世界のトップ・オブ・トップは遠い。

 日本時間11月18日早朝に行なわれたメキシコとのテストマッチで、日本は0対2の敗戦を喫した。

 前半につかんだ決定機を得点に結びつけていれば、結果は違ったものになっていたかもしれない。だからといって、決定力不足で片付けられない試合である。

 鈴木武蔵は決定機を生かせなかったが、ラウール・ヒメネスは決めた。イルビング・ロサーノも決めた。なぜか。プレミアリーグでプレーするヒメネスは、セリエでプレーするロサーノは、日本とのテストマッチより重圧のかかる試合で得点を決めてきた。メキシコにとっての日本戦は、日本にとってのアジア2次予選とでも言えるだろう。プレッシャーはかかるとしても、十分に処理できるものなのだ。

 話を鈴木に戻すと、彼は今夏にベルギー1部リーグへ戦いの舞台を移したばかりだ。国際Aマッチでの得点は、中国相手に決めた1点に止まる。メキシコ戦の前半に迎えた決定的なシーンは、相手GKを褒めるべきであり、彼自身にも原因があった。普段の試合よりも。重圧を感じていたに違いない。大迫勇也がいないなかで結果を残したいという意気込みが、力みに変質したところもあったはずだ。いずれにしても、ヒメネスやロサーノとはメンタリティが違ったと考えられる。

 メキシコ戦について言えば、敵将ヘラルド・マルティーノは後半開始の選手交代で選手の立ち位置を変え、守備を安定させた。それに対して日本の森保一監督は、選手を入れ替えるだけにとどめた。

 とはいえ、より根本的な敗因は個々のクオリティの違いである。すなわちそれは、日本サッカー界の敗戦と言うこともできる。

 メキシコにはフル代表でも五輪代表でも、日本に勝ってきた歴史がある。それが自分の出場した試合ではなくとも、ピッチに立つ選手たちの支えとなり、自信の源となるのが、歴史というものである。Jリーグ開幕後の日本が、韓国へのコンプレックスを払しょくしていったのも、フル代表が勝つ試合を次代の選手が目撃し、「自分たちも勝てる」という意識が広がっていったからだった。

 アジアカップで勝ち、W杯予選を突破することで、日本は“アジアの巨人”と見なされていった。「アジアで負けることは許されない」という価値観にも似た思いが、世代を超えて共有されるようになった。

 そうやって考えていくと、世界のトップ・オブ・トップと伍していくには、ワールドカップやコンフェデレーションズカップといった公式戦で勝利することが必要になると思う。日本がコンプレックスや苦手意識を持っていなくとも、現状では相手が日本を呑み込むメンタリティで臨んでくるのが、世界のトップとの力関係だろう。テストマッチで勝利を積み上げていくのも大事だが、「負けると大きなものを失う」公式戦を制することで、日本サッカー界全体国が自信を得ることができると考える。

 日本代表の森保一監督は、カタールW杯で「過去最高のベスト8以上を目ざす」としている。ロシアW杯でベスト16に勝ち上がったのだから、次はベスト8以上に目標を設定する。より高い目標へ向かってチームを強化するのは間違っていないが、決勝トーナメントはまた違うレベルの戦いだ。

 98年や2018年のクロアチア、10年のパラグアイ、14年のコスタリカのように、いきなりベスト8の壁を超える例もあるが、コンスタントに上位進出を果たしていくほうが価値はある。94年から7大会連続で16強入りしているメキシコは、その意味で日本にとってのモデルと言っていい。

 表現方法を変えれば、メキシコはベスト16の壁を7大会連続で超えることができていない。そのチームに、力の差を見せつけられた。世界のトップ・オブ・トップは遠い。はるか遠くだ。