激戦を制した金谷拓実 プロとしての初優勝を噛みしめた(撮影:米山聡明)

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<ダンロップフェニックス 最終日◇22日◇フェニックスカントリークラブ(宮崎県)◇7027ヤード・パー71>
あとは30センチのバーディパットを決めるだけだった。「最後はいつも通りに決めることだけ考えていた」ウィニングパットを沈めると、静かに両手を大きく突き上げた。「すごい試合だったので勝手に出た」。周りにギャラリーはいなかったが、グリーンサイドには東北福祉大の後輩たちが祝福のグータッチで迎えた。
72ホール目の18番パー5。ティイングエリアに立った時点では、トータル13アンダーで同じ最終組で回る石坂友宏、1つ前の組で回る稲森佑貴とトータル13アンダーで並んでいた。さらに1打差のトータル12アンダーには同組の大槻智春。イーグルまである最終ホールは手に汗を握る展開となった。
結局、稲森が先に最終ホールをボギーとして脱落し、大槻は左の林に入れてパー。金谷はバーディパットを外し、石坂はバンカー目玉からパーセーブして、47回目の伝統ある大会の優勝者は、22歳の金谷と21歳の石坂によるプレーオフで決することになった。ルーキー同士、しかも学生同士のプレーオフはツアー発足後初めてのこと。
「とにかく石坂選手もずっといいプレーをしてきて、自分ももっといいプレーをしたいと思った。相乗効果でいいプレーができた」という金谷。18番は右ドッグレッグのパー5。ドライバーで打つと、ちょうど左右のフェアウェイバンカーの間の距離で落としどころが狭い。少しでも曲げれば林が待ち構えている。しかも金谷は今週、ショットの調子が良くなかった。
ここで金谷は集中力を発揮。「ティショットが難しいので真っすぐ打つことだけを考えた」。1時間10分にも及んだプレーオフは、4ホール目でティショットを右の林に入れた石坂に対し、一度も大きく曲げることがなかった金谷に軍配が上がった。
「小さい頃からダンロップフェニックスはよく見ていた。歴代優勝者にはすごい選手ばかり。そこに自分の名前を刻めて本当にうれしいと思っています」。過去にはタイガー・ウッズやトム・ワトソン(ともに米国)、セベ・バレステロス(スペイン)にジャンボ尾崎、金谷が憧れる大学の先輩、松山英樹も優勝トロフィーを掲げている。
「尊敬する松山選手と同じ試合で優勝できてうれしいです」と22歳の笑顔がこぼれた。プロ転向後、国内ツアー3戦目での日本人の優勝は、松山英樹の2戦目に次ぐ早さ。「プロ転向したとき、自分が通用するのか不安だった」という元世界アマチュアランキング1位だが、プロデビュー戦となった「日本オープン」では7位、先週の「三井住友VISA太平洋マスターズ」は5位タイと、プロの肩書を背負ってもその強さは健在だった。
「上位でプレーすることができて(不安が)自信に変わり、(この優勝で)自信が確信に変わりつつある」とルーキーらしからぬコメントも。この優勝で賞金2000万円を積み上げ、賞金ランキングは3位に浮上した。気は早いが、松山がルーキーイヤーに達成した賞金王を期待してしまう。
「まだシーズンは始まったばかり。(賞金王には)もっともっと優勝を重ねないと難しいが、良いスタートが切れて良かった。賞金王を目指してやっている」と平然という。これで今年の最終戦「ゴルフ日本シリーズJTカップ」と来年1月開催の米国男子ツアー「ソニー・オープン・イン・ハワイ」の出場権を手に入れた。松山が国内ツアー賞金王からすぐに米国に渡って活躍したように、海外を主戦場とする金谷を見るのも、そんなに遠くない未来かもしれない。(文・下村耕平)

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