都道府県別「労働時間」ランキング…短さ1位は奈良、47位は?

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日々発表される統計や調査の結果を読み解けば、経済、健康、教育など、さまざまな一面がみえてきます。今回みていくのは「労働時間」。都道府県別にみていくと、大きな地域差が生じていることがわかりました。

年々、長時間労働の改善は進んでいる

「長時間労働の是正」「正規・非正規の不合理な処遇差の解消」「多様な働き方の実現」を目指し、2019年4月、「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律(働き方改革関連法)」の一部が施行されました。

厚生労働省では「働き方改革」の実現に向けて、下記の(1)〜(7)を具体的な取組みとして挙げています。

(1)非正規雇用の待遇差改善

(2)長時間労働の是正

(3)柔軟な働き方ができる環境づくり

(4)ダイバーシティの推進

(5)賃金引き上げと労働生産性向上

(6)再就職支援と人材育成

(7)ハラスメント防止対策

特に「(2)長時間労働の是正」については、過労死がニュースになるたびに早急の対策が求められてきました。労働基準監督署は、時間外・休日労働時間数が1カ月当たり80時間を超えていると考えられる事業場や、長時間にわたる過重な労働による過労死等に係る労災請求が行われた事業場に対して監督指導を行ない、結果を公表しています。

それによると、監督指導の実施事業場、25,676事業場のうち、違法な時間外労働があったのが11,592事業場(45.1%)。そのうち1ヵ月当たり80時間を超える時間外・休日労働が認められた事業場は8,592(74.1%)、月100時間を超えた事業場は5,960(51.4%)、月150時間を超えた事業所は1,355(11.7%)、月200時間を超えた事業所は、264(2.3%)ありました。

一方で、日本では労働者1人当たりの年間総実労働時間は緩やかに減少しています。厚生労働省「令和2年版過労死等防止対策白書」によると、2019年の年間総実労働時間は1,669時間(前年比37時間減少)。そのうち所定内労働時間は長期間減少傾向にあるのに対し、所定外労働時間は2014年以降、増減を繰り返しています。

定時、帰ろっ(※画像はイメージです/PIXTA)

過労死の主な原因になる長時間労働

「過労死等の防止のための対策に関する大綱」で数値目標とされている1週間の就業時間が60時間以上の長時間労働者を年代別・性別にみていくと、男性30歳〜40歳代で割合が高く、2019年は40歳代男性で13.0%、30歳代男性で12.8%となっています。

また仕事が主な原因で発症した心筋梗塞などの「心疾患」、脳梗塞などの「脳血管疾患」、ストレスが関係した「精神障害」は「業務上疾病」として認められています。この「業務上疾病」による過労死の補償状況についてみていきましょう。

2019年、「脳・心臓疾患」の労災請求件数は936件(前年度比59件増)、労災支給決定(認定)件数は216件(前年比22件減少、死亡86件)となっています。

年齢別に労災支給決定(認定)件数をみていくと、「50〜59歳」91件(42.1%)、「40〜49歳」67件(31.0%)、「60歳以上」42件(19.4%)の順に多くなっています。

さらに時間外労働時間別の労災支給決定(認定)件数は、評価基準1ヵ月の場合「120〜140時間未満」33件、「100〜120時間未満」17件、「160時間以上」9件の順に多く、評価期間が2〜6ヵ月における1ヵ月平均の場合「80時間〜100時間未満」73件、「60〜80時間未満」23件、「100〜120時間未満」22件の順になっています。

次に心理的負荷による精神障害を発病したとする労災請求件数をみていくと、2019年、2,060件(前年度比240件増)、労災支給決定(認定)件数は509件(前年比44件増加、未遂を含む自殺88件)となっています。 

年齢別に労災支給決定(認定)件数をみていくと、「40〜49歳」170件(33.4%)、「30〜39歳」132件(25.9%)、「20〜29歳」116件(22.8%)の順に多くなっています。

出来事別にみていくと、「嫌がらせ、いじめ、暴行」79件、「仕事内容・仕事量の(大きな)変化を生じさせる出来事があった」68件、「悲惨な事故や災害の体験、目撃をした」55件の順になっています。

時間外労働時間別(1ヵ月平均)の労災支給決定(認定)件数は、「20時間未満」が68件で最も多く、次に「100時間以上〜120時間未満」63件となっています。

47都道府県で最も「労働時間」が短い県、長い県

働き方改革、そして新型コロナウイルス感染拡大でリモートワークが浸透したことで、長時間労働は改善の傾向にありますが、労働時間には地域差があります。厚生労働省「毎月勤労統計調査地方調査」(令和元年平均分結果概要、事業所規模5人以上、調査産業計)で、都道府県別の労働時間、そして給与の関係をみていきましょう。

1ヵ月の総労働時間の全国平均は139.1時間ですが、47都道府県のなかで最も短いのは「奈良県」で127.6時間。「京都府」130.6時間、「埼玉県」131.9時間、「神奈川県」133.6時間、「兵庫県」134.1時間と続きます(図表1)

[図表1]「月の労働時間が短い」都道府県トップ10 出所:厚生労働省「毎月勤労統計調査地方調査」(令和元年平均分結果概要、事業所規模5人以上、調査産業計)より作成

一方で最も長いのが「岩手県」で151.0時間。「青森県」「佐賀県」150.0時間、「秋田県」149.0時間、「福井県」148.7時間と続きます。

また所定外労働時間の全国平均は10.6時間ですが、最も短いのが「奈良県」で7.2時間。「京都府」「秋田県」「宮崎県」「鹿児島県」と続きます。一方、最も長いのが「愛知県」で13.1時間。「滋賀県」「三重県」「広島県」「岩手県」と続きます。

総労働時間では「東京」は8位でしたが、所定外労働時間では39位。残業の多さが目立ちます。

さらに同調査の現金総支給額から時間給を算出してみると、最も高いのが「東京都」で2416.1円。2位は「神奈川県」で2103.3円、3位は「大阪府」1995.8円、4位「愛知県」1899.7円と、三大都市圏での時給の高さが際立ちます(図表2)

[図表2]「会社員の時給」都道府県トップ10 出所:厚生労働省「毎月勤労統計調査地方調査」(令和元年平均分結果概要、事業所規模5人以上、調査産業計)より作成

一方、最も時給が低いのが「青森県」で1477.8円。「沖縄県」1493.5円、「秋田県」1499.6円、「鹿児島県」1506.1円、「佐賀県」1536.1円と続きます。

このように総労働時間では1位と47位で20時間、時給換算では1位と47位で1000円ほどの地域格差が存在します。またこのデータは事業所からの申告をもとにしていますから、いわゆる「サービズ残業」は含まれません。「月の所定外労働時間が10時間なんて、嘘だ!」という人も多いでしょう。働き方改革関連法の推進で、労働時間の是正が進むことを期待するばかりです。