現在「鬼滅の刃」が空前のヒットを続ける中、中国でも改めて日本のアニメに注目が集まっている。とりわけ、日本のアニメを語るとき、宮崎駿作品を抜きにして語ることはできないだろう。(イメージ写真提供:123RF)

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 現在「鬼滅の刃」が空前のヒットを続ける中、中国でも改めて日本のアニメに注目が集まっている。とりわけ、日本のアニメを語るとき、宮崎駿作品を抜きにして語ることはできないだろう。「となりのトトロ」、「千と千尋の神隠し」や「ハウルの動く城」、「風立ちぬ」など数々の作品が中国でも人気になった。

 24日付の記事で、中国メディアの百度が「中国では、なぜこれほど宮崎駿作品が根強い人気なのか」と分析している。記事は、宮崎作品の世界観や、作品の背後にある「平和と反戦」というメッセージに焦点を当て、これこそが宮崎作品が中国でも人気がある理由、と述べている。さらに、記事は中国で宮崎作品がなぜこれほど愛されているのかという点に3つの理由を挙げている。

 一つ目は、宮崎アニメの世界観。若い時に戦争を経験した宮崎駿氏は、悲しい現実を目の当たりにし、戦争を心から憎んでいる。宮崎作品は戦争への嫌悪や悲しい現実をファンタジーで包み込み、大人でも子供でも楽しめる娯楽作品になっている点が宮崎作品の魅力だと述べている。

 二つ目は、体制への批判精神。かつて宮崎駿監督はインタビューで「自分は日本を嫌いだった」と答えたことがあった。これは、祖国を憎んでいた、というよりも戦争を憎んでいる、とも言い換えられる。宮崎氏のこうした「反戦思想」、戦争を容認した体制への批判精神が、日本や中国を問わず、世界で人気になっている理由の一つだろう。

 三つ目は、平和思想。記事は宮崎駿氏をフランスの文豪ヴィクトル・ユーゴーとも比較している。そのうえで、両者が「戦争」によって翻弄される市民の苦しみを描き出している点に着目し、「多くの中国人が、宮崎駿の平和思想というテーマに魅力を感じている」と述べている。

 現在、世界中の多くの場所で、テロや紛争などの脅威が迫っている。過去の戦争体験に基づき、平和を追求しようとする宮崎駿氏のメッセージに、多くの中国人が今も共感している、と結論付けている。(編集:時田瑞樹)(イメージ写真提供:123RF)