東海岸初戦はポアナ芝に苦しめられる4日間となった(撮影:GettyImages)

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今週30日(金)に開幕する「樋口久子 三菱電機レディス」から国内女子ツアーに復帰する予定の渋野日向子。8月から2カ月間は海外女子メジャー2試合を含む6試合に出場するため、長い海外遠征に臨んだ。この合計19ラウンドで渋野は何を得たのか。4カ月ぶりの国内大会を前に、スタッツと渋野自身のコメントで海外の経験を振り返ってみる。今回は米本土東海岸初戦について。
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スコットランド連戦、そして米国西海岸の2連戦を終え1週間のオフに入った渋野日向子は、拠点としていたカリフォルニアで長い遠征を締めくくる2試合に備えた。
乗り込んだ「ショップライトLPGAクラシック」は、距離が短いこともあってビッグスコアも出やすい。「最低限4日間戦いたい。ちょっとずつ最終日に向けて自分のゴルフを高めていけるようにして、来週のKPMGに臨めるようにしたいです」と、積極的なゴルフをしながら徐々に調子を上げ、翌週のメジャー大会「KPMG全米女子プロゴルフ選手権」に向かいたいという考えを口にした。
西海岸2連戦ではパッティング時の握りをクロスハンドにしていたが、悪いクセも矯正されたと、この週から元の順手に戻した。しかし、ここでは別の問題もあった。グリーン上はポアナ芝。強い芝目に不規則な転がり。「経験したことがない」というグリーン上で、思いのほか苦戦を強いられた。
そんななかでも初日はロケットスタートを切った。出だしの10番は、グリーン右のラフから下り傾斜のアプローチを沈めてバーディ。すると続く11番でもバーディを奪った。その後も18番での2オンイーグルを含め、前半だけで5アンダー。ところが後半に入ると2バーディ・2ボギー・1ダブルボギーと順位は下降し、前半「29」、後半「39」のラウンドに苦笑いを浮かべた。
「前半は、なんでこんなにいいのか分からないくらいのスコアが出ていました。18番もイーグルパットを沈めることができましたしね。本当にいい流れで後半を迎えられたと思いますが、後半は本当に集中力がなかったなぁと思います。短いパットが入らなかったことによって流れが悪くなったなと思いました」
一度流れを崩すと取り返すのに時間がかかってしまっていた渋野。それでも3アンダーは上々のスタートだ。ところが2日目はグリーン上でまさかの事態が襲った。
12番まででスコアを2つ伸ばして迎えた14番。ショットはフェアウェイをとらえ、グリーンを狙うショットも悪くない。ところがファーストパットの距離が合わず、神経を使うパーパットが残りこれを外した。その後も同様の展開が続き、終盤では3ホール連続の3パットボギー。「いつぶりだってくらいだったので、ちょっとびっくりしすぎて泣きそうでした。ショットがいいぶん、本当にパターで足を引っ張っちゃった。久しぶりの感覚でしたし、すごく悔しかったです」。ライン読みがキャディとも合わず、未経験のポアナ芝の前にスコアを崩した。
3日目には3パットを回避し、ガマンのゴルフで2アンダー。ショットが好調だっただけにバーディパットを沈められないもどかしさも募ったが、最終日も同じような展開が続いた。だが最後の最後で笑顔が出始めた。
「残り3ホールまではかなり病んでいましたけど、そこからピンに絡むようなショットが打てて、5アンダーをやっと超えられたのでよかった。かなり救われました」。17番でピンをかすめるショットを放ちバーディを奪うと、最終パー5も2オンに成功しイーグル締め。「バーディを獲ったところはよしとして、パッティングが本当に足を引っ張った。もう萎えまくりました。自信がない。どんな距離であっても怖い」と反省点も口にしたが、ショットが絶好調だったという事実は次週につながる内容。手ごたえと結果が結びつかない中、トータル6アンダー・27位タイでこの大会を終えた。
4日間を通じてフェアウェイキープ率もパーオン率も高い水準をキープしたが、パット数は一度も「30」を切ることがなかった。パーオンしたホールでの平均パット数は「1.87」。上位陣は軒並み「1.6」、「1.7」台だった。渋野の4日間のパーオンホールは53ホールで、パットが上位陣と同水準なら合計で10打ほどは違ってくる計算となる。優勝したメル・リードのトータル19アンダーというスコアに対して、渋野に足りなかったのは明らかにパッティングだった。
今年6月の「アース・モンダミンカップ」ではアドレス時の体の前傾を浅くし、西海岸2戦ではクロスハンドを試した。昨年、話題となった壁ドンパットも、外れるとパーパットの距離が残る。慣れない海外の芝に苦戦し、パッティングの悩みを抱えたままだが、いよいよ海外遠征集大成の全米女子プロに乗り込むことになった。
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