10月に入ると書店には家計簿が並び始めます。このコロナ禍では収入や出費の変化が大きくなり、改めて家計管理の大切さと感じている方も多いかと思います。そしてまた生活様式が変われば出費が変わるのも当然です。その都度柔軟性を持たせて家計管理をするためにも、自分に合った家計簿付けと予算管理方法を見つけましょう。



○家計簿は自分が付けやすいものを選びましょう

家計簿と予算管理はセットになっています。家計簿には大きく分けて2種類あり、紙と電子(アプリやソフト)があります。どちらもメリットデメリットがあり、紙はお金の記録を書き残すことで、記録や記憶を流すことなく、出費と向き合いながら反省することができます。また数字を客観的に眺めてみることで気付きにくかったムダに気付くことができます。瞬時にグラフ化することは苦手ですが、その日の出来事や食事などを日記のように記録できる良さがあります。

電子の家計簿は、家計管理開始日や各費目の予算を入力しておくことで、使った金額から自動的に残金を計算して教えてくれたり、レシートをスマホのカメラ機能で撮るだけで入力や集計が簡単にできたりします。そして入力した情報をもとにどの費目が高いのかといった分析も、一目でわかるように工夫がされています。

最近増えつつあるクレジットカードなどのキャッシュレス決済の登録をしておくことで、キャッシュレス決済で支払った分も自動で反映されるものもありますので、複数のキャッシュレス決済を利用している場合は、管理がラクになるというのも電子家計簿のメリットと言えるでしょう。

紙も電子にもどちらの家計簿でも言えることですが、ただ付けて満足するだけではなく、赤字になる原因を分析し、予算の見直し、予算内でやりくりする方法を考え、お金を貯める。この作業は必ず行いましょう。

○自分に合った予算管理方法を見つけましょう

家計簿は紙でも電子でもどちらでもよく、お金の流れがわかるもので、自分が付けやすく、管理しやすいものを選ぶとよいでしょう。家計簿と同時に大切なのが予算管理方法です。予算管理方法もいくつかあり、自分にあった方法を見つけるのが大切です。

○1. 袋分け

予算管理の王道は袋分け管理です。食費、日用品費、美容費など費目ごとに予算を決めて、給料日に予算分の現金を引き出してそれぞれの袋に分けて、予算に収まるようにやりくりをします。

おすすめは、食費を5週に分けて週ごとにやりくりする方法です。1カ月の予算が6万円なら、1万2,000円×5週に分けて、毎週決まった曜日に食費専用財布に予算を入れてやりくりをして、残ったお金は繰り越しをせず封筒に戻し、新しい週の予算を入れて毎週同じ予算でやりくりをする方法です。

そしてどの費目にも使える「予備費」を1〜2万円持つと予算オーバーになったときにも対応することができます。

○2. レシート管理

買い物をしてもらったレシートを家計簿に貼って、1日いくら使ったのかを集計するだけですが、レシートの買い物をした商品名にレシートに記載された商品名と金額を見ながら、「必要なもので、安く買えたもの=〇」「必要なものだけど高く買ってしまったもの=△」「買う必要がなかったもの=×」とチェックを付けます。

「×」がつく商品やサービスは何か、「×」が多く付く店はどこなのか、そのムダが発生するタイミングはいつなのか、レシートの会計時刻と行動パターンに照らし合わせて客観的に分析してみましょう。こうすることで、ムダな買い物をするお店は素通りするように意識をしてムダづかいを減らし、予算内に収めるように行動することができるようになります。

○3. 1日○○○円で生活する

食費やこづかい以外の生活費の予算が月6万円の場合、1日あたり2,000円以内で生活をするやりくり方法です。カレンダータイプのウォールポケットなどに、1日の予算を入れてその日の分だけお財布に入れます。1日のやりくりで残ったお金は、専用の封筒に分けて入れて、毎日定額でやりくりする癖をつけたい方向けの管理方法です。

飲み会など1日の予算以上の出費があるときは、何も買わない無買デーを作って浮いた分を合算して使うことができるなど、マイルールを作るとよいでしょう。

○4. 1カ月を35日間としてやりくりする

一般的なやりくりは、給料日から次の給料日までをお金の1カ月として管理しますが、この方法は、1か月生活費を35日間つまり5週間でやりくりすることで、予算が1カ月に数日スライドされていくことで約半年に1度、生活費がまるまる1か月分残る計算になります。ちょっとしたボーナスが半年に1度出るので、半年に1度奮発して買い物などをしたい人に向いています。

35日間やりくりで浮く日数

1、3、5月…4日

2月…7日

4、6月…5日

合計29日

7、8、10、12月…4日

9、11月…5日

合計26日

いくつかの管理方法がありますが、自分にもできそうだと思った方法からチャレンジしてみてはいかがでしょうか。大切なのは、予算を守るためにどのように行動をすればよいか考えることです。買い物の際に、本当に必要かどうかを考えたり、節約できる方法を考えたりすることで、やりくりスキルが向上します。

そして日々のやりくりだけではなく、1年、3年、5年、10年といった中、長期でのお金の見通しや管理をすることも家計を守るためには大切なことです。つまり毎月のお金の出入りを把握することで、中、長期のお金の見通しが立てやすくなります。

家計不安を抱えるなら、早めにしっかりとした家計管理をはじめましょう。家計を守ることが家族を守ることにもつながります。

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丸山晴美 外国語の専門学校を卒業後、旅行会社、フリーター、会社員、コンビニ店長へと転職。22歳で節約に目覚め、年収が350万円に満たないころ、1年で200万円を貯める。26歳でマンションを購入。2001年に節約アドバイザーとして独立。ファイナンシャルプランナー、消費生活アドバイザーの資格を取得し、お金の管理、運用のアドバイスなどを手掛け、TV、雑誌などで幅広く活躍している この著者の記事一覧はこちら