政府の携帯料金引き下げの方針を受けて28日、KDDIとソフトバンクが新料金プランを発表した。KDDIは低価格帯のブランド「UQモバイル」で、データ利用量が20ギガバイト月額3980円の新たな料金プランを来年2月以降をメドに、サービスを始めるという。 またソフトバンクも「ワイモバイル」で20ギガバイト4480円の料金プランを12月下旬から始めると発表。このプランでは10分以内の国内通話が何度でも無料になる。

【映像】新料金プランは「肩透かし」

 政府の改革案が発表されたことを受け、携帯料金引き下げの動きが活発化しているように見えるが、ITジャーナリストの三上洋氏は一連の動きについて「肩透かしだ」と疑問を呈する。この指摘は、料金の引き下げがいずれも“格安スマホ”と言われるサブブランドにとどまったことなどに起因している。

 今回発表された新料金プランでは20Gが目玉となった。その理由についても三上氏は「もともと4割下げろという理由が、総務省が出してきた調査にある。総務省は今年6月に各国の携帯電話料金を調査した。その結果、日本においては20Gクラスの利用が極端に高く、ヨーロッパの2倍ほどだった。一番利用されているところが最も高い。だから下げなさいという要望を受け、サブブランドで4割を下げた20Gの料金プランを出してきたにすぎない。つまり値下げではない。サブブランドに20Gの商品を作っただけだ」と指摘した。

 また今回、KDDIやソフトバンクが新料金プランの発表を行ったことについてメリットはあるのか? 三上氏は両社の意図を次のように推測する。

「ボクシングでいえばジャブ。まずは様子見でこれを出してきた。仰る通り指摘に沿った料金プランを発表した結果、総務大臣や国がどう返してくるか。『サブブランドで値下げしたらダメ』と返すか『4割値下げが出てきたからいいだろう』となるのか。総務大臣や菅政権のリアクションを見極めるためのものだろう」

 一方、KDDIやソフトバンクとは異なり、サブブランドを持たないドコモはどのような出方をするのか。そのことについて三上氏は「(ドコモは)サブブランドで下げるやり方ができない。そのため今後の対応を見ていくだろう。今回のKDDIやソフトバンクの動きは第一弾。この後の動きを待ちたいというのがドコモの本音だろう」と私見を述べた。

 そうなれば、気になるのは国の反応だ。28日の時点で武田総務大臣のコメントは出ていないが、三上氏は武田大臣のコメントが今後の流れを左右する可能性があると述べる。

「サブブランドの値下げではダメとするか、一定の効果があるとするのか。一定の効果があるとすれば、値下げの動きは収束に向かう可能性がある」

 仮に今回の料金プランで良しとされた場合、ドコモがサブブランドを模索することもあるが、三上氏は「ドコモはすぐに身動きが取れない」と指摘する。

 先日、NTTがドコモの完全子会社化を発表した。つまり、NTTがドコモの株を買い取る作業があり、三上氏は「全ての株を買い取って完全子会社化を終えるのは12月上旬。早くても11月いっぱいとなる。それまでドコモは、料金はもちろん、サブブランド云々についても身動きが取れないだろう」との見通しを示す。そのため、ドコモの動向を探りたいKDDIやソフトバンクが、ドコモの動きを待たずに本体の値下げに踏み切るとは考えにくく、「向こう一カ月程度は新たな動きはないだろう。お互い様子見だ」と三上氏は続けた。

 では、ドコモの動きを待たずにKDDIやソフトバンクのサブブランドに乗り換えるメリットはあるのか。乗り換えで生じるユーザーメリットについて三上氏は「すでにY!モバイルやUQモバイルを使っている人は発表されたプランにして得をする可能性はあるが、これだけのために移る価値はない」と断言したうえで次のように主張した。

「民間のビジネスにおいては利益を出すことが目的となる。ユーザー自らが一生懸命調べ、節約の努力をして変えていく必要がある。個人の思いとしては、政府が上から『落とせ』と言っても意味がない。それで落ちたら社会主義国家、統制主義国家。国が持っていたり、法律で料金が決まっているのであればそれでいいが、日本は民主主義、自由主義国家。企業が競争して安くしていく。格安スマホを国がどんどん支援していくという形をとるのがいいだろう」

(ABEMA『倍速ニュース』)