「日本代表は現在、苦しい時期にあるだろう。その理由は、選手のパーソナリティの問題か、監督のプレーモデルの問題か。それぞれの選手の成長状況もあるかもしれない」

 スペインの慧眼、ミケル・エチャリは日本代表のパナマ戦、メキシコ戦を総括してそう語っている。

 エチャリは、ロシアワールドカップ後に発足した森保ジャパンについて、「抜擢した選手は勇躍し、成果を残している。難しい世代交代に成功。戦術的にも3バック、4バックを用い、熟成と実験を繰り返してきた」と高い評価を与えてきた。

 しかし、今年の欧州遠征に関しては、「前後半で違うチームになってしまう」とプレーの不安定さを鋭く指摘している。各所でほころびが出ていることを見逃さなかった。

 そのエチャリがパナマ戦、メキシコ戦で気になった8人の選手とは――。


パナマ戦は後半37分まで、メキシコ戦は後半12分までプレーした柴崎岳

〇柴崎岳(レガネス)

「パナマ戦はボランチで先発。森保一監督は、柴崎をチームの中心に考えているのだろうか。それはひとつの考え方として尊重されるべきだが、依存するのは好ましくない。前回の欧州遠征も含めて、柴崎は決して好調とは言えないプレーが続いている。この試合でも前半の出来は懸念材料だった。後半、ボールを多く触るようになると、クリエイティブな才能の一端を発揮したが。

 メキシコ戦もボランチで先発。遠藤航とのコンビは悪くなかった。ただし、チームがいい状況ではパスセンスを発揮することができるが、苦しい状況ではプレーが空転する。後半序盤で交代となっており、残念ながらリーダーシップを発揮できていない。そもそもリーダーのタイプなのか。プレーから感じるのは吉田麻也、もしくは酒井宏樹が、その適性を備えているように見える」

〇遠藤航(シュツットガルト)

「パナマ戦はボランチで後半から交代出場。プレーにダイナミズムを与えた。ポジショニングがいいため、ボールが集まったし、アドバンテージを持ってプレーし、迅速なプレーでコンビネーションを高速化していた。後半、チームが見違えるようになった要因のひとつだろう。

 メキシコ戦はボランチで先発。遠藤を起点にして日本のプレーが始まっていた。前半は柴崎をうまく生かしていたし、鎌田大地との連係も抜群によかった。鎌田と並び、メキシコ戦のベストプレーヤーと言えるだろう」

〇長友佑都(マルセイユ)

「パナマ戦は、左ウィングバックで先発出場。私は2008年から代表で彼を見てきたが、不動の存在と言えるだろう。しかし今回、久しぶりにプレーを見たが、攻め上がりが早すぎた。タイミングの悪さは試合勘の問題なのか。以前のようなスピードがないのも気になった。その不安が、ポジショニングにも影響したのかもしれない」

〇原口元気(ハノーファー)

「パナマ戦は後半途中に長友と変わって、左ウィングバックで出場。左サイドでの攻め上がりのタイミングが抜群だった。中盤の選手にパスコースを与え、同サイドの久保建英の自由なプレーを促した。スピードもパワーも感じさせ、マン・オブ・ザ・マッチと言える。戦術的に欠かせない選手だ。

 メキシコ戦は左MFとして先発出場。鎌田からのボールを引き出し、高い水準でプレーしていた。また、逆サイドの伊東純也と近づくことで、敵に脅威を与えている。際どいシュートは、GKギジェルモ・オチョアの好セーブに防がれた」

◆「ミケル・エチャリのメキシコ戦レポート」>>

〇久保建英(ビジャレアル)

「パナマ戦はシャドーで先発。後半は原口のサポートを受け、攻撃に多く関われるようになった。ライン間でボールを受けるのがうまく、次のプレーをイメージしたコントロールで、プレースピードの速さを見せた。ドリブルからシュートまで持ち込んだシーンもあったように、単独でも打開できるが、やはりコンビネーションで力を発揮する。決勝点のPKにつながる南野拓実へのパスなど、つなぎ役として仕事をした。

 メキシコ戦は後半途中に交代出場。ひとりでもゴールに迫れる力を見せた。ファウルでしか止められていない。FKも含めて、終盤のチャンスはすべて久保が作り出していた」

〇南野拓実(リバプール)

「パナマ戦は1トップで先発。裏にボールを呼び込もうとし、何度か成功していた。しかし最後のプレーの精度が、いつもよりも低かった。前半は低調だったが、後半に高い位置でチームがボールを回せるようになると、久保、原口との連係から相手を脅かしていた。

 メキシコ戦は後半途中から交代出場。日本の2失点目は彼がボールを奪われたところからだった」

〇鎌田大地(フランクフルト)

「パナマ戦はトップ下で後半途中から交代出場。20分足らずの出場だったが、次々に日本のチャンスを作り出している。受け手が決めることができていたら、ゴールショーになっていたはずだ。プレースピードが速く、相手に余裕を与えていない。

 メキシコ戦は、2トップの一角で先発出場。中盤まで落ちて、ボールを引き出し、数的優位を与えつつ、攻撃を展開した。日本の攻撃はほとんどすべて鎌田から作られている。特に遠藤、原口、伊東との連係は抜群。右サイドでボールを受け、左サイドを走る原口元気に展開したロングパスも極上だった。今回の遠征での日本のベストプレーヤーだった」

〇鈴木武蔵(ベールスホットVA)

「メキシコ戦に2トップの一角で先発出場。前半、チームの攻撃が活性化する中でも、ポジションに迷っている場面が目立った。鎌田との距離感が悪く、近づきすぎていた。前半10分には、一歩遅れる形で、鎌田のクロスに飛び込めていない。15分もGKと1対1になる絶好機があったが、簡単にブロックされてしまった」

 今回、エチャリが取り上げた選手を見ると、よくも悪くも日本代表の現状が伝わってくるかもしれない。厳しいものも含まれているが、あくまで建設的な意見である。これから強固な戦いをするためには何が必要なのか――。いずれにせよ、ポジションなどの検証が必要になるだろう。