黒のスーツに伸びきった髪。公判中、終始険しい表情を見せていた女は、ススキノの人気キャバクラ嬢だった時代の派手な面影を完全に失っていた。

【写真】この記事の写真を見る(2枚)

 札幌市中央区で、当時2歳だった池田詩梨(ことり)ちゃんが衰弱死した事件。札幌地裁は11月20日、保護責任者遺棄致死の罪に問われた母親・池田莉菜被告(22)に対し、懲役9年の実刑判決を言い渡した。

「莉菜は16年12月、18歳で詩梨ちゃんを出産しますが、未婚のシングルマザーとなりました。ツイッターには生後3、4カ月の娘の写真とともに『めんこい』と投稿したりしていた。一時期は莉菜の母親も子育てを手伝っていましたが、昨年4月頃から、キャバクラの客だった飲食店経営の藤原一弥被告(26)との同居を開始。以降、詩梨ちゃんへの虐待が加速するのです」(司法担当記者)


札幌ススキノ ©iStock.com

 事件は、昨年6月5日早朝、莉菜の119番通報で発覚。娘の体調が悪いといった内容だったが、すでに心肺停止状態で、やせ細った体には複数のあざやタバコの火を押し付けたようなやけどの痕があった。体重は同年代平均の半分の6キロ程度しかなかったという。

「莉菜は後に、詩梨ちゃんを衰弱させたまま放置し死亡させたとして逮捕、起訴された。傷害致死罪などに問われた交際相手の藤原も懲役13年の地裁判決を受け、控訴中です」(同前)

責任を押しつけあう2人。量刑は莉菜のほうが軽かった

 2人は公判でそれぞれ無罪を訴えていた。藤原側は「一切やっていない」、莉菜側は「元気な状態から急に亡くなった。死因はのどを詰まらせた窒息死」と主張。藤原が「暴行したのは莉菜だ」と矛先を向ける一方、莉菜も詩梨ちゃんが痩せたのは「藤原の暴力が影響したと思う」と激しく責任を押し付け合った。

「莉菜は『元気だった。起訴状に書いてあることは事実ではない』と主張。『死因は衰弱死』とする法医学者の証言も『おかしな話だ』と突き放すなど、相容れない意見に耳を傾けようとしませんでした」(同前)

 しかし裁判長は、莉菜の態度を「不合理な弁解に終始し、自らの過ちを真摯に振り返る姿勢がない」と非難。「衰弱死だった」と認定した上で「『藤原との遊びを優先して』責任を果たさなかった」と結論付けた。莉菜が若いことや傷害致死罪などには問われなかったことを踏まえ、量刑は藤原より軽く済んだ形だ(藤原は一審で懲役13年の実刑判決、控訴中)。

 控訴を検討するなど、今なお自身の虐待については認めようとしない莉菜。それでも、公判では「忙しくても娘といる時間を作れば良かった」「責任を感じ、後悔してもしきれない」と時折、母親としての顔も覗かせていた。判決言い渡しの際も、目頭をハンカチで押さえていたという。

 だが、詩梨ちゃんとの時間はもう戻らない。

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2020年12月3日号)