「かまどか」が提供する1人前サイズの鍋料理「こなべ」メニュー(同店提供)

写真拡大

 コロナ禍で忘年会に大異変が生じている。全国の企業約1万社のうち約9割が忘年会や新年会の開催を見合わせるとの調査もあり、書き入れ時の飲食店にとっては大打撃だ。飲食店側では感染予防を徹底した忘年会の開催に向けあの手この手の工夫を凝らしている。

 東京商工リサーチが全国の企業約1万社を対象に今月9〜16日にかけて実施したアンケートで、「今年、忘年会または新年会を開催しない予定」と回答した企業は全体の約88%にのぼった。

 感染が拡大している北海道では約93%が「開催しない予定」と回答、都道府県別で最多となった。東京商工リサーチの担当者は「大都市圏では特に開催に後ろ向きな回答が多い。調査の締め切り以降も全国的に感染者の増加が著しく、調査結果以上に開催に控えめな企業が増えているかもしれない」とする。

 法人向けフードデリバリーサービスを運営する日本フードデリバリーが10月7〜13日に20歳以上の男女852人に実施した調査では、54・1%が「忘年会への参加で感染リスクが高まる」と回答。職場の忘年会が開催された場合、「参加したくない」「どちらかといえば参加したくない」との回答が61・5%にのぼった。

 東京都内の金融機関に勤める20代男性は「部署でも忘年会の話題が持ち上がらない。おそらく実施しないということだろうが、万が一オンラインで開催するとしたら使い方が分からないメンバーへのレクチャーなど、今までと違う苦労がありそうだ」と漏らす。

 逆風が強まる居酒屋側も今年は特別な工夫を凝らしている。飲食大手のレインズインターナショナルが運営する居酒屋チェーン「かまどか」では、17日から1人前サイズの鍋料理「こなべ」メニュー(税抜790円から)6種類の販売を始めた。大人数で同じ鍋をつつくリスクを懸念する声を踏まえた。

 「例年より予約数は減っているが、店内では飛沫(ひまつ)を防止する仕切りを設け、定期的な換気や消毒も徹底している」と同社広報担当者。「1人前の鍋料理は、コロナ対策以外にも個人が好きな鍋を注文できるメリットもあり、反響によってはこの先もメニューに残すことも視野に入れている」とする。

 東京都渋谷区の「恵比寿イーストギャラリー」は、「食べない忘年会・新年会プラン」を企画した。参加者が検温を実施したうえでマスクを着用、会場内ではあいさつや写真撮影のみとし、開催時間は30分前後だ。肝心の食事は、店側が包装した料理を提供し、参加者が持ち帰って楽しむ仕組みだ。同店の広報担当者は「今年はリモートワークやオンラインでの飲み会が増えた一方、少しでも顔を合わせて集まりたいという要望があった」と背景を語る。

 20年以上にわたり忘年会や新年会の貸し切りパーティーを行っている同店では「例年は早い段階で予約が埋まってしまうことも多かったが、今年の予約数は例年の10分の1にとどまっている」と広報担当者。「会場の滞在時間を短縮した分、換気や清掃などを徹底した上で1日に複数の団体を受け入れる検討もできるので、相談してほしい」と呼びかけた。