田尾安志氏

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 元楽天監督で野球解説者の田尾安志氏が29日、自身の公式ユーチューブチャンネルに動画を投稿。自身が現役時代に感動したという契約更改時のエピソードを明かした。

 今回の動画で田尾氏は、26日のスタートから現在まで保留者が3名出ている中日の契約更改について自身の見解を披露。その話の流れで、自身が西武の選手だった時代の1985年オフの契約更改で感動したという、当時の坂井保之球団代表の言葉を明かした。

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 1985年1月に中日から西武にトレード移籍した当時プロ10年目・31歳の田尾氏。同年は「127試合・.268・13本・60打点・128安打」でそれまで4年連続で続けてきた打率3割超えが途切れるなど今ひとつの成績に終わったため、「今年は球団がどんな評価でも1回で判を押そう」と年俸4800万円(推定)からの大減俸を覚悟してオフの契約更改に臨んだという。

 だが、契約更改にあたった坂井代表は田尾氏の不振を責めることはなく、逆に夏場のある試合で放った1本の本塁打をほめてくれたとのこと。田尾氏によるとその本塁打は「1-10」でチームが敗れた試合で、勝敗にはあまり関わりのないソロだったというが、坂井代表は「あの本塁打は夏休みに球場に来ていた子どもたちへのプレゼントだ」、「子どもたちは田尾が打ったその1点を忘れないでいてくれるんじゃないか。(だから)勝ち負けには影響はないがあの本塁打は価値があるんだ」と勝敗以上の価値があると言ってくれたという。

 球団のトップがそこまで自身のプレーを見てくれていたことに感動し、「代表の言うことには全て納得しよう」という気持ちになったという田尾氏。坂井代表からはその後「300万下げていいか?」と言われたというが、同代表が自身の気持ちをくんでくれたこともあり「16年のプロ生活の中で(一番)気持ちよく判が押せた」と語っていた。

 田尾氏はこの他にも中日・加藤宏幸球団代表に求める姿勢や、球団と選手が契約でもめることのデメリットなどについて動画内で語っている。

 今回の動画を受け、ネット上には「減給でもちゃんと選手を納得させるとはすごく腕の立つ代表だな」、「『下げるぞ』じゃなく『下げていいか?』って選手を立ててるのは上手いな」、「成績悪い中でも良い点を見いだそうという姿勢が田尾さんの心に響いたんだろうな」、「ちゃんとした誠意や姿勢を見せればダウン提示でも選手に受け入れてもらえるというのがよく分かる話だ」といった声が出ている。

 同時に、「よそはよそ、ウチはウチとか言ってる加藤代表とはえらい違いだな」、「加藤代表もこれぐらいの気持ちで交渉してれば選手とここまでもめることも、選手会から抗議されることもなかったのでは」といった反応も多数ある。

 「保留者が続出している中日の加藤代表は、26、27日にかけ『査定を基に出した金額をこれっぽっちも譲るつもりはない』、『他球団は他球団。ドラゴンズはドラゴンズ。変更するとドラゴンズの査定が間違っていたことになる』と断固たる姿勢で契約更改を進めているとコメント。これらの発言を受けてプロ野球選手会が“選手が金額でもめているという印象を与える発言をしている”として、28日に同代表に抗議文を送る事態に発展しています。今季はコロナ禍でどの球団も収益が激減しており、同代表も『今年は経営が厳しい』と懐事情が苦しいことを明かしているのですが、だからこそ太平洋クラブ・西武、ダイエーの2球団で球団代表を約20年にわたり歴任した坂井代表のように誠心誠意を尽くして選手に寄り添ってあげるべきではないかと考えているファンも多いようです」(野球ライター)

 28日に抗議文を送られたことを受け、加藤代表は「説明が不十分ということであれば、納得できるまで説明を行っていきたい」と今後は丁寧な説明に務める旨を口にしている。事態の収拾に向け、田尾氏の心を揺さぶった坂井代表のような姿勢が求められているのかもしれない。

文 / 柴田雅人

記事内の引用について
田尾安志氏の公式ユーチューブチャンネルより
https://www.youtube.com/channel/UCujKx9MOD0zja02WXkDAwwA