米フロリダ州ドラールで演説するドナルド・トランプ大統領(2020年9月25日撮影)。(c)Brendan Smialowski / AFP

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【AFP=時事】米国のドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領が、11月3日の大統領選で敗北した場合、その結果を受け入れない可能性を示唆し、大きな反発が巻き起こっている。(※この記事は、2020年10月1日に配信されました)

 トランプ氏の姿勢は、ベラルーシや北朝鮮など無法な独裁政権になぞらえられている。トランプ氏が政権に固執すれば、米国の民主主義が破壊されるとの不安が高まっている。

 世論調査でライバルの民主党候補ジョー・バイデン(Joe Biden)前副大統領の後塵(こうじん)を拝しているトランプ氏は9月23日、平和的な政権移譲を約束するかと問われた際、選挙結果を拒否する可能性を排除せず、「まあ、何が起きるか見てみないとならない」と答えた。

 トランプ氏は選挙結果に異議申し立てを行う場合の根拠をすでに用意している。そして民主党は数千万票に上る郵便投票をハイジャックしてだまし取るつもりだと、繰り返し主張している。

 近年の米大統領選の大半では、投票締め切りから数時間内の早期開票結果に基づいて勝者が宣言され、敗者は敗北を認めてきた。

 選挙人団(Electoral College)が公式に勝者を宣言するのは12月半ばだが、敗者が負けを認めるとその段階で勝者は即座に来年1月の大統領就任の準備に取り掛かることができる。

 だが今年の大統領選については、専門家らもトランプ氏と意見を同じくする重要な違いが一つある。それは、新型コロナウイルス流行の影響で郵便投票が大幅に増える見通しだが、その票を処理する制度が未検証のため、早期開票結果が極めて不完全となって異議申し立ての可能性が高まる点だ。

 この「2020年問題」を研究する学者や元政府高官らから成る超党派団体「トランジション・インテグリティー・プロジェクト(Transition Integrity Project、TIP)」は、勝者が「選挙当日の夜に判明しない可能性が高い」と結論付けている。

 さらにTIPは法的、政治的に「混沌(こんとん)」とした時期が生じると予測しており、両党ともにこれに乗じる可能があるとみている。

 TIPは、バイデン氏が明白な地滑り的勝利を収めない限り、トランプ氏はあらゆる曖昧さに乗じて法律や大統領権限をも行使して勝利を主張し、退任を拒否するだろうと予想し、「トランプ大統領は権力にしがみつこうとして、法的および超法規的手段で結果について争うだろう」と述べている。

■トランプ氏の二つのシナリオ

 トランプ氏は二つの可能性を示唆している。

 一つは、11月3日夜の時点での予想結果がトランプ氏の不利と出た場合、敗北を認めるのを拒否し、各州の現場にいる共和党員らの助けを借りて集計に異議申し立てを行う可能性だ。

 これは数週間に及ぶ面倒な票の再集計につながる可能性がある。すべての票の見直しが行われ、あらゆる変則的な事態に異議が申し立てられるだろう。

 他方、当日夜の時点で自らが優勢であるとトランプ氏が判断した場合、郵便投票の集計が済む前に勝利を宣言する可能性がある。

 郵便投票は共和党支持者よりも民主党支持者が多くなると専門家らはみており、トランプ氏は既に郵便投票の有効性を受け入れない可能性をほのめかしている。

 民主・共和両党は、投票後の攻防戦に向け、大規模な弁護団を招集している。

 2000年の大統領選では、民主党候補のアル・ゴア(Al Gore)氏と共和党候補のジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)氏の戦いが、フロリダ州1州での決着にかかった。この争いは最高裁にまで持ち込まれた末、再集計の実施に不利な判断が下り、ブッシュ氏の勝利が決まった。

 トランプ氏率いる共和党は今回、フロリダ、ウィスコンシン、ミシガン、ペンシルベニアなどの主要激戦州で敗北という結果が出た場合に異議申し立てを行う準備をしている。

 トランプ氏が退任を拒否した場合、上院は弾劾裁判によって罷免することができる。ミッチ・マコネル(Mitch McConnell)共和党上院院内総務は9月下旬、有権者を安心させようとして「11月3日の大統領選の勝者が、来年1月に米大統領に就任する」と述べた。

【翻訳編集】AFPBB News

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