『おかあさんといっしょ』で“歌のお兄さん”を歴代最長の9年間も務めた横山だいすけや、“体操のお兄さん”を歴代最長の14年間務めた小林よしひさらによる、ファミリーで楽しめるライブイベント『Family Dream Live2020 とどけみんなのおうち From舞浜アンフィシアター』が、11月29日に千葉・舞浜アンフィシアターで開催。

横山らをはじめ、“りさお姉さん”こと上原りさや鈴木福、私立恵比寿中学などのメンバーが集結する同ライブは、コロナ禍ということで、ソーシャルディスタンスを保った劇場での観劇のほか、WEBでのライブ配信も実施される。

このライブをけん引してきた横山と、今回初参加する中川翔子に話を聞くと、イベントに対する思いや、コロナ禍で感じた気づきについて語ってくれた――。

中川翔子(左)と横山だいすけ


○■最初は「この世の終わりだ」とも…

――今回の『Family Dream Live』がリアルとオンラインでの開催となりましたが、どんな意識で臨まれていますか?

横山:僕も含めて、これまでオンラインイベントの楽しみ方を知らなかったという人が多かったと思いますが、一歩踏み出して触れてみることで、思った以上に楽しい時間を過ごせたりするので、これをきっかけにして、どんどん新しい形が広がっていけばいいのかなと。また、僕は以前から、親御さんにもイベントを思い切り楽しんでほしいと思っていました。子どもたちは、一緒に参加する親御さんの表情をすごく見ていると思うので。ましてや今回は、お家でも観られるので、ぜひ親子で一緒に観て、リフレッシュしてほしいなと。加えて、僕自身も楽しんで参加することで、一層楽しさが伝わっていけばいいなと思っていました。

中川:私は今回、おそれ多くも、横山さんと一緒に歌わせてもらえるとお聞きしたとき、本当にうれしかったです。今年はいろいろありましたが、私自身は改めて、このお仕事が大好きだなと実感しましたし、今回ステージに立つことができて、本当にありがたいなと。「落ち込んだりもするけど、私は元気です」って感じですね。

――コロナ禍での自粛期間、お2人はどんなことを思われましたか?

横山:時が止まった感じがしました。『おかあさんといっしょ』を9年務めて卒業したあと、いろんなチャレンジの場をいただき、日々楽しみながらやっていたら、すべてがストップしてしまったので。「こんなに仕事がなくなるの?」というくらいスケジュールが真っさらになりました。最初はやっと休みができたと思っていましたが、その後、どんどん状況が悪くなっていく中で、戸惑いの日々を過ごしていました。

中川:私は、常に「自分なんかがこんなお仕事をさせていただいていいんだろうか?」という自己肯定が低い性格なので、毎回ライブやコンサートがやれる喜びを感じつつ「もうこれが最後かもしれない」と思うようにはしていました。でも、ありがたいことに、こんなに長くお仕事をさせていただいていて、連休はお正月くらいしか取ってないくらい働いていたので、こんなに全部がなくなった時はショックでした。最初は、みんなが同じ状況だと分からなくて、「この世の終わりだ」とも思いました。



○■同じ時間を過ごすなら楽しいほうがいい

――そこからどう気持ちを切り替えたのですか?

横山:みんなが同じ状況でそれぞれがもがいていることが分かったとき、まずは人生1回きりだから、今ある環境を嘆くよりも、同じ時間を過ごすのなら、楽しいほうがいいなと思うようになったんです。それで、いつかやりたいと思ってきたことをやろうと切り替えました。料理を始めたり、溜まってた本を読んだり、映画を見たりしたら、「意外と楽しいじゃん!」と思って、自然とポジティブになれました。ただ、筋トレやストレッチはいつか時間ができたらやろうと思ってたけど、実際には全くやれなかったので、そこは最大の反省点です(苦笑)。もちろん、コンサートもたくさん中止になったし、今もコロナ禍で、前向きになれないときもいっぱいあります。でも、そういうときは早く寝ますね(笑)。そうすると次の日、だいたい忘れています。

中川:私も時間ができたからこそ、「YouTubeだな」と思ってやり始めました。始める前は、やるなら続けなきゃいけないし、数字が伸びなかったら恥ずかしいのかなとか、いろいろ考えすぎて寝れなかったのですが、ゲーム実況をYouTubeで始めてみたら「何これ! 超楽しい!」となって。しかも、ロックダウン中の海外の方も見てくれて、ブログを始めた頃のようなキラキラ感、ワクワク感が戻ってきたなと思いました。それに猫といる時間が増えたので、猫が立ち上がってドアノブをひねる姿をツイートしたら、情報番組から猫に関するリモート取材をいただきました(笑)。また、私は運動が苦手なんですが、めちゃくちゃ太ったし、外の空気を吸いたいなと思ってお散歩を始めたんです。結果、4kgも痩せられたので良かったなと。



○■2020年を悲しいだけの年にしたくなかった

――コロナ禍でもいろいろな発見があったのですね。

横山:1回足を止めて、人生における大きなテーマをいろいろと考えられたことは、自分にとってすごく大きかったです。ただただ、目の前のことを一生懸命やってきて、気がついたら、今ここにいたという感じでしたが、いい意味で落ち着ける時間をもらえたのかなと。歌のお兄さんを卒業してからもうすぐ5年目になりますが、1つの節目として、今後、どんなことをやってみたいのかを考えつつ、充電する時間ができたんじゃないかなと。2011年の東日本大震災の時も一度立ち止まった瞬間があって、あの時はまだ、現役で歌のお兄さんをやっていたので、子どもたちにどう向き合うことができるんだろうと考え、歌のお兄さんとしてのあり方ががらりと変わった年だったんです。それを経て、またこういう状況になりましたが、足を止めたからこそ、見えてくることもたくさんあったので、来年はまた、新しい一歩を踏み出せるような気がします。

中川:私はコロナ禍で、テレビアニメのエンディング曲を歌わせてもらったんですが、それは歌のお姉さんっぽく歌おうと思いました。最初は、東京オリンピック&パラリンピックがある予定の年だったから、元気な応援歌にするつもりでしたが、歌詞を変えて、「離ればなれ 遠くにいても いつも君のそばにいる」など、コロナ禍でしか見つからなかった気持ちを入れました。まだまだ、笑顔になれるエンタテインメントは今も止まりがちだけど、2020年をただ悲しいだけの年には絶対にしたくなかったです。私は今年、舞台もやりましたが、最後まで誰も感染せずにやれたことは、本当に奇跡だなとも感じたし、それで誰かを笑顔にできたのなら本当に良かったなとも思いました。また、新しいことへ踏み出すことは本当に大事だなと痛感した1年でした。今後もみんなとつながりながら、面白いことや楽しいことを見つけていきたいなと思います。



●横山だいすけ1983年生まれ、千葉県出身。劇団四季時代は「ライオンキング」等の舞台に出演。NHK Eテレの幼児番組『おかあさんといっしょ』で、番組史上歴代最長となる9年間“歌のお兄さん”を務める。17年4月に卒業後、ドラマ、バラエティ、CM出演、舞台、声優と活躍の場を広げ、19年7月にはソロアーティストとして初のオリジナルアルバム『歌袋』をリリースした。

●中川翔子1985年生まれ、東京都出身。02年「ミス週刊少年マガジン」を受賞し、芸能界デビュー。04年11月に開始したブログ「しょこたん☆ぶろぐ」で人気を博し、06年に歌手デビュー。『劇場版ポケットモンスター』や『塔の上のラプンツェル』シリーズなどで声優として活躍。20年8月の舞台『メイビー、ハッピーエンディング』では、花澤香菜とのダブルキャストで、ヒロイン役を務めた。

【公演情報】

『FamilyDreamLive2020 とどけみんなのおうちFrom舞浜アンフィシアター』

出演:横山だいすけ、小林よしひさ、上原りさ、鈴木福、私立恵比寿中学/中川翔子

※安本彩花(私立恵比寿中学)は出演なし

 

【全国LIVE配信スケジュール】

◆2020年11月29日(日)14:30/18:30

 

【劇場公演スケジュール】

◆2020年11月29日(日)10:30/14:30/18:30 ※10:30は貸切公演