ロッテ・井口資仁監督

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◆ 2年連続で…

 昨年はZOZOマリンスタジアムで西武、そして今年は敵地・PayPayドームでソフトバンクの優勝を目の前で見せつけられてしまったーー。

 今季はリーグ制覇に向けて美馬学、福田秀平、ハーマン、ジャクソン(現在は退団)と大型補強を敢行し、楽天を戦力外となった西巻賢二、FAで楽天に移籍した鈴木大地の人的補強として小野郁を獲得。シーズン開幕前には阪神を自由契約となった鳥谷敬を補強した。

 チームも開幕2カード目のオリックス戦で同一カード6連勝するなど、6月終了時点で8勝2敗の首位と好スタートを切った。7月はジャクソンが退団、レアードの打撃不振などで投打が振るわず10勝16敗と負け越し。7月30日の楽天戦後には借金1となり、4位に転落した。

 8月に入ってから打線の状態が上向き、投手陣も唐川侑己が勝ち試合の7回を任され勝利の方程式が確立されると、チームも再び上昇。8月20日のソフトバンク戦でサヨナラ勝利し首位に浮上した。8月23日のソフトバンク戦に敗れ2位に後退すると、その後は1度も首位に立つことができなかった。

 結果的にリーグ優勝を逃したが、9月に入ってからはトレードで澤村拓一、中日やメジャーのオリオールズなどで活躍したチェン・ウェインを補強と、優勝への本気度が伝わってきた。開幕からセットアッパーを務めてきたハーマンが故障で離脱後は、沢村が勝ちパターンの8回を任された。

 8月(16勝8敗2分)と9月(15勝11敗)は勝ち越し、いずれも月別ではリーグトップの成績。9月終了時点ではソフトバンクとのゲーム差は「0.0」に迫った。リーグ優勝が見えてきた中で、10月に入り新型コロナウイルス感染により選手が多く離脱。チームにとってピンチだったが、2年目の藤原恭大がこのチャンスを掴んだ。

 10月9日のソフトバンク戦では、プロ初の猛打賞&プロ初盗塁を放ち、チームの勝利に貢献。この勝利で再びソフトバンクとのゲーム差を「0.0」としたが、10日のソフトバンク戦で先発・中村稔弥が早々に失点し一方的な試合展開となり、1−5で敗れた。

 勝利した9日の試合ではソフトバンクの先発・ムーアに対し初回だけで38球を投げさせたが、10日の試合では東浜に初回をわずか9球で抑えこまれると、ファウルで粘って球数を投げさせることもできなかった。東浜のペースに飲み込まれ、6回に藤原の適時打で1点を返すのが精一杯だった。

 この試合を境に打線は、先発投手に球数を投げさせ四球で出塁や粘って安打で出塁するケースが減った。投手陣が粘りなんとか踏ん張ってきたが、投打が噛み合わず10月10日以降は3勝11敗。一方リーグ優勝したソフトバンクは14勝1敗。なんとか10月の序盤までソフトバンクとリーグ優勝を争っていたが、最後は地力を見せつけられる形となってしまった。

 10月は苦しい戦いになっているが、レアード、種市篤暉、西野勇士が故障で離脱し、現在復帰しているが荻野貴司、ハーマンといった主力選手が故障で離脱する期間があった中で、優勝争いをしたことに意味がある。小島和哉、岩下大輝、小野郁、安田尚憲、佐藤都志也、藤原といった若手選手たちが一軍で力を発揮したことは、来年に向けてプラス材料といえるだろう。

 現実を見れば、3位・西武が2.0ゲーム差に迫ってきており、厳しい戦いは続いていく。特にここ最近の勢いは西武がマリーンズを上回る。目の前の試合を勝利して、なんとか2位を死守したい。

文=岩下雄太