レギュラーツアーの開催はないがステップ・アップ・ツアーが盛り上がる広島県開催の中国新聞ちゅーピーレディースカップ(撮影:福田文平)

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プロのゴルフツアーを健全な形で普及させるには、それぞれの土地で地域に密着することは欠かせない。地元での試合に地元選手が出場するだけで応援する気持ちは強くなる。ゴルフファンでなくとも、試合が身近なものになるからだ。近くでやっている楽しいイベントとして位置付けられれば、足を運ぶ人も多くなる。地元スポンサーが付けばそれに関連する人は注目する。小中学生を授業の一環として招待する。保育園や幼稚園単位で遊びに来てもらう。高校生にはボランティアで参加してもらう。高齢者施設を選手たちが訪問する…、アイデアはいくらでもある。
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コロナ禍で、東京一極集中が崩れかけ、様々な地域に暮らしながら仕事をするスタイルが注目されている。これまでは、地方にいたくてもなかなか仕事がないことから都市部へ、都市部へと人が流れていた。だが、リモートワークが一気に普及したことで、可能な職種が激増した。
それでも、地域の意識の差は大きい。昼過ぎにNHKローカル局のニュースを見るとがく然とするほどこれがはっきりする。正午の”お昼のニュース“の少し後に始まるこの番組は、日替わりで、あちこちの曲のニュースを流している。鹿児島、熊本、山梨…。地元ならではのニュース中心で、以前はむしろ微笑ましいくらいの気持ちで流していた時間帯だ。
ところが、このニュースへの気持ちがコロナ禍で一変した。「●●高校で感染者がひとり出ました。学校は休校となり消毒しています」といって学校の映像が出るのはよくある話。今日は某県某市で教員が観戦したニュースが流れた。いずれも、個人を特定しようと思えばできるのではないか、という伝え方だ。
感染者数も桁違い。東京では毎日の感染者数が100人を切ろうが200人を越えようが、淡々と数字だけが伝えられるようになっているのだが、ひとり、2人のところは逆にその人が責められるような状況だと聞く。
地方在住の友人の話では、子供に「帰省して来ないでくれ」というのは序の口。他県に出たらその後、2週間は有給を使って会社を休むのが“常識”などと、考えられない状況を口にする。「いやいやいや。まさか〜」と言っていたが、そういうエリアは少なくないようだ。GO TOトラベルキャンペーンが始まり、東京除外がなくなって久しい。それなのに、相変わらず感染者が出ればひどい嫌がらせをされることもある。
極端にいえば、玄関のカギをカギを閉める土地と閉めない土地、ゴミ捨てに出るにも閉める土地。雨が降ってきたら、隣の洗濯物を取り込むのが当たり前という場所と、放っておく(取り込まれるなんて気持ち悪い、だったら濡れたほうがマシ)場所の違い。いずれにしても、自分の意識を他人に強要しない、ということを大切にすればいい。どちらがいい、という話ではない。
話をゴルフツアーに戻そう。
都市部と地方だけでなく、日本国内はそれほど異なる地域性を持っている。そのことは、コロナ禍でさらに浮き彫りにされた。ゴルフツアーは、ゴルフという“共通言語”を使ってそれぞれの土地を結び付け、相互理解を深めることができる可能性を持っている。毎年とはいわないが、せめて2年に1回、全国47都道府県すべてを回ることはできないものか。
今年、予定されていた女子ツアーの舞台は、レギュラー、ステップ・アップの両方でも28都道府県に偏っている。以前は毎年、試合が行われていた秋田県や徳島県、栃木県などでは、すでにツアーとのかかわりが薄くなってしまいつつある。
スポンサーの意向が主で会場が決まる現在の形には、すでに限界がある。地域密着型の試合を増やし、全国にファンを増やし、応援してくれる人を、企業を増やすためには根本的なツアーの在り方を考えなければならない。コロナ禍の今だからこそ、できることがあるはずだ。(文・小川淳子)

<ゴルフ情報ALBA.Net>

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