Jリーグよしっかりしろ、と言いたい。

 不祥事が相次いでいる。
 J2のアルビレックス新潟のファビオが、酒気帯び運転で書類送検された。ペドロ・マンジーも同乗していた。

 酒気帯び運転である。大変な悲劇が起こっていたかもしれないのだ。ところが、9月17日の事案発生から1か月以上も、クラブは動かなかった。10月15日の公表と19日の契約解除は、あまりにも遅い。

 ファビオは公表までのリーグ戦で6試合に出場していた。チームトップの得点をあげていた渡邉新太が、9月19日の試合を最後にケガで長期離脱している。ファビオの事案はその2日前に発生した。J1昇格争いから脱落しないために、チーム3位の5得点を記録しているファビオを起用していたのでは? そのために公表を遅らせたのでは? そんなふうに疑われても言い訳はできないだろう。

 ペドロ・マンジーが出場していないのは、単純に序列の問題だ。自粛をしていたわけではない。

 J1のベガルタ仙台では、道渕諒平が交際していた女性に暴力を繰り返していた。クラブは8月中旬にトラブルを把握していたが、9月上旬に双方合意のうえで解決したとの報告を道渕から受けた。この時点で同様の行為をしない旨の誓約書を提出させ、謹慎処分とした。

 道渕は8月23日から9月13日に行なわれたリーグ戦には出ておらず、メンバーにも入っていなかった。しかし、同20日から事案が明らかになる直前までは、7試合連続で出場していた。

 仙台は8月15日の試合を最後に、勝利から遠ざかっていた。9月は全6試合で黒星を喫し、泥沼にはまっていた。10月上旬には、FWジャーメイン良が全治3か月の負傷を負っていた。苦しいチーム事情のなかで、道渕を使い続けたとも考えられる。

 仙台は10月20日に道渕との契約を解除したが、きっかけは週刊詩の報道だった。報道で事態が明るみにならなければ、彼はいまもピッチに立っていた。クラブの判断は、「甘い」などという表現では足りない。

 新潟と仙台の対応は、どちらも弁解の余地がない。Jリーグは6つの活動指針のなかで、「フェアで魅力的な試合を行なうことで、地域の人々に夢と楽しみを提供します」とうたっているが、「フェアな態度」はピッチ内限定ではない。どちらのケースも、ステークホルダーへの重大な裏切り行為だ。

 さかのぼれば9月には、J3のブラウブリッツ秋田による入場者の水増しが発覚している。14年の開幕戦から19年の開幕戦までのホームゲーム全85試合で、水増しが行なわれていたというから驚く。 

 岩瀬浩介社長の「規約をしっかり把握していなかった」という弁解は、にわかには信じられない。6年もの長きにわたって規約を把握しないまま、クラブが運営されてきたというのだろうか。

 第一義的に責任を問われるのは、それぞれのクラブである。

 しかし、Jリーグは何をしているのか。新型コロナウイルスへの対策に追われているとしても、短期間にこれだけの不祥事が発生するのは異常だ。ガバナンスが取れていない。

 クラブに再発防止を徹底するだけでは足りない。Jリーグは社会的信用を失っているとの自覚に立ち、信頼回復への姿勢を見せていくべきだ。