Amazonビジネスに理・美容室専門ストアがやってきた
Engadget日本版読者諸氏であれば、「Amazonでお買い物」を楽しんだことのある人は多いと思います。一般に、消費者による利用のイメージが強いかもしれませんが、実はAmazonでは「Amazonビジネス」という法人・個人事業主向けサービスも展開しています。
Amazonビジネスには以下のような特徴があります。
請求書払を選べる
法人価格で買える
BusinessPrimeを利用できる
複数メンバーの組織で1アカウントを共有できる
購買・分析機能で経理作業が楽になる
今回、そのAmazonビジネスが理美容業界に特化した新しい取り組み「プロフェッショナル・ビューティーストア」を始めます。それに先駆けて、記者説明会がオンラインで行われました。
プロフェッショナル・ビューティーストアとはどのようなサービスでしょうか。業界にとってどんなメリットがあるのでしょうか。わたしたち一般消費者にとってもどのようなメリットがあるかも考えてみます。
プロフェッショナル・ビューティーストアが生まれた背景
Amazonビジネスが誕生したのは2017年のこと。それから毎年小さな項目も含め、「100以上のアップデートがなされてきた」とアマゾンジャパン Amazonビジネス事業本部の石橋憲人氏は言います。
そして、2020年のアップデートのひとつが、今回の「プロフェッショナル・ビューティーストア」オープン、というわけです。
同ストアオープンの背景には、「個人経営の多い理美容室において、『最低発注金額が設定されていることが多い』『カラー剤やシャンプーなどを1本だけ頼むのは気が引ける』と考える理美容師の抱える課題があった」と同社 消費財事業本部 ビューティー事業部の北尾悠樹氏は説明します。また、地方によっては「買えないものが多い」という声もありました。
さらに、メーカーやデイーラー(代理店)側では、そもそもEC(eコマース)のチャンネルを持っていなかったり、特にコロナ禍において販路の拡大が難しくなっていたりした、という課題もありました。
そういった声を受けて誕生したのが、プロフェッショナル・ビューティーストアというわけです。
プロフェッショナル・ビューティーストアの概要
Amazonのプロフェッショナル・ビューティーストアで取り扱うのは、ナプラ、ルベル、中野製薬、ホーユープロフェッショナルなど、業務用のヘアカラー剤、パーマ剤などのほか、ヘアケア剤やスキンケア用品、ボディーケア用品など。数百ブランドの数千アイテムを扱います。
利用できるのは、理美容室や理美容師のみ。
そのため、まずAmazonビジネスアカウントを取得し、「美容室・理容室として認証」してもらう必要があります。それ以外の人が購入しようとしても、買えません。
認証を申請して審査が通れば、いつもどおりのAmazonでのお買い物(Amazonビジネスですが)ができるようになります。欲しいアイテムのカテゴリーやメーカー名などで探せます。
発注単位は1本から。これまでのように、必要数以上を購入しなくてもよくなります。
なお、これはディーラーをないがしろにするようなものではなく(アマゾンジャパンが直接メーカーから買い付けている場合もありますが)、ディーラーやメーカーが、Amazonに出品するという仕組みとのことでした。
プロフェッショナル・ビューティーストアによって享受できるメリットあれこれ
Amazonは「地球上で最もお客様を大切にする企業になること」がミッションだと、説明会の冒頭で石橋氏は語りました。では、今回の新しい取り組みによって、どんなメリットをわたしたちは得ることができるでしょうか。
ビジネス会員
まず、理美容室(あるいは理美容師)にとっては、「今月、あと1本だけカラー剤が欲しいんだけど、最低ロットで注文すると、予算オーバーになってしまうから頼めない」といった葛藤がなくなります。また、Amazonビジネスの元々の機能である「購買・分析機能」により、どのアイテムがどのシーズンによく出て、どのアイテムが残りがちかといった情報が可視化されるというメリットがあります。
ディーラーやメーカーは、セールススタッフの雇用や、現地までの交通費といった営業コスト、さらには自社でECサイトを開発するコストをかけることなく、アマゾンジャパンに支払うわずかなコストのみで全国に販路を拡大できるというメリットを享受できます。
コンシューマー
では、一般消費者であるわたしたちにとってはどんなメリットがあると考えられるでしょうか。
ひとつは、自分好みのヘアケア剤やカラー剤を使った施術を、どこにいても受けられるというものがあります。例えば、ある地域から別の地域に引っ越した人が、地元の理美容室でパーマをかけたい、カラーを入れたい、ディープトリートメントをしてもらいたいと考えても、移動元の理美容室で使ってもらっていたお気に入りのメーカーを、その理美容室で取り扱っていないということもあるでしょう。
そういう場合でも、その理美容室がAmazonビジネスの理美容室認定を受けていれば、「このメーカーの、このアイテムを使ってほしいんだけど」とお願いしやすくなります。
また、予約しようとしたものの、“いつもの”カラー剤が切れているから予約できなかった、あるいは行ってみたものの仕上がりが納得のいかないものになったしまった、という失敗も避けられます。
「腕がいいけど、あのメーカーのヘアケア剤を扱っていないんだよね」ということで、諦めなくてよくなるかもしれませんね。
Amazonが、このように専門業種向けストアを開いたのは、「新型コロナウイルス感染症対策 特設ストア」に次いで2つ目。プロフェッショナル・ビューティーストアは、アメリカ本国に次いで日本でのオープンは2例目。今後も、ニーズに応じて専門業種向けストアを解説していくかもしれないとのことなので、サービス自体は法人・個人事業主向けではありますが、わたしたち一般消費者でも享受できるメリットがあるので、注目していきたいところです。
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