三吉彩花&伊藤沙莉、実は小学生から深い仲「私は24歳」「え、2コ下なの?」
●出会いは2007年のドラマ『オトコの子育て』
今年、『犬鳴村』『Daughters』と主演映画が続く三吉彩花と、主演映画『タイトル、拒絶』ほか『ホテルローヤル』『ステップ』など多くの作品が公開されている伊藤沙莉。ともに引っ張りだこの二人が、「源氏物語」を題材にした内館牧子氏の小説を、黒木瞳が監督した『十二単衣を着た悪魔』で共演している。
「源氏物語」の世界に入り込んでしまった現代のフリーター・雷(伊藤健太郎)が、陰陽師として生き抜いていく本作で、これまで悪女と見られてきた弘徽殿女御(こきでんのにょうご)を、現代的なカッコイイ女性として演じた三吉と、結婚相手として雷を支えていく倫子(りんし)を演じた伊藤。
本編では共演シーンがなかったものの、実は二人は小学生の頃から知る「三吉」「沙莉」と呼び合う仲! そんな二人だからこその掛け合いで、本作の魅力だけでなく当時の思い出などもざっくばらんに語り合った。
○■弘徽殿女御はとても愛情の強い女性
――源氏物語の絵巻の中に入ったようでした。三吉さんは現代の女性も憧れるかっこいい弘徽殿女御を、伊藤さんは現代の女性も可愛いと好きになる倫子を演じました。
三吉:こんなに強い女性を演じさせていただくのは初めてでした。自分で口にしながら気持ちのいいセリフが多かったですね。一見、怖い女性に見えますが、いろいろなものを犠牲にしながら戦っている、とても愛情の強い女性。黒木監督からも、弘徽殿女御への思い入れをたくさんお話いただいて、セリフのニュアンスや佇まいなど、細かいところも一緒に作っていただきました。
――三吉さんはクランクイン前に、黒木監督とみっちりレッスンされたそうですね。前に監督からお話を伺った際に、途中から三吉さん自身の弘徽殿女御として、役を消化して出せていたと。
三吉:嬉しい! 「もうちょっと高い声で」とか、「滑らかに」とか、監督の細かな指導を日々吸収しながら必死にやっていました。とても濃い時間でした。
○■雷と出会って、黒だったものが真っ黄色に
――倫子は源氏物語にはいないキャラクターですね。
伊藤:はい。倫子は雷の結婚相手です。結婚するというだけで、大人みたいに感じるけれど、でも倫子はまだ自分が整っていない状態。それでも大人として過ごさなきゃいけない。「もうちょっと子どもでいていいのに」みたいな育ち方をする人って、今でもいると思うんです。流れに逆らえずに。特にあの時代は恋愛結婚でもないから、倫子は「自分に当たった人はかわいそうだな」とも思っていた。それが雷と出会って、黒だったものが真っ黄色になったくらいに、パンって何かが跳ね上がった。その変化は大事にしたいと思いました。それと倫子はピュアではあるけど、弱い人間じゃないと感じました。
――そうですね。しっかり支えになっていました。
伊藤:自分とはまた違うベクトルで自信のなさを抱えた雷が目の前に来て、倫子の根っこにあった強さが出てきたというか。じゃなきゃ、雷を支えられない。そうした強さもどこかに垣間見えたらいいなと思いました。あと、強く見える弘徽殿女御にも弱い部分があって、クッとこらえているのが伝わるから、かっこいい女性に見えるんだと思います。完全無欠の鉄でできた女性ではない。それを三吉さんが、すごくステキに演じられてました。あ、すみません、「さん」付けでやらせていただきます。
三吉:えー、やだ。こちらこそすみません(笑)。
○■仲良しの二人の出会いは2007年のドラマ
――おふたりは劇中での共演シーンはありませんでした。
伊藤:そうなんですよ。そうそう、弘徽殿女御の登場シーン。あそこで扇子を投げるじゃん。あれって一発でOKだったの?
三吉:扇子を最初に投げるのは私だけど、あとの扇子の動きはCGだから。
伊藤:あ、そうなの!? あれ? 私、いいお客さんじゃない? どうやって撮ってるんだろうって真剣に思ってた。
三吉:あはは。でも周りの人の動きがあるからね。御簾を上げるスピードだとか、みんなで合わせるのがすごく大変だったんです。クルクルクルって上げるんだけど、なかなかできなくて。「こうやるのよ」って監督が一番うまかった(笑)。
伊藤:そうなんだぁ。
――おふたり、とても仲良しですが、これまで共演は。
伊藤:小学生のときから知ってるんです。最初は『オトコの子育て』(07 テレビ朝日系)っていうドラマで共演して。
三吉:そこから年数があって『GTO』(14 カンテレ・フジテレビ系)でも一緒だったよね。
――そうでしたね!
伊藤:何年越しの付き合いだろうね。あと、オーディションでずっと会ってたんだよね。
三吉:そう。当時から本当にすごいスーパー子役がいると思ってて、一緒になりたくなかったんです。オーディションって、5人ずつくらいのグループに分かれてたりするんですが、会場に入っていくと、「うわ、いる」って。
伊藤:いやいや、スーパー子役って(笑)。「毎回、いるよ」ってね。私、オーディション魔だったんです。
○■伊藤は三吉の母とも仲良しだった
――確かに世代が一緒だとオーディションでも会いそうですね。そこから『GTO』でも一緒だと、学園ものは仲良くなりそうですね。
伊藤:でも三吉の役は不登校だったからね。
三吉:そうなんです。私は保健室っ子だったので。結構、みんなお芝居の中でのグループで一緒にいたりするから、そこではあまり話す機会がなかったかな。
伊藤:だから一番密だったのは小学生のときだよね。三吉は、あの頃、一生お菓子食べてた。ジャンクなヤツ。
三吉:今もです。あの頃のアノお菓子が一番好きです。
伊藤:そうなの!? 当時から本当に背が高くてスタイルがよくて、すでに完成されてたんですよ。「こんなに一生、お菓子食べてるのに!どういうことなの!?」って思ってたんですけど、お母さんが答えなんです。キレイで、背が高くてスタイルがよくて。そういえば、三吉のお母さんって、当時、はっちゃけてたよね。
三吉:今もです。
伊藤:あはは! そうなんだ、サイコーじゃん! 当時は三吉とも喋ってたけど、お母さんとはもっと喋ってた。「沙莉、元気ぃ?」みたいな感じだったから、「あ、はい! 今日も元気っす」って。
三吉:いまだに話に出るよ。今回もこの映画のこと見て、「え、沙莉、出てるの?」って言ってた。
○■二人の関係は、三吉が姉で伊藤が妹?
――なんだか同級生と会ってるみたいですね。
伊藤:ほんとにね。
三吉:いま何歳?
伊藤:26歳。
三吉:あ、そうなの。私は24歳。
伊藤:え、2コ下なの? ずっと1コ下だと思ってた。意外と離れてるじゃん。
――三吉さん、落ち着いてますからね。
伊藤:同級生役が多かったから、同級生の感覚。というより、ホント三吉のほうがお姉さんぽいし、毎回お姉さんだと思って接してます。
三吉:ウソでしょ。
伊藤:ホントです。
●互いに気になる「いつ休んでるの?」
○■本作の見どころはお互いのシーン
――今回、同じ作品で、大人になったお互いを観ていかがですか?
三吉:私は、この映画の見どころは「倫子と雷のラブストーリーです」って他の取材でも話してるんです。
伊藤:えー!
三吉:本当に。弘徽殿女御は、もちろんかっこいい女性ですし、彼女によって雷が成長していく物語ではあるんですけど、一方で、ピュアで可愛い、とても温かい、そして最後にホロっと泣いてしまうような、そんな純愛が展開されていて。倫子も、ほんとだんだんたくましく見えてくるし。「二人のラブストーリーが見どころ」だとずっと言ってます。
伊藤:三吉、ほんと、いい子だね。いや、嬉しいです。でもこれはお返しじゃなくて、私は強い女性を演じるって、本当に難しいと思うんです。ただ強くモノを言ったりしても、本当の強さには見えない。弱いヤツほどよく吠えるから。でも弘徽殿女御からは、ちゃんとした強さが滲み出ている。今回、三吉とは最初の所作指導で少し一緒だったくらいなんです。そのときにはゼロだったので、本編では完成された弘徽殿女御が出てくるんだろうと予想はしていましたが、でも予想以上だったというか。強く生きているように見えるのに、同時に切なさもあって。目が語る情報量がものすごく多くて、本当に三吉、さん、じゃなきゃできない弘徽殿の女御だったと思います。
三吉:やだぁ、ありがとうございます。
伊藤:いやいや、本当に。なんか上からに聞こえたら申し訳ないですけど、大正解の弘徽殿女御だったなって。しっかりと人間味があって、とても魅力的でした。
○■もしもタイムスリップできるなら……
――タイムスリップものでもあります。三吉さんは、時代でも物語でもで、どこかに移動できるならどこに行きたいですか?
三吉:恐竜がいる時代に行ってみたいです。
伊藤:アハハハ! 絶対ヤだ、食べられちゃうよ。
三吉:恐竜に会いたいんです。
伊藤:覗くんじゃなくて、会いたいの?
三吉:触れたい。目を合わせたい。
伊藤:ヤだ! めちゃくちゃデカイんだよ。どれに会いたいの? ティラノ?
三吉:まあ、ティラノとか。一通り。
――自分自身が恐竜になって戦いたいとかは?
三吉:それは全然ないです。戦うのは本当に嫌いなので。
伊藤:馬みたいな感覚で会いたいとか?
三吉:そうそう。卵がかえる瞬間とか見たい。
○■「光源氏」づいてる伊藤が三度目の正直で演じたいのは?
――伊藤さんはこのところ光源氏づいてますが。(※ドラマ『いいね!光源氏くん』)
伊藤:づいてますね〜。
――また光源氏ものの世界に入れるなら、今度はどんな役を演じたいですか?
伊藤:役柄で言ったら、自分としては倫子がジャストだと思うんです。でもそうだなぁ、これまではどっちも受け入れる側なんですよ。現代で受け入れるか、平安で受け入れるか。
三吉:確かに。
伊藤:だから今度は受け入れられたいです。自分が降り立った時代で戸惑ってみたい!
三吉:ねえねえ。沙莉っていつ休んでるの?
伊藤:ええ! それはこちらのセリフですよ。三吉もすごく忙しそうじゃん。
三吉:いや、仕事とかって話じゃなくて。
伊藤:あ、テンションのこと?
三吉:畳みかけるスピードが速すぎなんだもん。家に帰ったらめっちゃ静かとか?
伊藤:家だとスイッチ切れてるね。充電してる。いまはまだ充電98くらいあるからね!
三吉:あはは、そうなんだ。
○■今度はがっつり共演をして喧嘩でも
――本当に仲良しですね。今度は本編で共演しているお二人が見たいです。
三吉&伊藤:本当に!
伊藤:がっつり喧嘩とか。
三吉:したいしたい。でも負けそう。
伊藤:何言ってるの、大丈夫だよ。上から見下ろすだけで勝てるよ。
三吉:あはは。そう?
――最後に公開に向けてひと言ずつご自身のシーンから見どころをお願いします。
三吉:弘徽殿女御は、たとえ犠牲を伴ったとしても、息子や国のために色んな事を成し遂げていく強い女性ですが、後半、六条御息所に問いかけるところがあって、そこは撮影しながらもグッと気持ちの入ったシーンでした。そういったところから弘徽殿女御の温かさを、ジンワリ感じていただけたらなと思います。
伊藤:雷と倫子のシーンって、結構点描で展開していくんです。2人が育んでいく日々の全部を見せることはできないので。そのなかでも雷が歌うスピッツが絶妙なんです。
三吉:わかる!
伊藤:あそこが本当に絶妙で、倫子と雷の時間の流れを象徴するシーンにも感じられるので、ぜひ堪能してください。
■三吉彩花
1996年6月18日生まれ。埼玉県出身。ファッションモデルとして活躍。女優としては、映画『グッモーエビアン!』(12)、『旅立ちの島唄〜十五の春〜』(13)での演技が評価され、第67回毎日映画コンクールおよび第35回ヨコハマ映画祭最優秀新人賞を受賞。近年、『ダンスウィズミー』(19)、『犬鳴村』(20)、『Daughters』(20)と主演作が次々と公開されている。
■伊藤沙莉
1994年5月4日生まれ。千葉県出身。2003年に子役としてデビュー。主な出演作に映画『獣道』(17)、『寝ても覚めても』(18)、『劇場』(20)、ドラマ『ひよっこ』(17)、『これは経費で落ちません!』(19)、『いいね! 光源氏くん』(20)。アニメ『映像研には手を出すな!』(20)など声優としても活躍。本年は、第57回ギャラクシー賞個人賞ほかを受賞。
望月ふみ 70年代生まれのライター。ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画系を軸にエンタメネタを執筆。現在はインタビュー取材が中心で月に20本ほど担当。もちろんコラム系も書きます。愛猫との時間が癒しで、家全体の猫部屋化が加速中。 この著者の記事一覧はこちら
今年、『犬鳴村』『Daughters』と主演映画が続く三吉彩花と、主演映画『タイトル、拒絶』ほか『ホテルローヤル』『ステップ』など多くの作品が公開されている伊藤沙莉。ともに引っ張りだこの二人が、「源氏物語」を題材にした内館牧子氏の小説を、黒木瞳が監督した『十二単衣を着た悪魔』で共演している。
「源氏物語」の世界に入り込んでしまった現代のフリーター・雷(伊藤健太郎)が、陰陽師として生き抜いていく本作で、これまで悪女と見られてきた弘徽殿女御(こきでんのにょうご)を、現代的なカッコイイ女性として演じた三吉と、結婚相手として雷を支えていく倫子(りんし)を演じた伊藤。
○■弘徽殿女御はとても愛情の強い女性
――源氏物語の絵巻の中に入ったようでした。三吉さんは現代の女性も憧れるかっこいい弘徽殿女御を、伊藤さんは現代の女性も可愛いと好きになる倫子を演じました。
三吉:こんなに強い女性を演じさせていただくのは初めてでした。自分で口にしながら気持ちのいいセリフが多かったですね。一見、怖い女性に見えますが、いろいろなものを犠牲にしながら戦っている、とても愛情の強い女性。黒木監督からも、弘徽殿女御への思い入れをたくさんお話いただいて、セリフのニュアンスや佇まいなど、細かいところも一緒に作っていただきました。
――三吉さんはクランクイン前に、黒木監督とみっちりレッスンされたそうですね。前に監督からお話を伺った際に、途中から三吉さん自身の弘徽殿女御として、役を消化して出せていたと。
三吉:嬉しい! 「もうちょっと高い声で」とか、「滑らかに」とか、監督の細かな指導を日々吸収しながら必死にやっていました。とても濃い時間でした。
○■雷と出会って、黒だったものが真っ黄色に
――倫子は源氏物語にはいないキャラクターですね。
伊藤:はい。倫子は雷の結婚相手です。結婚するというだけで、大人みたいに感じるけれど、でも倫子はまだ自分が整っていない状態。それでも大人として過ごさなきゃいけない。「もうちょっと子どもでいていいのに」みたいな育ち方をする人って、今でもいると思うんです。流れに逆らえずに。特にあの時代は恋愛結婚でもないから、倫子は「自分に当たった人はかわいそうだな」とも思っていた。それが雷と出会って、黒だったものが真っ黄色になったくらいに、パンって何かが跳ね上がった。その変化は大事にしたいと思いました。それと倫子はピュアではあるけど、弱い人間じゃないと感じました。
――そうですね。しっかり支えになっていました。
伊藤:自分とはまた違うベクトルで自信のなさを抱えた雷が目の前に来て、倫子の根っこにあった強さが出てきたというか。じゃなきゃ、雷を支えられない。そうした強さもどこかに垣間見えたらいいなと思いました。あと、強く見える弘徽殿女御にも弱い部分があって、クッとこらえているのが伝わるから、かっこいい女性に見えるんだと思います。完全無欠の鉄でできた女性ではない。それを三吉さんが、すごくステキに演じられてました。あ、すみません、「さん」付けでやらせていただきます。
三吉:えー、やだ。こちらこそすみません(笑)。
○■仲良しの二人の出会いは2007年のドラマ
――おふたりは劇中での共演シーンはありませんでした。
伊藤:そうなんですよ。そうそう、弘徽殿女御の登場シーン。あそこで扇子を投げるじゃん。あれって一発でOKだったの?
三吉:扇子を最初に投げるのは私だけど、あとの扇子の動きはCGだから。
伊藤:あ、そうなの!? あれ? 私、いいお客さんじゃない? どうやって撮ってるんだろうって真剣に思ってた。
三吉:あはは。でも周りの人の動きがあるからね。御簾を上げるスピードだとか、みんなで合わせるのがすごく大変だったんです。クルクルクルって上げるんだけど、なかなかできなくて。「こうやるのよ」って監督が一番うまかった(笑)。
伊藤:そうなんだぁ。
――おふたり、とても仲良しですが、これまで共演は。
伊藤:小学生のときから知ってるんです。最初は『オトコの子育て』(07 テレビ朝日系)っていうドラマで共演して。
三吉:そこから年数があって『GTO』(14 カンテレ・フジテレビ系)でも一緒だったよね。
――そうでしたね!
伊藤:何年越しの付き合いだろうね。あと、オーディションでずっと会ってたんだよね。
三吉:そう。当時から本当にすごいスーパー子役がいると思ってて、一緒になりたくなかったんです。オーディションって、5人ずつくらいのグループに分かれてたりするんですが、会場に入っていくと、「うわ、いる」って。
伊藤:いやいや、スーパー子役って(笑)。「毎回、いるよ」ってね。私、オーディション魔だったんです。
○■伊藤は三吉の母とも仲良しだった
――確かに世代が一緒だとオーディションでも会いそうですね。そこから『GTO』でも一緒だと、学園ものは仲良くなりそうですね。
伊藤:でも三吉の役は不登校だったからね。
三吉:そうなんです。私は保健室っ子だったので。結構、みんなお芝居の中でのグループで一緒にいたりするから、そこではあまり話す機会がなかったかな。
伊藤:だから一番密だったのは小学生のときだよね。三吉は、あの頃、一生お菓子食べてた。ジャンクなヤツ。
三吉:今もです。あの頃のアノお菓子が一番好きです。
伊藤:そうなの!? 当時から本当に背が高くてスタイルがよくて、すでに完成されてたんですよ。「こんなに一生、お菓子食べてるのに!どういうことなの!?」って思ってたんですけど、お母さんが答えなんです。キレイで、背が高くてスタイルがよくて。そういえば、三吉のお母さんって、当時、はっちゃけてたよね。
三吉:今もです。
伊藤:あはは! そうなんだ、サイコーじゃん! 当時は三吉とも喋ってたけど、お母さんとはもっと喋ってた。「沙莉、元気ぃ?」みたいな感じだったから、「あ、はい! 今日も元気っす」って。
三吉:いまだに話に出るよ。今回もこの映画のこと見て、「え、沙莉、出てるの?」って言ってた。
○■二人の関係は、三吉が姉で伊藤が妹?
――なんだか同級生と会ってるみたいですね。
伊藤:ほんとにね。
三吉:いま何歳?
伊藤:26歳。
三吉:あ、そうなの。私は24歳。
伊藤:え、2コ下なの? ずっと1コ下だと思ってた。意外と離れてるじゃん。
――三吉さん、落ち着いてますからね。
伊藤:同級生役が多かったから、同級生の感覚。というより、ホント三吉のほうがお姉さんぽいし、毎回お姉さんだと思って接してます。
三吉:ウソでしょ。
伊藤:ホントです。
●互いに気になる「いつ休んでるの?」
○■本作の見どころはお互いのシーン
――今回、同じ作品で、大人になったお互いを観ていかがですか?
三吉:私は、この映画の見どころは「倫子と雷のラブストーリーです」って他の取材でも話してるんです。
伊藤:えー!
三吉:本当に。弘徽殿女御は、もちろんかっこいい女性ですし、彼女によって雷が成長していく物語ではあるんですけど、一方で、ピュアで可愛い、とても温かい、そして最後にホロっと泣いてしまうような、そんな純愛が展開されていて。倫子も、ほんとだんだんたくましく見えてくるし。「二人のラブストーリーが見どころ」だとずっと言ってます。
伊藤:三吉、ほんと、いい子だね。いや、嬉しいです。でもこれはお返しじゃなくて、私は強い女性を演じるって、本当に難しいと思うんです。ただ強くモノを言ったりしても、本当の強さには見えない。弱いヤツほどよく吠えるから。でも弘徽殿女御からは、ちゃんとした強さが滲み出ている。今回、三吉とは最初の所作指導で少し一緒だったくらいなんです。そのときにはゼロだったので、本編では完成された弘徽殿女御が出てくるんだろうと予想はしていましたが、でも予想以上だったというか。強く生きているように見えるのに、同時に切なさもあって。目が語る情報量がものすごく多くて、本当に三吉、さん、じゃなきゃできない弘徽殿の女御だったと思います。
三吉:やだぁ、ありがとうございます。
伊藤:いやいや、本当に。なんか上からに聞こえたら申し訳ないですけど、大正解の弘徽殿女御だったなって。しっかりと人間味があって、とても魅力的でした。
○■もしもタイムスリップできるなら……
――タイムスリップものでもあります。三吉さんは、時代でも物語でもで、どこかに移動できるならどこに行きたいですか?
三吉:恐竜がいる時代に行ってみたいです。
伊藤:アハハハ! 絶対ヤだ、食べられちゃうよ。
三吉:恐竜に会いたいんです。
伊藤:覗くんじゃなくて、会いたいの?
三吉:触れたい。目を合わせたい。
伊藤:ヤだ! めちゃくちゃデカイんだよ。どれに会いたいの? ティラノ?
三吉:まあ、ティラノとか。一通り。
――自分自身が恐竜になって戦いたいとかは?
三吉:それは全然ないです。戦うのは本当に嫌いなので。
伊藤:馬みたいな感覚で会いたいとか?
三吉:そうそう。卵がかえる瞬間とか見たい。
○■「光源氏」づいてる伊藤が三度目の正直で演じたいのは?
――伊藤さんはこのところ光源氏づいてますが。(※ドラマ『いいね!光源氏くん』)
伊藤:づいてますね〜。
――また光源氏ものの世界に入れるなら、今度はどんな役を演じたいですか?
伊藤:役柄で言ったら、自分としては倫子がジャストだと思うんです。でもそうだなぁ、これまではどっちも受け入れる側なんですよ。現代で受け入れるか、平安で受け入れるか。
三吉:確かに。
伊藤:だから今度は受け入れられたいです。自分が降り立った時代で戸惑ってみたい!
三吉:ねえねえ。沙莉っていつ休んでるの?
伊藤:ええ! それはこちらのセリフですよ。三吉もすごく忙しそうじゃん。
三吉:いや、仕事とかって話じゃなくて。
伊藤:あ、テンションのこと?
三吉:畳みかけるスピードが速すぎなんだもん。家に帰ったらめっちゃ静かとか?
伊藤:家だとスイッチ切れてるね。充電してる。いまはまだ充電98くらいあるからね!
三吉:あはは、そうなんだ。
○■今度はがっつり共演をして喧嘩でも
――本当に仲良しですね。今度は本編で共演しているお二人が見たいです。
三吉&伊藤:本当に!
伊藤:がっつり喧嘩とか。
三吉:したいしたい。でも負けそう。
伊藤:何言ってるの、大丈夫だよ。上から見下ろすだけで勝てるよ。
三吉:あはは。そう?
――最後に公開に向けてひと言ずつご自身のシーンから見どころをお願いします。
三吉:弘徽殿女御は、たとえ犠牲を伴ったとしても、息子や国のために色んな事を成し遂げていく強い女性ですが、後半、六条御息所に問いかけるところがあって、そこは撮影しながらもグッと気持ちの入ったシーンでした。そういったところから弘徽殿女御の温かさを、ジンワリ感じていただけたらなと思います。
伊藤:雷と倫子のシーンって、結構点描で展開していくんです。2人が育んでいく日々の全部を見せることはできないので。そのなかでも雷が歌うスピッツが絶妙なんです。
三吉:わかる!
伊藤:あそこが本当に絶妙で、倫子と雷の時間の流れを象徴するシーンにも感じられるので、ぜひ堪能してください。
■三吉彩花
1996年6月18日生まれ。埼玉県出身。ファッションモデルとして活躍。女優としては、映画『グッモーエビアン!』(12)、『旅立ちの島唄〜十五の春〜』(13)での演技が評価され、第67回毎日映画コンクールおよび第35回ヨコハマ映画祭最優秀新人賞を受賞。近年、『ダンスウィズミー』(19)、『犬鳴村』(20)、『Daughters』(20)と主演作が次々と公開されている。
■伊藤沙莉
1994年5月4日生まれ。千葉県出身。2003年に子役としてデビュー。主な出演作に映画『獣道』(17)、『寝ても覚めても』(18)、『劇場』(20)、ドラマ『ひよっこ』(17)、『これは経費で落ちません!』(19)、『いいね! 光源氏くん』(20)。アニメ『映像研には手を出すな!』(20)など声優としても活躍。本年は、第57回ギャラクシー賞個人賞ほかを受賞。
望月ふみ 70年代生まれのライター。ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画系を軸にエンタメネタを執筆。現在はインタビュー取材が中心で月に20本ほど担当。もちろんコラム系も書きます。愛猫との時間が癒しで、家全体の猫部屋化が加速中。 この著者の記事一覧はこちら