外気温が氷点下になる季節は濃度を濃くしておかなければならない

 早いもので今年もあとわずか。皆さん、クルマの冬支度はお済みだろうか。

 人間に衣替えが必要なように、寒くなってきたらクルマにも寒さ対策が必要だ。クルマの冬支度というと、スタッドレスタイヤへの交換が真っ先に頭に浮かぶかもしれないが、タイヤ交換以外にもメンテナンスしておきたい部分がある。

 それらをいくつかピックアップしてみよう。

1)ウォッシャー液の濃度

 ウォッシャー液のタンクには、市販のウォッシャー液を水で希釈して入れておくのが一般的だが、外気温が氷点下になる季節は、ウォッシャー液の濃度を濃くしておかないと、いざというとき凍結して使えないことがある。

 標準的なウォッシャー液の場合、原液でもアルコール(メタノール)の濃度は10%前後。この程度だと原液のまま入れても凍結温度はマイナス8度ぐらい。夏場のように原液と水が1:1だと、マイナス2度で凍結してしまう(エンジンルーム内は、エンジンが温まれば氷点下にはなりにくいが、エンジンの始動直後などは×)。

 スキーなどに行くときは、寒冷地用のウインドウォッシャー液(メタノール40〜45%)がおすすめ。雪道はガラスが汚れやすく、意外にウォッシャー液の出番は多いので、ウォッシャー液の濃度アップは大事なメンテナンスといえる。

2)LLCの濃度

 水冷エンジンの冷却水、LLC(ロングライフクーラント)の濃度もこの時期チェックしておきたい項目。LLCの濃度は新車の段階で30%とされていて、凍結温度はマイナス15度。これが何かの理由で水を足したりして薄まっていると、最悪、エンジン内の冷却水の水路が凍結し、エンジンにダメージを与えることも……。

 冷却水の濃度チェックは、専用のテスターを使えば簡単に調べられるので、冬本番を迎える前に、ディーラーやカー用品店、ガソリンスタンドなどで一度チェックしてもらうと安心だ。

降雪地域以外の人でも冬場は冬用のものを用意しておきたい

3)バッテリー

 一般的なクルマのバッテリー、鉛バッテリーは、気温が下がると内部の抵抗値が増えて、バッテリーの容量自体が下がってしまう。冬場はJAFの出動理由の約4割がバッテリー上がりといわれ、バッテリーのトラブルが急増する季節。

 本格的に寒くなる前に、ディーラー、カー用品店、ガソリンスタンドなどで、バッテリーの点検(だいたい無料)を受けて、コンディションを把握しておこう。3年以上使用しているバッテリーなら、思い切って新品に交換してしまってもいいぐらいだ。

4)冬用ワイパー

 ワイパーもできれば冬用に交換しておくと安心。スノーワイパーとも呼ばれる冬用ワイパーは、凍結防止のためにブレード部分がゴムで覆われた構造になっていて、極寒のなかでもゴムが固くならないように工夫されている。

 ワイパーゴムの交換サイクルは半年と言われているので、降雪地域以外の人でも、冬場は冬用ワイパー、夏場は普通のワイパーと使い分け、ローテーション化するのもいいだろう。

5)燃料

 近年、乗用車にも増えてきているディーゼルエンジン。ディーゼルの燃料の軽油は、極寒になるとシャーベット状に凍結することがある。そこで冬場は地域によって流動点(凍結温度の目安)が違う軽油を販売している。たとえば真冬の北海道では、流動点がマイナス30度以下の軽油を売っているのに対し、同じ時期、関東ではマイナス7.5度以下の軽油が販売されている。したがって、寒い地域に出かけるときは、なるべく現地で給油するようにするのが基本。

 ちなみにガソリンにも夏用と冬用の違いがあり、冬用のガソリンは低温時の揮発性を高めてエンジン始動性を高める仕様になっている。夏に給油したガソリンがまだタンクのなかに残っているという人は、早めに使い切ってしまおう。