院の学費まで奨学金で賄い、現在、毎月の給与から少しずつ返済しています。

個人事務所を開業しているわけではありませんが、同世代の会社員の平均と比べると給与水準は高い。それでも、返済に苦労しています。

大学生になったばかりでお金のことがなにも分からないのに、高額な奨学金を契約するのは推奨できません。貸す側も将来の心配はしてくれないでしょう。実際に、社会人になって苦労している方がいるということを、学生のみなさんにも知っておいていただきたいと思います。

もちろん、奨学金しか学費を支払う原資がない方もいらっしゃると思います。学費が払えずに進学を諦めるよりは、将来、財布の紐をきつくするくらいのことは些末です。

○食費5万は高いのか

番組では、Aさんが収支の内訳を記す様子も放送されたそうです。

給料21万円支払合計20万円家賃7.5万円光熱費1.5万円ケータイwifi1万円食費5万円雑費2万円奨学金3万円

この中の食費に対して、「高い」とインターネット上で騒がれていました。ぼく自身は、毎日の支払いは家計簿アプリにつけていますが、食費がいくらなのかは把握していませんでした。

ただ、5万円で生活するのは難しいと感じます。1食500円としても1日3食で1,500円。30日で45,000円。週に1回外食すれば、すぐに5万円を超えてしまいます。そもそも、1食500円で健康的な食事ができるのか疑問です。毎食自炊にすれば、5万円以内にすることは容易なのでしょうか。

ファイナンシャルプランナーの資格を有するぼくとしては、Aさんの食費が高いとは思いません。ただ、7.5万円の家賃は、給与の手取りが21万円であることを考えるとやや「高い」のかもしれません。

一般的には、給与の3割が家賃の適正金額と言われます。この通説が、会社の支払金額なのか手取りなのかは分かりませんが、手取りの3割でもやや高い。

社会人になったばかりであれば、給与水準が低いので、家賃の割合が高くなってしまうことは仕方がありません。ただ、可能であれば2割5分くらいに抑えられると良いと思います。

また、Aさんには家賃補助はないのかな? と少し気になりました。家賃補助があって、自己負担が7.5万円であれば、東京の23区に住んでいても、やや高い。念の為断っておくと、Aさんを非難する気持ちは全くありません。ただ、生活が苦しければ、もう少し駅から遠いところに引っ越すと良いかもしれません。

無論、引っ越しには多大なコストがかかります。住宅の契約更新や転勤のタイミングで、引っ越しを検討すると良いと思います。

政府発表の統計データによると、34歳以下の女性の平均の食費は月44,048円だそうです。Aさんの食費が概算であることを考慮すると、平均とほとんど変わらないのではないでしょうか。インターネットの批判を真に受けず、豊かで文化的な食事をみなさんにたのしんでもらえたらと思います。