キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)とキヤノンITソリューションズ(キヤノンITS)は10月20日、AI OCR基盤である「CaptureBrain(キャプチャーブレイン)」の機能とラインアップを拡充し、新バージョン「Ver.2.0」の提供を同下旬から開始すると発表した。同ソリューションは紙帳票の電子化とデータ入力業務の自動化により、業務プロセスを最適化し、業務効率化が図れるという。キヤノンMJグループは中小・中堅企業から大手企業まで業種・業務に特化したデジタルソリューションの提供を強化し、バックオフィス業務のDXを支援していく。

「CaptureBrain Ver.2.0」を中核にしたデジタルソリューションのイメージ


キヤノンITSでは独自の画像処理技術・AI技術と、Cogent Labsの手書き文字認識AIエンジン「Tegaki」を連携させたクラウド型AI OCRソリューションとしてCaptureBrainの提供を昨年5月から開始し、スキャンした紙帳票データをクラウド上で画像補正、帳票種別の分類、OCR処理を行い、確認したデータをCSV形式でダウンロードできる。

今回、提供する新バージョンではOCRの読み取り精度の向上のためマルチエンジンを搭載しており、OCRの項目ごとに最適なエンジンを選択できる。Tegakiエンジンに加え、キヤノンITSが開発した数字などの項目特化型、活字、チェックボックスといった複数のエンジンを備えている。

マルチエンジンに対応


また、キヤノン独自の画像補正エンジンによる高いOCR認識精度に加え、新たにユーザー辞書機能を搭載し、OCR結果を自動補正する後処理の機能も強化した。

辞書修正機能の概要


さらに、顧客の案件にあわせて組み込むSIコア版に加え、新たにSaaS版を提供する。これにより、AI OCRサービスを手軽にスピーディーに導入でき、システム運用の負担を軽減し、さまざまな業務での活用の幅を広げるとしている。

両社はこれまで、金融機関や製造業、流通・サービス業などの大手企業を中心に業種・業務にあわせたデジタルソリューションを展開し、業務効率化とデータ活用を推進しており、今回の新バージョンでキヤノンMJグループの販売網を活用して、大手企業から中堅・中小企業の顧客層まで提供対象を拡大していく考えだ。

価格は、いずれも税別で初期契約費用が20万円、Smallプランが月額3万円〜、Mediumプランが同10万円〜、Enterpriseプランが同15万円〜。

将来的には、高機能なAI OCR基盤のサービスプラットフォームと映像や音声の分析・予測などの新技術と連携させることで、働き方や業務プロセスの変革を実現するバックオフィス業務のDXを支援し、CaptureBrainを中核としたOCRソリューションビジネス領域において、2022年までに年間売上高20億円を目指す。