市川美絵がパーソナリティをつとめるラジオ生放送番組「Seasoning〜season your life with music〜」。10月22日(木)の放送は、木曜レギュラーパートナーの若新雄純(慶應大学特任准教授などをつとめるプロデューサー)が登場。最近起きたニュースを独自の視点で解説する「若新雄純の『色メガネ』」のコーナーでは、「バンクシーの作品」について持論を展開しました。


木曜レギュラーパートナーの若新雄純(慶應大学特任准教授などをつとめるプロデューサー)



◆若新がバンクシー作品に思うこと
イギリスを拠点に活動する匿名のアーティスト・バンクシーが、フランスの画家クロード・モネの風景画「睡蓮の池」を題材に描いた油絵がオークションにかけられ、755万1,600ポンド(約10億3,800万円)で落札されました。

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社会風刺的なグラフィティを、世界各地でゲリラ的に描き続けているバンクシー。モネの「睡蓮の池」からインスパイアを受けたとされるその絵画には、睡蓮が浮かぶ池に、スーパーのショッピングカートやゴミなどが捨てられている様が描かれており、大量消費社会や環境破壊を風刺したものと見られています。

そんなバンクシーの作品について、若新は「素性不明というのもカッコイイ。イケているロックな画家が現代に誕生したなと思う。路上作品などには批判もあるが、美術の教科書などに載るようになってほしい」と評し、「社会風刺やアンチテーゼって、芸術のすごく重要な役割」と語ります。

もちろん、今回落札された絵画に描かれているような「きれいな池にゴミの投げ捨てはいけないし、環境破壊そのものを実際に再現したら問題。だから絵画や音楽の歌詞などの“仮想世界”に、アンチテーゼを込めて作品を発表することはアートの役割の1つだと思う」と説明。

そう語る若新自身、学生時代に“なぜ音楽の授業にはロックがないのか”という疑問を抱いていたそうで、それを先生に質問したところ「ロックには反社会的なメッセージなどが込められていることが多いから、学校の授業で扱わないのではないか」との回答があったといいます。

「ロックやパンクのなかには、反政府的なメッセージや政治へのアンチテーゼなどを歌っている曲もたくさんある。政治だけではなく、学校や日常生活で、いろんな人々が葛藤しているものに対して常識を疑うというか、世の中の価値観に対する反論のようなものが込められているものもある」と言い、だからといって「それを“危ないから”と言って扱わないのは、どうなのか」と疑問を呈します。

続けて、「それこそ学校の芸術系の授業で扱ってほしい」と主張。というのも、「それは反社会的な人間になろうという意味ではない。社会のなかで、みんなが当たり前にやり過ごしていることに対して“なんでなんだろう?”と疑問を持つことが、これからの教育には重要。疑問を持つからこそ、そこで初めて“なんのために勉強するのか”という疑問が出てくると思う」と理由を述べます。

そういった作品に蓋をするよりも、むしろ社会風刺やアンチテーゼが込められた作品に触れることで、「ちゃんと世の中に認められる方法で自分の考えを表現したり、実行したり、形にしたりするために僕らは学ばなければならない、と教育や学びの意味を考えるきっかけとなるのでは」と若新は言います。

だからこそ、「バンクシーの作品が学校の美術の教科書に載るような時代が早くきたらいいなと思うし、音楽の授業でも、さまざまなアンチテーゼが込められたロックを聴くようになってほしい」と願いを込めつつ、「ロックは不良の象徴ではなく、なんのために学ぶのかを考える疑問の出発点。バンクシーも、いい疑問を与えていくれるロックな存在だと思う」と語りました。

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<番組概要>
番組名:Seasoning〜season your life with music〜
放送日時:毎週月曜〜木曜 13:30〜15:55
放送エリア:TOKYO FMをのぞくJFN全国20局ネット
パーソナリティ:市川美絵、ヨウイチロウ(月曜)、乙武洋匡(火曜)、IVAN(水曜)、若新雄純(木曜)
番組Webサイト:https://park.gsj.mobi/program/show/38286