米国のドナルド・トランプ大統領(右)と中国の習近平国家主席を描いた、グラフィティアーティストのエメ・フリーシンカー氏の壁画(2020年4月28日撮影、資料写真)。(c)Photo by John MACDOUGALL / AFP

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【AFP=時事】米国のドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領は、間もなく終わりを迎える激動の1期目に、中国をいら立たせ、激怒させてきた。その裏で中国は、ライバルの超大国、米国の衰退を見越し、トランプ氏の続投を望んでいる可能性がある。

 米中関係は今、約40年前の国交正常化以降で最も冷え込んでいる。中国側が、米国との新たな冷戦(Cold War)に巻き込まれることは望んでいないと警告するほどだ。

 しかしトランプ氏が11月の大統領戦で勝てば、超大国としての地位を固めたい中国にとって、好都合となる側面もある。

 トランプ氏は、環太平洋貿易協定や気候変動合意から米国を離脱させ、中国製品に莫大(ばくだい)な関税を課し、新型コロナウイルスの大流行のさなかに世界保健機関(WHO)からの脱退も決めた。

 米国が撤退した場所に姿を見せたのが、中国の習近平(Xi Jinping)国家主席だ。

 習氏は自国を、自由貿易の闘士、気候変動対応のリーダーとアピール。さらに新型ウイルスのワクチンが開発された暁には、より貧しい国々と共有すると明言している。

 米バックネル大学(Bucknell University)のジュウ・ジカン(Zhu Zhiqun)教授(政治・国際関係)は、「トランプ氏が2期目を務めることになれば、中国は世界の舞台で大国としてのし上がるため、より多くの時間を稼ぐことができる」と述べた。

 米ハーバード大学(Harvard University)の大学院、ハーバード・ケネディ・スクール(Harvard Kennedy School)のフィリップ・ルコー(Philippe Le Corre)氏(中国研究)も、トランプ氏の「アメリカ・ファースト(米国第一)」政策が延長されれば、中国にとって長期的には利益になるとの見方を示した。

 ルコー氏は、米国第一政策は「旧来の同盟諸国からの米国の部分的な孤立」を招き、中国が策略を巡らす余地を与えると話している。

 また中国の国家主義者らも、トランプ氏を公然と支持したり、冷やかしともとれる声を上げたりしている。

 共産党機関紙・人民日報(People's Daily)系の環球時報(Global Times)の編集長は、トランプ氏に向けたツイッター(Twitter)投稿で「あなたは米国を常軌から逸脱させ、世界の嫌われ者にすることができる」、「中国国内の団結に一役買っている」と書いた。

 一方で中国政府は、対立候補のジョー・バイデン(Joe Biden)前副大統領が当選した場合、米国が人権問題における主導的役割を再び担い、ウイグル(Uighur)やチベット(Tibet)問題、香港における自由の問題で圧力を強めるのではないかと懸念している。

 米中対立の重要な焦点であるITや貿易面でも、バイデン政権下では戦略展開の余地がどれだけ与えられるかも不明だ。政治的に見て、バイデン氏が既存の関連政策を逆転させるのは不可能との分析もある。

【翻訳編集】AFPBB News

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