◆日本人女性は「薄っぺらくて男性の添え物」

 男女間、世代間、政治的立ち位置などによって深い溝が生まれているポーランド。女性の権利やフェミニズムに関しては、特にそれが顕著に表れているように思えてならない。

 「たとえば、中絶禁止法案について支持している男性は、『障害を持って生まれても自分が育てる』と言いますが、これは母体の問題です。こうしたテーマについて話す機会は少なくないですが、私の周りにはリベラルな知り合いが多いので、ポジティブな反応が返ってきます。強く反対したり、女性に対して高圧的なのは、やはりネット世論ですね」

 ネット上が差別的な言葉や高圧的な人間で溢れかえっている……その一点に関しては、世界共通なのかもしれない。日本人女性の生き方やフェミニズム事情については、どう思っているのだろう。

「日本人女性は静かで綺麗でいることを強いられているように感じています。『女は三歩下がって歩け』と。私はアニメが好きでよく観ているのですが、それを観る限りでは、すごく薄っぺらくて男性の添え物でしかないですよね。甘くて、若くて、無垢であるべきだというのが、日本人のなかの女性観なのかもしれません。一人一人の女性はそうじゃないんでしょうけど、こちらで目にする情報からは、そういった印象を受けます」

 さて、読者の皆さんはポーランド人女性たちの声を聞いて、どのように感じただろうか? ご覧いただいたとおり、人の数だけ意見があるポーランドでは、女性の権利という一点にしても、宗教・政治・地域性・教育・家庭環境などが複雑に絡み合ってくる。

 しかし、女性の権利やフェミニズムはポーランドだけの問題ではない。また、女性はもちろん、母を娘を、姉を妹を、妻を彼女を持つ男性にも当然無関係ではない。遠い異国に暮らす女性たちとはいえ、彼女たちの声に耳を傾けることで何かを思い、感じるはずだ。その気持ちに目を向けることが、女性の権利やフェミニズムについて考える一歩なのかもしれない。

<取材・文/林 泰人>【林泰人】
ライター・編集者。日本人の父、ポーランド人の母を持つ。日本語、英語、ポーランド語のトライリンガルで西武ライオンズファン