ひとり孤独に勉強していても、合格はおぼつかないと言います(写真:PanKR / PIXTA)

「『自分の頭で考える』って、どういうことなんだろう?」「頭が良い人とバカな自分は、いったいどこが違うんだろう?」

偏差値35から東大を目指して必死に勉強しているのに、まったく成績が上がらず2浪してしまった西岡壱誠氏。彼はずっとそう思い悩み、東大に受かった友人たちに「恥を忍んで」勉強法や思考法を聞いて回ったといいます。

東大生は『生まれつきの頭の良さ』以前に、『頭の使い方』が根本的に違いました。その『頭の使い方』を真似した結果、成績は急上昇し、僕も東大に合格することができたのです」

頭の良い人は、頭をどう使っているのか? 「自分の頭で考える」とは、どういうことなのか? 「頭の良い人」になるためには、どうすればいいのか? 

そんな疑問に答える新刊『「考える技術」と「地頭力」がいっきに身につく 東大思考』が発売1カ月で10万部のベストセラーとなった西岡氏に、「東大生は友達が少ない」いう偏見について解説してもらいました。

「勉強以外、何もしていない」という偏見

「東大生って、友達が少なそう」「学生時代に勉強ばっかりしていた、友達が少ない人が多いんじゃないか?」


そんなふうに考えている人は多いのではないでしょうか?

まあ、たしかにそんなイメージありますよね。僕も東大受験を志したときから、「僕はこの1年間はしっかり勉強するんだ!」「友達と遊んでいる時間なんてない!」と一心不乱に勉強した思い出があります。友達なんていらない、なんて考えて生活して、そして不合格になってしまいました

しかし、実はこれ、大きな間違いなのです。東大に入ってからすごく驚いたのですが、東大生って友達が多いんです。実は高校時代に勉強だけやっていたという人は驚くほど少なく、生徒会や部活動で積極的に活動していた人がほとんどなんです。

30人のクラスに、生徒会長経験者が10人いたケースもあります。生徒会長ではなくても、部活の部長や委員会の委員長など、他の学生と交流する機会の多いポジションにいた人がほとんどなのです。

生徒会や部活以外にも、文化祭や運動会で本気で頑張ったと語る学生も多いです。

例えば東大合格者数1位の開成高校では、受験前の高校3年生が運動会を1からすべて企画しているそうです。その当日だけが忙しいわけではなく、1カ月以上、下級生の指導を行い、また競技のルール決めもしているとのこと。

だから、運動会は中高6年間で高3がいちばん大変なのだとか。受験で大変な高校3年生にもかかわらず、学校行事に本気で取り組んでいるのです。

これは一見ハンディキャップのように見えますが、しかしそれでもそれを経たうえで、多くの学生が東大に合格しています。

「なんで!?」って思いますよね。東大生になるためには長い時間の勉強が必要で、そのためには友達を作ったり、学内活動を本気でがんばったり、課外活動をすることは、はっきり言って無駄な時間に等しいはずです。そんなことをする暇があったら勉強したほうが合格に近づく……と、普通は思いますよね?

でも、この思考こそが落とし穴なのです。友達が少なく孤独な状態で勉強しているよりも、部活や生徒会・学内活動を本気でやった友達の多い人のほうが合格しやすいのです。今日はその理由についてお話ししたいと思います。

友達が多いほうが「合格しやすい」2つの理由

理由1:説明することがいちばんの勉強

まず、受験勉強の本質は「説明」です。教科書や参考書を読んで、その内容を「理解」したうえで、それを試験で「説明」できるかどうかが問われます。

例えば英語の問題は、究極的には「この英文を説明できますか?」と聞かれています。数学は「これを数式で説明できますか?」、理科や社会は「この現象、この出来事、この時代、この人物を説明できますか?」と聞かれています。説明問題、選択問題、記述問題などの違いは、単に「形式の違い」にすぎません。

ただ闇雲に教科書や参考書を読んで勉強していても成績が上がらないのは、これが理由です。理解できたとしても、それを説明できないのであれば意味がないからです。

例えばみなさんも、国語の文章を読んで「なんとなく理解できたな」と思ったのに、試験で「これはどういうことか説明しなさい」と聞かれた瞬間に「うーん……?」となってしまった経験、あるのではないでしょうか? 「人に説明できる状態」にならなければ、テストでは点数を取れないのです。

「理解(=インプット)」は当然のこととして、「説明(=アウトプット)」できなければ、受験では合格できないのです。

よく、「東大生は元から頭が良い人の集まりだ」と言われます。ですが、そこで言う頭が良いって、実は「理解」が早い人のことでしかありません。いくら頭が良くても、それを他人に話し、うまく「説明」できなければ、成績は上がらないのです。

そして、東大入試はほとんどすべての問題が純粋な「説明」を求める問題です。全科目記述式で、「〇〇とはどういうことか説明しなさい」という問題がほぼすべて。たとえ一度聞いたことがあったとしても、そしてある程度理解していたとしても、うまく説明できなければなんの意味もないのです。

例えば東大の有名な入試問題に、「円周率が3.05より大きいことを証明せよ」というものがあります。これは、「円周率」という、みんながある程度「理解」しているものを、うまく「説明」できるのかどうかを問う問題です。

みなさんも、円周率は直径に対する円周の比で、3.1415……だということは知っていると思います。でも、この入試問題に答えられる人はほとんどいないのではないでしょうか。

このように、「理解」だけではダメで、「説明」ができないとダメなんです。というかむしろ、「説明」できるレベルまで「理解」ができていない状態で、僕らは「わかった」と考えてしまいがちだと言えるのかもしれません。

みなさんも、テスト前にきちんと勉強したつもりだったのに、テストでいい点数が取れなくて苦しんだ経験ありませんか? そして答えを見たら「あー! これやったのに!」となってしまった経験、あるのではないでしょうか? 僕はそんなことばっかりで偏差値35だった人間です。

日常生活で当たり前に「説明」をしている

東大に合格する人は、日常生活の中で、この「説明」を何度も何度もしてきている人たちなのです。人前で話をして、わかりやすく相手に伝えることに慣れている。だからこそ、それを受験勉強にも活かすことができるようになっていくのです。

また、東大合格者に話を聞くと「それはまあ、当たり前にそういうことをしていたよ」と答える習慣があります。それは「クラスの友達に勉強を説明する」というものです。

クラスの友達が「ねえねえ、ここわからなかったんだけど……」と聞いてきたら、「ここはね……」と説明する。授業の後で先生が去った後に「さっき先生が言ってなかった別解を見つけたんだ!」とみんなの前で説明する。テスト前にクラスの友達を集めて勉強会を開いて、「ここはこうやって覚えるといいよ」と説明する。

こんなふうに、さまざまなところで「他人に説明する勉強」をしていた人がほとんどなのです。高校の先生に聞くと、東大合格者の多い高校ではよくこうした風景が見られるそうです。クラスや学年の垣根を超えて「教え合い」が積極的に行われる学校は、必ず合格実績がついてくるのだそうです。

逆に2浪してしまった僕の経験なのですが、僕は偏差値35のときは友達がいませんでした。わからないことがあっても他人に聞こうとは思いませんでしたし、人に教えようとも思いませんでした。

そういう状態だと、どうしても勉強が独りよがりになってしまいます。視野が狭くなって、わかっているはずの問題も解けなくなってしまう……なんて時期が長かったです。

友達をつくり、人に説明する。これが実はすごく大事なことなのに、そうできていなかったわけです。

友達がいたほうが「モチベーション」を維持できる

理由2:1人のモチベーションでは人間は続かない

さらにもう1つ言えるのは、コミュニティの力です。

人間が自分1人のモチベーションで頑張り続けるのは、簡単ではありません。数週間の努力であればもしかしたらなんとかなるかもしれませんが、数カ月・年単位で努力を継続しなければならない受験においては、周りの友達や、親や、先生や、学校がバックアップしてくれている環境でないと合格は難しいのです。

友達とノートを見せあったり、親御さんが夜食を作ってくれたり、先生が解答の添削をしてくれたり……いろんな支援を受けられる環境があってはじめて、受験勉強は成り立つのです。

そして、そういう環境を作り上げるために必要なのは、親や周りの友達に対する感謝だと思います。授業を休んだときにノートを見せてくれる友達がいるのは、日々授業を休んだ友達にノートを見せてあげている人です。受験当日に「頑張ってね!」と激励の連絡が来るのは、周りの友達を「頑張ってね!」と日頃から応援している人です。

そしてそういう連絡が、なんだかんだでその日の受験を心理的に後押ししてくれます。ちなみに現役のとき、僕は誰からも連絡が来ませんでした。だから落ちたのだと今でも思っています。

誰かを応援できる人が、誰かから応援されるのです。逆に応援されない人は、なんだかんだで周りを応援しない人で、実はそういう人は受験において弱いのです。

「受験は団体戦」なんて言うと古臭い言葉のように感じられる方もいるかもしれません。受験自体は個人戦でしかありませんし、試験会場では誰しもが孤独です。

でも、そこまでの過程は団体戦であってもいいはずです。周りにいい影響を与え、逆に周りからいい影響を与えられる人間であればあるほど、実は合格のための環境が整いやすいのです。受験で合格を勝ち取った人ほど、このことを理解している印象があります。

いかがでしょうか? 友達がいることと受験勉強は一見、結びつかないように感じられるかもしれませんが、実は大きくつながっているのだと僕は思います。

僕は2浪したあと、友達ができました。試験当日、「一緒に頑張ろうね!」という連絡をもらったのはいい思い出です。

この記事が、みなさんの何かの参考になれば幸いです。