ハンストを始めたころの菅野氏。この後、25日間にわたりハンストを行い、8kg痩せたという

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◆明々白々たる違法行為

 最初に断言しておこう。日本学術会議に対する、菅総理による人事介入は、明々白々たる違法行為である。

 「学問の自由が侵害される」などと大上段に構える必要とてない。単に、日本学術会議法が規定する総理の権能と、昭和24年の同法成立以降歴代の内閣が国会で積み重ねてきた政府答弁が「内閣総理大臣は、日本学術会議の人事に介入するべきでないし、日本学術会議法の条項は、内閣総理大臣による人事介入を禁ずるよう書かれているものだ」と確定している以上、菅政権が行った日本学術会議への人事介入は、「総合的かつ俯瞰的な判断」を根拠にするものであれなんであれ、朗々として、違法行為である。

 違法行為を「朗々」と形容するのはいささかおかしいかもしれない。しかし、この問題が報道され出した当初から、菅政権が見せる態度を見てみるといい。あれは「朗々と朗らかに違法行為を謳歌している」としか言いようがないではないか。自分の行為にいささかの疑問も抱かず実に晴れやかかつ伸びやかに、「違法行為だよ! 知ってるいよそんなことは! でも、自分たちがやっていることは、自分たちはやりたいようにやるのさ‼」と違法行為を謳歌している。これを形容するには「朗々」という言葉こそが最もふさわしい。

 「見た目」の問題として、そこまでの「朗らかさ」を今の政権から感じないのは、単に、菅義偉や加藤勝信の「ルックス」が、典型的な無教養人のそれであり、ごく普通の民間の上場企業ならばそれだけで査定が下がるほど、身だしなみが不潔であるからでしかない。その種の視覚的要素を排除し、この政権が発足前後から重ねてきたさまざまな発言を論理的に解析してみれば、いかにこの政権が、「違法行為を違法行為と知った上で、違法行為をやってみせる」やる気に満ち溢れているかがわかる。

 日本学術会議への人事介入は、その端緒であり最もわかりやすい事例だろう。こう考えて整理してみれば誰しもわかるはずだ。菅総理は総裁選の最中に「公務員が内閣の方針に反対するなら退いてもらう」と言っている。また一方で「我々は選挙で選ばれたのだから、前例踏襲をよしとせず、さまざまな改革に着手する」とも言っている。そして日本学術会議については「会員は公務員である」と言いのけている。

 この3つを合わせて考えると「内閣総理大臣による人事介入は厳に禁じられるところであるが、我々は選挙で選ばれた以上、法律や前例に囚われることなく、その方針に反対する公務員の首をはねていくわけで、日本学術会議に人事介入するのは、法はどうであれ当然である」と言っているに等しいではないか。つまり菅義偉は、「選挙に勝って政権についた以上、自分たちに法律なんて関係ない」と言い切っているのだ。

 かかる前代未聞の異常事態に抗議するため、私は、日本学術会議への違法な人事介入に関する初報のあった翌日=10月2日から、首相官邸前に座り込みハンガーストライキに突入した。合計25日にわたるハンストの意図・目的などはすでに月刊日本編集部が取材してくれており、同誌11月号に掲載されているはずで、重複をさけるためここでは触れない。ただ、ハンスト期間冒頭で行われたあのインタビューの後、私が目撃した、「官邸前の警官たちの様子」に関しては、違法行為を違法行為と知りながら「朗らか」にやってのけてしまう菅政権の本質を考えるために、報告に値するだろう。

◆官邸前の異常な警備行為

 周知のように、杉田官房副長官を始め、警察官僚、しかも公安畑の官僚が官邸官僚として君臨するのが、菅政権の特徴であり、これまでの政権との大きな違いだ。これまで、どの政党のどの政権であれ、主要な補佐官や秘書官は、財務・経産・外務の所謂「主要三省庁」出身者が占めることが通例だった。その職務・職責として日常業務の一環で天下国家の議論を行っている省庁はこの三省庁しかない以上、それが当然の成り行きだろう。