「経済的に、コロナウイルスは不釣合いに女性を影響している。小売りやサービス業など、より変則的な雇用についていることが多いからだ。昨今の日本の失業のうち、彼女たちは66%を占めている」

 また、親へのストレスが増していることで、子どもたちが発している「危険サイン」も見過ごされがちになっているという。同記事によれば、ここ数年日本の自殺者数は低下傾向にあるものの、未成年の自殺件数はいまだ上昇し続けている。

◆進まないメンタルヘルスへの理解も背景に

 「アジアでは、欧米に比べてメンタルヘルスの問題について汚点がつきまとうことが、死者数の原因かもしれない。例えば日本では、自分の感情や本当の自分を見せることに対して、社会的圧力がある」

 真っ先に「自助」を求められる社会では、追い詰められたときに助けを求めることすら叶わない。まさに生き地獄だ。

 「自殺者数は初め、ウイルスの感染拡大を防ぐため、春に政府が発表した緊急事態宣言の間は低下した。専門家は、職場や学校のストレスから離れたせいだとした。こうした集団的な連帯は、戦争や自然災害によっても発生した。

 しかし、経済が再開するとともに、一部の国民は置いてきぼりにされた。たとえば解雇された労働者や、家に居続けなければならなかった人たちだ。日本では、3か月間の閉鎖後、6月から学校が再開した。統計によればイジメが増加し、学業に追いつくためのストレスが加わった」

 あまりに多い自殺者数、先進国のなかで遅れに遅れている女性の社会進出、イジメ……。これらはすっかり我々にとって「当たり前の日常」となってしまった。いや、人によってはそれを「日本の文化」とすら呼ぶかもしれない。

 しかし、それは目の前にある問題に対して、無感覚になっていたことの裏返しなのかもしれない。これだけ多くの人が自ら命を奪ってしまう状況は、決して「当たり前」ではない。むしろ、当たり前であってはならないだろう。

 日々の生活を送るだけでも不安やストレスに蝕まれる今、たとえ身近な人の問題であっても、救いの手を差し伸べることは難しいかもしれない。だが、こうした問題に対して見て見ぬ振りをするのではなく、それを直視し、苦しんでいる人がいると理解するだけでも、社会は変わるはずだ。

 はたして、海外メディアがメンタルヘルスの「ワーストケース」として取り上げる日本はどうなるのだろう。

 こころの健康相談統一ダイヤル:0570-064-556

<取材・文・訳/林 泰人> 【林泰人】
ライター・編集者。日本人の父、ポーランド人の母を持つ。日本語、英語、ポーランド語のトライリンガルで西武ライオンズファン