部下のマネジメントに頭を悩ませ、「オンライン上の監視」をしてしまっていませんか?(写真:nonpii/PIXTA)

このコロナ禍によって、テレワークがずいぶん定着してきました。メリットはたくさんありますが、一方で同じ空間で働くことの少なくなった部下のマネジメントに、頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか。

動きが見えず、部下が何を考えどう動いているのか把握が難しくなると、上司としては不安になります。しかし、部下を過剰に管理しようとしてストレスを感じさせてしまうと、嫌悪感からハラスメントと言われてしまいかねません。やる側に自覚がなくとも、受け取る側の感じ方次第で、ハラスメントと認定されてしまうのが今の現実です。

誰もが”テレハラ”予備軍になりうる背景

リアルに動きが見えない不安から、行きすぎた管理をしていませんか? 電話やテキストで何度もこまめに進捗管理をするなど、「オンライン上の監視」をしてしまっていないでしょうか。

部下としては、過剰な管理から「圧迫されている」「信頼されていない」と感じてしまったり、「怒られている」と勘違いすることもあります。そうなると、そのストレスから成果が出しにくくなるといった、負の連鎖を引き起こしてしまうことにもなりかねません。

思わぬ「テレワークハラスメント」という悲劇を起こさぬために、いったいどうすればよいでしょうか。

上司が求められているのは、部下個人のパフォーマンスの最大化、組織全体の成果の最大化、この2つであることが多いはずです。管理すること自体がミッションではない、とすると、そもそも「今なにをしているのか?」という確認自体には意味がないということになります。

成果を最大化するには、部下に適切なフィードバックをする必要があります。そのために把握すべき部下の状況は、以下の「2つの視点」に集約されます。

1つ目は「部下個人の行動・思考に改善点がないのか」という点です。改善点を見出すには行動とその結果を踏まえ、今後どうしようとしているのか?を把握する必要があります。ですから、「部下がなぜその行動をとったのか?」が重要になります。

例えば、部下の営業マンが自らの意思である見込み顧客の商談に行ったとします。商談には勝ち取るべき成果があるわけで、何の成果を得るために、商談でどのような話をしたのか、という事実をヒアリングすることで、その部下がそもそも商談のゴールを明確にしているのか、ゴールに対してとったアプローチが適切だったのかを具体的にフィードバックできます。

このように、部下の思考と行動を確認することで、部下が正しい方向に進んでいるのか把握でき、必要なアドバイスをすることができるのです。

2つ目は「組織的なサポートをすることで成果を上げられないか」という視点です。例えば営業職の場合は個人プレーになることが多く、孤独になりやすいことがあります。上司が誤解してはいけない点として「目に見えないとついサボっているんじゃないか? ちゃんとできていないのではないか?」と性悪説で部下を見てしまいがちなことです。

それよりも、個人で動いている部下は孤独を感じやすく、寂しい可能性があるというところに気づいてあげる必要があります。社内での対面コミュニケーションの場合は、小さなことでも共有しやすく、次にどういったアプローチをすればよいかなどを、カジュアルに話せてきたのではないでしょうか。

しかし、テレワークはそれができません。そのため、知識の共有やスキルアップのためのアドバイスなどを意識的に共有することが必要です。

これらの2つの視点で部下の状況を把握するにあたり、多くの場合、部下の行動を逐一聞くようなマイクロマネジメントは不要なのではないでしょうか。

部下に報告してもらうべき3項目

では、この2つの視点を補うにはどのような態勢にするとよいのでしょうか。ポイントは、部下から以下の3項目を報告してもらうことです。

1)報告対象期間の成果(定量と定性情報の両方)
2)成果に至るまでの行動とその目的
3)行動後の所感(課題)

1つ目は、「報告対象期間の成果を定量と定性の両方の観点」で報告してもらうことです。

”定量的な情報”とは、営業職の場合は「アポや受注件数」、開発職の場合は「バグ修正数や新規機能の実装数」などの数字として見える成果であり、これを報告内容として入れることが多いかと思います。

一方で、”定性的な情報”も有効です。例えば営業職の場合は「このようなトークで商談に臨んだら顧客からこのような返しがきた」、開発職では「こういったコーディングをしたらバグが修正できた」などの経緯を示す情報です。

結果としての定量情報だけでなく、過程がわかるような定性的な報告もセットにすることで、その結果に至った因果関係がイメージできるようになるのです。

2つ目は、「成果に至るまでの行動とその目的」を伝えてもらうことです。

部下がどういった目的で行動に移しているのかを知ることで、期待する動きをしているかを知ることができます。そのため成果だけでなく、その成果に至るまでの行動やどうしてその行動をとったのか?の行動の目的を伝えてもらうことが重要です。

営業職の場合「既存の契約満了が近づいている顧客に対し、次期も契約を継続してもらう目的のために利用状況の確認の電話を入れたところ、課題の共有がしたいと言われたので明日打ち合わせのアポが入った」など、行動の意図がわかる報告をしてもらうことで正しいプロセスを踏んでいるか確認することができます。

開発職であれば「問い合わせがあった機能改善をするために既存のソースコードを調べたところ、意外と少しの実装で実現しそうなことがわかったのでスケジュールに開発の工数を入れておいた」といった報告をしてもらうイメージです。

3つ目は「行動後の所感(課題)」です。

行動の目的だけでなく、行動後の所感や何を課題と感じているか?も部下の思考を知る情報になります。組織や個人の成果を上げるためには、部下が成果につながる改善をしようとしているのか?ということが最も気になる点かと思います。成果は行動によってのみ得られるものですが、その行動や考えが間違ったものであるなら当然成果は出ません。

そのため、部下が行動後に何を感じたか、課題をどのように捉えているかを知ることで、適切な行動を取ろうとしているかを知ることができます。行動後の所感を伝えることで、部下が何を学んだのか、どこに課題を感じているかなどを把握することができます。

テレワークで気軽に話せない状況でも、項目の内容を整理して報告してもらえる態勢をつくってしまえば、得体の知れない不安に悩まされることはなくなります。部下にとっても、上司が安心して見守ってくれることで本来の力が発揮でき、結果として組織や会社にいい影響をもたらします。

部下に必要項目を報告してもらうためのポイント

テレワークにおいて直接的なコミュニケーションができない状況でも、報告してもらう項目を決めるだけで、必要な情報を集めることができます。

ただ、「明日からこのフォーマットで報告をして」と部下に伝えても期待どおりに報告してもらえるか、個人差が生まれるのではないか、など不安が残るかもしれません。

部下に積極的に報告してもらうためには「報告業務の意義や意図を正直に伝える」ことがポイントです。上司である自分が部下の動きが見えないことで何が問題なのか、不安な気持ちを正直に伝えることで、部下は”安心させるように書こう”という思考になります。

正しく把握できない場合、部下のスキルアップの後押しができなかったり、公平な評価をすることが難しくなったりすることを伝えましょう。部下はとくに悪い報告をするのにはストレスを感じます。ただ、悪い報告ほどあとあと大きな問題になることも多いでしょう。

どんな報告であっても具体的に伝えてもらうようにするために、報告の必要性や意図を部下目線で伝えることが鍵となります。