「異性としか付き合ったことがないのに、どうしてバイセクシャルってわかるの?」

もしあなたがバイセクシャル(両性愛者)、あるいはパンセクシャル(全性愛者)で、シスジェンダー(出生時に診断された身体的性別と自分の性自認が一致し、それに従って生きる人)の異性と交際しているとき、このような質問をされたことはありませんか?

また、異性と交際しているときに、自分のセクシャリティに疑問を持ったときはどうしたらいいのでしょうか。同性へのただの憧れの気持ちと、性的欲求の区別ができないことに悩むかもしれません。

そこで本記事では、自分をバイセクシャルと認識した女性たちのきっかけや葛藤について、話を伺いました。あなたの悩みを解決する糸口が見つかるかも。

【INDEX】


彼と交際しながら悩む、ルーさん
彼と距離を置き、模索するレクシーさん
彼と別れ、追求するルビーさん
バイセクシャルであることの葛藤

※以下、人物名はペンネーム

「女性のことを考えながら…」

ルーさんのストーリー

ルーさん(31歳)は男性としか付き合ったことがないものの、交際して6年目になる彼氏の元恋人がバイセクシャルであると知った瞬間が、彼女の分岐点となったそう。

「何故だかわからないけど、その事実がずっと頭から離れませんでした。このことがきっかけで、自分の今までを振り返るようになりました」

身近にバイセクシャルという存在を感じることで、10代の頃にとった自分の行動を深く理解できるように。

「10代の頃、女性の芸能人のことを考えながらマスターベーションをしていました。当時はその行為を、とても恥ずかしく感じていたことを覚えています」
「自分だけかもしれないと、とても困惑していました。家族のパソコンで、トップレスの女性を見ていたことも覚えています。私はその記憶を完全にブロックしていたのですが、今になって、それも自分のセクシャリティの一部だったのかも…と気づきました」

カミングアウトをしない理由

セクシャリティをカミングアウトをしない理由は、異性と交際している自分のことをバイセクシャルだと表現して良いのか悩んでいるからなんだそう。

「バイセクシャルと自称する権利があるのか、経験がないからわからないんです」

また、バイセクシャルを祝う記念日 (9月23日)に、カミングアウトを考えたエピソードも告白。

「色々と考えて、結局みんなに告白することに意味を見出せませんでした。相手の反応を考えると、怖くなってしまったんです。周りの目を気にしないようになりたいけれど、まだそこまで辿り着けていません」

しかしながら、自分のセクシャリティを自分で認める一歩を踏み出せたことが、大きな喜びに繋がったそう。

「仕事の応募フォームを埋めているときに、自分のセクシャリティをチェックするアンケートがあったんです。そこで、今まで選んだことがなかった、バイセクシャルを選んでいた自分がいました。とてもいい気分でした! 自分を公表できた、小さな一歩が嬉しかったんです」

「同性に興味がある女性に出会えず」

レクシーさんのストーリー

レクシーさん(25歳)は、自分がバイセクシャルだと12歳のときから認識しているものの、交際経験は男性のみなのだそう。

「幼い頃にも、何人かの女の子に恋をしていました。でも、大人になっていくにつれて、そう思うことは自然と減るようになりました」と説明。

「単純に、自分以外で同性に興味があるという女性に出会ったことがなかったんです。1人や2人といちゃついたり、キスをすることはありましたが、いつもそれはパーティで酔っ払っていたときだけで、何かに発展することもありませんでした。15歳になって、同い年の男の子と交際を始めたんです。それからは5年間も一緒に過ごしました。女性のことが気になるという気持ちは、そっと胸の奥にしまったんです」

女性と交際するために、彼と距離を置くことに

レクシーさんのストーリー

現在交際している恋人は、彼女がバイセクシャルであることを尊重してくれているそう。「彼は、私がバイセクシャルであることを伝えても、3Pをやろうと言わなかった初めての男性なんです」と、彼への想いを語りました。

またレクシーさんは、彼が受け入れてくれたことで、自分のセクシャリティをもっと追求したいと思うようになったそう。

「私は、自分の興味をもっと追求したいのだと気づきました。今じゃなければ、いつチャンスがあるのだろうかと、考えました」
「そこで、オープンリレーションシップを望んでいることを彼に何となく伝えたのですが、はっきりと断わられましたね。だから、しっかりと自分の意見を話して、距離を置きたいことを伝えたんです。簡単なことではありませんでしたが、最終的には理解してくれました」

レクシーさんが女性と交際できるように、二人は6カ月間、距離を置くことに決めたそう。 復縁する予定ではあるものの、実際はどうなるかはわからないと、不安を吐露しました。

「6カ月も女性と寝て、『オッケー、もう彼のもとへ戻ろう』と切り替えられるとは思いません。もし男性と結果的に落ち着くのであれば、その相手は彼であると思うけど…」

女性限定のセックスクラブがきっかけ

ルビーさんのストーリー

「子どもの頃から、「人生の成功は、素敵な男性を見つけて結婚して、子どもを産むこと」と、教えられてきました」とルビーさん(30歳)。

8年間交際していた男性との関係が終わりを遂げ、ルビーさんは初めて女性と交際するように。女性に興味を持ったきっかけを、次のように語りました。

「数年前、まだ元彼と交際していたとき、女性限定のセックスクラブについての記事を読み、興味を抱いたのがきっかけです」

当時の彼は、ルビーさんがこのクラブに行くことを承諾。彼女にとってこの経験は、ずっと知らないふりをしていた自分の別の一面に向き合う架け橋になったそう。

「彼と別れてからは、男性と女性の両方とデートをするようになりました」

二人の気持ちは交際中の8年間で徐々に離れていってしまったものの、ルビーさんの「女性と関係を持ちたい」という願望は、破局の原因の一つだったことは確かだったそう。

「女性を経験してみたいという気持ちがあったことは分かっていたんです。そしてついに、経験するまで落ち着けないところまで来てしまいました」

バイセクシャルであることの葛藤

<ONS data>によると、自分をバイセクシャルと認識する女性はここ5年間でほぼ2倍に。

一方で<Pew Research Centre>の統計によると、ゲイとレズビアンのカミングアウト率は75%であるのに対して、バイセクシャルはたったの19%。そこには、異性経験しかないことから、自分を100%バイセクシャルと呼ぶことに疑問を抱いている人がまだまだ多いという葛藤があるよう。

カミングアウトの是非については議論の余地があるものの、いずれにせよ、その決断を周囲の人がどうサポートできるかは、LGBTQ+当事者たちが生きやすい世の中にするために考えるべき大きなテーマになるはず。

※この翻訳は抄訳です。

Translation: Haruka Thiel

COSMOPOLITAN UK