検問で使った飲酒感知器を消毒する警察官

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 新型コロナウイルスの感染拡大が、飲酒運転の取り締まりに影響を与えている。

 検問では、マスク着用で酒の臭いが判別しづらく、機器類の消毒が不可欠なうえ、自宅で酒を飲む「宅飲み」が増えたことで繁華街周辺での一斉摘発が難しくなっているためだ。それでも、酒食の機会が増える年末年始に向け、熊本県警は取り締まりを一層強化する。

消毒に一苦労

 「息を吹きかけてください」。10月下旬の週末、熊本市中央区新町2の路上で、熊本南署員が夜間検問をしていた。

 署員は、マスクとゴム手袋を着け、飲酒感知器を毎回消毒する。アルコール消毒は飲酒検知時のデータに支障を来すため、次亜塩素酸水をしみこませた布で拭き取る。

 「感知器は、口元に装置を近づけて息を吹き付けなければならないため、感染リスクがある。消毒の手間が増え、マスクを着けているので鼻もうまく利かない」。村上寿一・交通1課長は、そう悩みを打ち明ける。

 署は、検問で感染を拡大させないことはもちろん、署員がウイルスを署内に持ち込まないように、神経をとがらせている。

「宅飲み」増加

 県警によると、今年の飲酒運転の摘発件数は9月末現在で292件と、前年同期(429件)に比べて3割近く少ない。飲酒運転自体が減ったというよりも、春先の緊急事態宣言時期に検問を控えたことや、外出自粛の影響が一定程度あるとみられる。

 今年は、飲酒運転事故を起こした人が、酒を飲んだ場所に変化が見られる。昨年までの5年間では、「飲食店」が平均43%と最も多かったが、今年は2割程度にとどまっている。逆に平均34%だった「自宅」が5割超を占めている。

 背景としては、飲食店の営業自粛や個人の感染防止対策で、宅飲みの増加が考えられる。県警は、酒やつまみを買い足すため、「ちょっと近くのコンビニに」と軽い気持ちで車を運転する恐れが高いと指摘する。

深酒の傾向も

 道交法は、酒気帯び運転のアルコール濃度の基準値を呼気1リットル当たり0・15ミリ・グラムと定めている。県警によると、事故後の飲酒検知で基準値の1・5倍となる呼気1リットル当たり0・25ミリ・グラムを超えたケースが、全体の95%を占めるという。昨年までの5年間平均と比べて2割も多い。

 県警は「外出自粛や在宅勤務によるストレスに加え、宅飲みで深酒する可能性も考えられる」とする。

 例年ほどではないにしろ、今シーズンも年末年始に酒食の機会が増えることが予想される。

 全国で感染者数が最多を更新し、県内の感染リスクも「レベル3(警報)」だが、飲酒運転の取り締まりを緩めるわけにはいかない。これまで繁華街周辺に重点を置いていた飲酒検問の場所も、宅飲みを念頭に置く必要がある。

 熊本南署の村上交通1課長は「一番の対策は取り締まりだ。そのためにもミニ検問に力を入れる」と話している。