クラブのレジェンドにしてチーム最年長37歳の選手が、初めて日本フットサル最高峰の舞台にその足跡を残した。

 デビュー戦を飾ったY.S.C.C.横浜の中野和也は対戦相手のエースにガツガツと何度も体を寄せ、自由を与えなかった。そのいぶし銀のプレーはABEMAが選出する週間ベストファイブに選ばれるほどだった。

【映像】37歳でトップリーグデビュー 職人ディフェンスも

「あれだけ体を当てていると力を利用されて反転されやすいですが、相当体幹が強いんでしょうね」

 年齢が上がるにつれてフィジカルコンディションを保つことは簡単ではなくなるはず。しかしこの試合の解説を務めた同い年で元日本代表の北原氏が言うように、むしろフィジカルの強さを見せつけていた。
 ■デビュー戦ながら終始安定したプレーを披露
「中野さんファイト!」「中野選手ゴーゴー!」

 会場では声を発せない代わり、試合を生中継しているABEMAのコメント欄では初めてF1のピッチに立つ中野に向けた“声援”が飛んだ。

 中野は今シーズンからF1リーグに昇格した横浜に地域リーグ時代から長年在籍する功労者だ。選手としてクラブに寄り添い続け、昨シーズンのF2リーグ優勝に貢献し「ミスターYS」と呼ばれるほどのレジェンド的存在だ。

 しかしイチ選手でもある以上、メンバー争いに年齢も立場も関係ない。若手選手たちと同じ土俵で日々練習し、チームの勝利に必要だと監督に判断されたからこそ、37歳でも出番が回ってきた。

 彼のプレーからは、日々のメンバー争いを制し自分がF1に昇格したチームの勝利に貢献したいという原動力から人一倍ストイックに準備してきたことが垣間見えた。

 だからこそ同じ1982年生まれで5シーズン前に現役を退いたの北原氏も「同い年の選手がF1の舞台でデビューをするのは感慨深い」と、思わずそう口にした。

 アンドレス・イニエスタと対峙し話題になった53歳の”キングカズ”こと三浦知良もそうだが、ピッチに立つだけで人々に感動を与えられるような選手はそうそういない。

 すみだとの試合は、2本の第2PKでの失点を含む0-3で横浜は敗れてしまった。しかし試合中、「中野さんナイス!」「中野職人!!」と称えられていたように、中野自身は終始安定したプレーを見せていたからこそ週間ベストファイブに選出されたのだろう。

 ベストファイブ選出に対し、中野は「年齢は関係ないとはいえ、チームのみんなやサポーター、これまで携わってくれた方々のおかげで、ピッチに立って、プレー出来たことに感謝してます。何より、楽しかった」と謙虚な姿勢を示した。そして、「次は勝ち点取れる様に、頑張ります!」と意気込んだ。

 今シーズン彼はあと何回自身のプレーで見る人を勇気付け、そして横浜の勝利に貢献するだろうか。“ハマのレジェンド・カズ”の戦う姿を是非その目に焼き付けてほしい。

文・舞野隼大(SAL編集部)