東京五輪世代の主軸たち。左上から時計回りに、三好、堂安、久保、冨安、板倉、中山。写真:サッカーダイジェスト写真部

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 年内最終戦となった17日のメキシコ戦(オーストリア・グラーツ)も終わり、一区切りとなった2020年の日本代表活動。10月のカメルーン、コートジボワール2連戦(オランダ・ユトレヒト)を1勝1分、11月のパナマ戦も勝利というところまではよかったが、ワールドカップ(W杯)常連国のメキシコに前半何度も決定機を作りながら、終わってみれば0-2と完敗。「同じベスト16でもこんなに差があるのか」とキャプテン・吉田麻也(サンプドリア)も呆然とするほど、森保ジャパンは厳しい現実を突き付けられる格好となった。 2022年カタールW杯8強の大目標を達成するためにも、若手の底上げは必須テーマ。1年延期となった東京五輪強化も本腰を入れなければいけない。新型コロナウイルスの影響で活動が休止してしまったため、東京五輪代表のここまでの歩みを忘れがちだが、1月のU-23アジア選手権(タイ)で日本はグループ最下位に沈むという屈辱を味わっている。サウジアラビア、シリア、カタールに未勝利という不甲斐ない戦いぶりには批判が高まり、森保一監督の解任論も高まった。 その後、反町康治・日本サッカー協会新技術委員長が交通整理を行ない、森保監督は本大会のみで采配。それ以外の活動は横内昭展コーチが中心となって進めていくことが決まったが、実際に選手が集まれるのは2021年3・6月と本番直前だけ。だからこそ、クラブレベルでの成長が強く求められる。国内組は12月末にサバイバル合宿を行なう方向のようだが、欧州組はそこには参加できない。よりクラブでの一挙手一投足が問われるのだ。

 そこで10・11月のA代表参戦者を見てみると、冨安健洋(ボローニャ)、中山雄太(ズヴォレ)、板倉滉(フローニンゲン)の守備トリオは所属クラブでコンスタントに試合に出ていることもあって、安定感のあるパフォーマンスを披露した。吉田麻也(サンプドリア)とともにDF陣の軸を担う冨安の安定感は誰もが認めるところで、中山もボランチと左サイドバック(SB)で及第点の仕事ぶりを見せた。板倉はパナマ戦のみの出場ではあったが、1対1の守備や左足のフィード力に磨きをかけた印象だ。彼らがこの調子で前進を続けてくれれば、守りの方はある程度、計算できる状況になりそうだ。 10月のカメルーン戦でA代表デビューを飾った菅原由勢(AZ)は、今季はいまだレギュラーを掴めていないのが気がかりだが、彼はSB、CB、右MFと多彩な役割をこなせるマルチ型。中山にしてもそうだが、18人しか登録できない五輪ではポリバレントな存在が必要だ。2か月連続のA代表参戦で冨安ら同世代の面々との連係や意思疎通を図れたのもアドバンテージと言える。それを生かしてクラブで出番を勝ち得れば、本大会に大きく近づくだろう。 

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 一方の攻撃陣だが、久保建英(ビジャレアル)はクラブでカップ戦要員に甘んじているものの、継続的にプレーしているのは確かでA代表出場数も二ケタに達し、森保監督から必要な戦力と位置付けられているのは間違いない。ただ、代表初ゴールに思いのほか時間がかかっているうえ、クラブでも欧州リーグ(EL)の1点のみ。試合を決定づけられる存在になり切れていないのは気がかりだ。


 それは三好康児(アントワープ)や堂安律(ビーレフェルト)にしても同様だ。ベルギー2年目の三好はここまでリーグ8試合出場・1得点。ELでトッテナムのような強豪と対戦経験を積み重ねているのは大きいが、まだまだ突き抜けるには至っていない。今季ドイツに活躍の場を移した堂安の方がバイエルン・ミュンヘン戦でゴールを挙げている分、インパクトは大きい。ただ、その堂安もクラブではインサイドハーフを主戦場としていて、右MFやシャドーに入る代表とは微妙に役割が違う。森保ジャパン発足時に見せた勢いが頭打ちなのも気になるところ。その停滞感をいかに打ち破るのか。ここから半年間での大化けに期待したい。 それ以外の候補者を見ると、1月のU-23アジア選手権で切り札的な役割を担った食野亮太郎(リオ・アヴェ)は思うように新天地で出番を得られておらず、今夏ドイツに赴いた遠藤渓太(ウニオン・ベルリン)も11月7日のビーレフェルト戦で移籍後初ゴールを決めながら負傷退場するという浮き沈みを味わっている。中村敬斗、伊藤達哉のシント=トロイデンコンビ、今季ポルトガル初挑戦の藤本寛也(ジル・ヴィセンテ)も安定した働きは見せられていない。バルセロナ2シーズン目の安部裕葵はバルサBでは主力だが、トップリーグで出ていない点はマイナス評価をせざるを得ない。

 


 やはり選手はクラブで試合に出て活躍してナンボ。それはリバプールで苦境を味わっている南野拓実も強調していること。「ここ(代表)でもチームでも結果を残さなければ居場所はない」と厳しい表情で語った。2016年リオデジャネイロ五輪を戦っていた頃の南野はザルツブルクで2シーズン連続二ケタ得点をマークするような実績ある点取り屋だった。最低でもそのレベル以上の選手が次々と出てこなければ、日本が自国開催の五輪で金メダルを獲得し、その主力がA代表のレギュラーを掴むのは至難の業だろう。 2002年日韓W杯の中田英寿や稲本潤一(相模原)、2010年南アフリカW杯の本田圭佑(ボタフォゴ)は22〜24歳で絶対的中心に上り詰めた。そう考えると、東京世代は成長曲線を引き上げる必要がある。より高い領域を見据えながら、久保や堂安、三好らには貪欲にクラブでの結果にこだわってほしい。取材・文●元川悦子(フリーライター)