若い女性と結婚する男性にあるものとは(写真:nonpii/PIXTA)

結婚相談所の経営者として婚活現場の第一線に立つ筆者が、急激に変わっている日本の婚活事情について解説する本連載。年上男性と若い女性の恋愛ドラマ『私の家政夫ナギサさん』の影響で、“おじさん”が人気となり「おじキュン現象」が起きていると話題になりました。しかし、婚活現場で若い女性が相当年上の男性を求めているかというと、それはまた別の話。若い女性と結婚できる男性はどういう人なのでしょうか。

家政夫さんとの結婚はドラマの中だけ

『ナギサさん』は、多部未華子さん演じる28歳のキャリアウーマンが、大森南朋さん演じる50歳のスーパー家政夫と恋に落ちるというラブコメディー。このドラマで“おじさん”が脚光を浴び、50代前後の男性が「自分も若くてかわいい子と結婚できるのではないか」と希望を持ち始めたようです。


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確かにバリバリ働いてへとへとで自宅に帰ってきたキャリアウーマンが、自分のために食事を作ろうとはあまり思わないでしょう。帰りに何か買ってくるか、外食してくる。「家事代行サービスを利用したらどんなにラクか⋯⋯」と思うのも当然です。

しかも、このドラマの家政夫ナギサさんは、家事が完璧にできるだけでなく、彼女の仕事や人生においてあたたかい言葉でサポートしてくれる、包容力のある癒やし系の人物。あの安心感はさまざまな経験を積んできた年配男性ならではの魅力かもしれません。

しかし、実際に若いキャリアウーマンが年配の家政夫さんと結婚するかと言ったら、現実には相当確率は低いでしょう。包容力を求めた年の差婚はあるにはあるのですが、包容力だけではダメなんです。

年配男性に必ず求められるもう1つの条件、それはお金。年収が高いこと、最低1000万円以上が絶対条件なんです。だから、年配男性なら誰でも若いキャリアウーマンと結婚できる可能性がある、という話ではないのです。 50歳間近の男性Aさんは、会社を2つ経営しており、家を2軒、高級車も3台所有しています。このたび晴れて24歳年下の女性Bさんと結婚しました。

Bさんは最初から年上男性を探して婚活していたわけではありません。いろいろな方とお見合いをしていく中で、徐々に「年上もいいかもしれない」と気持ちが変わっていきました。「次はこれを食べに行こうね」「ここに迎えに行くね」と優しくリードしてくれるAさんに、同世代男性にはない魅力を感じたようです。

結婚後も、AさんはBさんを職場まで送り迎えしており、家政夫ならぬ運転手状態。家事は一切できないのでBさんに任せきりですが、彼女のためにキッチンをリフォームして、調理器具もすべて新しく買いそろえたそうです。収入は十分ありますから、Bさんは生活のためではなく趣味的にマイペースでゆとりをもって働くことができます。

男性が若い女性を求める心理

Aさんは婚活市場において相当な好条件ですから、引く手あまたでした。Aさんが結婚相手に求めていた条件は、若いことと美しいこと。希望どおり24歳も年下の女性と結婚でき、「若いというのはいいですね」とつくづく言ってましたね。 若さはそれだけで魅力の1つと捉える男性は多いのですが、そこには「若い女性のほうが気楽」という心理もあるようです。

というのも、年を重ねて経験も豊か、社会的な地位もそれなりにある女性は、会話をすると男性とマウンティングが始まってしまうことがあるのです。男性の意見に対して「それは違うと思う」と、ズバッと反論する女性も多い。社会的な経験が浅い女性であれば、自分の話を素直に聞いてくれるのがありがたいのでしょう。

60代のCさんは、とてもダンディーで趣味が多く、年齢を感じさせないはつらつとした印象の男性です。会社役員のため定年はなく、役員報酬がずっと入ってくるので収入はたっぷり。バツイチで前妻との間にできた子どもはもう成人しています。婚活の結果、40代女性Dさんとご成婚となりました。

Dさんは会社員でSE。年収600万円ほどありますが、自身のお母様の介護にもお金がかかっていることもあり、経済的に少し不安を抱えていました。この先、若い社員と肩を並べて定年までSEを続けることを考えると、心身ともにつらく感じてきたようです。

彼女は今までプライベートで60代の男性とおしゃべりしたことがなく、はじめのうちは「60代ってどうなんだろう」とそれほど乗り気ではありませんでしたが、実際に会って話していると、やはりその包容力に安心したのでしょうね。

婚活は、自分自身に向き合う活動です。自分はどうやって生きていきたいのか、未来予想図を描き、一歩引いて冷静に眺める作業が必要です。結婚に安心を求めていた人は、一歩引いてみたときに、心の安定は、経済の安定でもあると自覚する。そうすると、最初は「オジサンは嫌、5歳年上でも嫌」と言っていた女性でも、次第に「一回り上でもいいです。その代わり希望年収はプラス300万円」と変わります。

たとえ10年後に夫の介護が始まっても⋯

一方、年の差婚で気になるとすれば、介護問題でしょうか。60代以上の男性の場合、両親が80代、90代で存命の場合もあります。しかし、今の時代、息子や息子のお嫁さんに介護をしてもらいたいと望むケースは少ないため、気にする必要はありません。また、10年、20年後には本人の介護問題が浮上しますが、それもお金があれば解決できます。

子どもの問題はどうでしょうか。実は、年の差婚で子どもを望むケースはそう多くはありません。女性が産める年齢だとしても、子どもが高校、大学になったときに、男性は70代、80代になります。

自分の介護費用も考えなければならないのに、学費は十分に出るのかと考えるとなかなか難しい。それよりも「2人で仲良く生きていこうね」というカップルが多いようです。場合によっては死別したあと、女性はもう1回結婚できます。自分に残してくれた資産を糧に再婚しようと考えている女性もいるようです。

女性がこれだけ社会で活躍していても、少なくない数の日本女性の根っこには、「夫のほうが年収が高くないとダメ」という気持ちがしっかりと残っています。

男性側は「自分の年収よりも奥さんが高くてもいい」、あるいは「高いほうがいい」という人が増えてきたのですが、女性は1000万、2000万円と稼いでいても、相手の希望年収は必ず「自分よりも上」と言います。

相手が750万円は「ありえない」。「私が稼ぐから、相手は私より低くていい」と言えれば、選択肢の幅が広がり、いい男性が見つかりやすくなるのですが……。

家事をしてくれない男性と離婚するパターンも

唯一、例外が女医さんかもしれません。自分よりも年収の低い男性と結婚する女医さんが、この2年ほどの間に増えてきました。

女医さんにとっては年収よりも理解がいちばん。いつ何時、呼び出されるかわからない。そういう仕事であると理解し、家事もほぼできなくても認めてくれる男性が彼女たちにとってはいちばんなんです。

世界的に見て日本は、男性が家事をする時間が少ないと言われています。家事は女性がするものという古い役割分担がまだ残っており、女医さんたちも、自分がどんなに仕事で頑張っても結局は家事もしなければならないというプレッシャーを感じています。まったく協力してくれない男性と結婚して離婚する女医さんも多いようです。

「お前はいいよな、医学部を出られて。俺にその金はなかった」と男性が卑下して離婚するカップルもいます。そういうケースは恋愛結婚に多い。結婚相談所は最初から「女性のほうが年収がうんと高い」とわかっていて、「その点は全然気にしません」という男性だけがお見合いをするので、そのあたりがこじれることはありません。

ただし、それこそナギサさんばりの完璧な家事力と、どんなときも彼女たちを「すごいすごい、頑張れ頑張れ」と励ます包容力、それは女医さんとの結婚に欠かせない条件だと言えるでしょう。