「眩しすぎる!」困惑の声も! なぜ急速にLED化進む? 大半の車が採用する理由

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LED化が急速に進むのにはワケがある!?

 近年、身の回りの多くの物にLEDライトが普及しているなかで、クルマのヘッドライトも急速にLED化の流れが進んでいます。それによってクルマのデザインにも変化が現れているようです。

特長的な丸形のデザインが個性を主張LEDヘッドライト(ホンダ・ホンダe)

 日本語では「発光ダイオード」と表現されるLEDですが、その技術自体は古く、1962年に米国GE社によって発明されたとされています。

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 しかし、当初は赤色のみだったために使用方法が限定されており、広く一般に普及するには至りませんでした。

 その後、1970年代に緑色のLED、そして1990年代に日本の技術者たちによって青色のLEDが発明されたことで、原理的にはLEDによってあらゆる色が表現できるようになったのです。

 その後、鉄道などの産業領域で徐々に使用されることになったLEDですが、乗用車では2006年のレクサス「LS」で世界初のLEDヘッドライトが採用されました。

 LEDの製造コストが下がってきたことで、家庭用照明などにも採用されるようになり、いまでは従来の白熱灯に変わってもっとも身近な照明となっています。

 LEDのメリットは、長寿命、省電力であることに加えて、紫外線や赤外線をほとんど含まないため周囲に与える影響がほとんどないことや、水銀や鉛などの環境負荷物質を含まないことも大きなメリットです。また、白熱灯と比較して、低温時でも素早く点灯可能なことも特徴です。

 日本では、東日本大震災後に本格的に普及したといわれています。当時、計画停電がおこなわれるなど、電力の使用について多くの国民があらためて考える機会となりました。

 また、日本政府も長期的な環境対策の視点からLEDの普及を推進。その結果、2020年現在では商業施設のほとんどでLED照明が採用され、それにともない家庭用照明でもLEDが使用されることが増えています。

 クルマでは、上述のLSを皮切りに、高級車から順次LEDヘッドライト、テールライトが採用されてきました。

 現在では、軽自動車にもLEDのヘッドライトやテールライトが採用されており、もはや主流になったといえます。

 LEDの省電力性は、バッテリーに蓄えられた限られた電力をエネルギーとするクルマにとって相性がよく、また、長寿命という点も整備性の観点から好都合といえます。

 一方、非常に厳格なコスト管理をおこなっているクルマにとって、LEDを採用するコストは決して安くありませんが、それでもトータルメリットから軽自動車のようなクルマでも採用される機会が増えつつあるのが現状です。

LEDの本当のメリットはデザイン性にある?

 コスト面を除けば、従来のヘッドライトに使用されてきたハロゲンランプやHID(キセノンヘッドライト)に比べていいことづくめのLEDですが、さらなるメリットもあるようです。

 国産メーカーの担当者は次のように話します。

「(LEDの採用により)ユニットサイズが小さくでき、従来できなかったデザインができるようになりました。

 しかし、場合によってはランプの後ろ側を、放熱対応のために空間を大きくする必要があります。

 したがってLEDによって『光源が小さいから自由度が増した』とは必ずしもいえるわけではありませんが、従来に比べて違うデザインができるようになったのは事実です」

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 LEDの採用によるクルマのデザイントレンドの変化として、「デイタイムランニングライト」の存在が挙げられます。

 元々は日照時間の短い欧州を中心に発展してきたもので、ヘッドライトよりも控えめなライトを昼間でも常時点灯させることで、被視認性を高め、事故防止に貢献することが目的です。

 商用車を中心に普及してきたデイタイムランニングライトですが、アウディなどの欧米メーカーがデザインに採り入れたことでトレンド化しました。

 日本の道路運送車両法では、デイタイムランニングライトは「その他灯火類」として300カンデラまでの照度しか認められていませんでしたが、2016年10月の法改正で1440カンデラまで照度基準が引き上げられました。

 その結果、より明るく目立つものが採用可能となったため、デザイン上のアクセントとして重要な意味を持つようになったのです。

 また、近年のデザイントレンドのひとつである横一文字のテールランプも、LEDの普及と無縁ではありません。

 クルマのデザインの基本は「ワイド&ロー」といわれており、多くのコンセプトカーが市販車に比べて全幅が広く、全高が低くなるのはそのためです。

 しかし、市販モデルの場合はさまざまな制約があるため、デザイン重視で「ワイド&ロー」を実現することは難しいといえます。

 そこで、横一文字のテールランプを採用することで、ワイドさを強調し、なおかつ視点の上昇を防ぐ効果もあるため、重心が低く見せているのです。

 横一文字のテールランプは、ポルシェやアウディ、レクサスなどが積極的に採用していますが、これは光源が小さいため設計上の自由度が高いLEDの採用によって、実現できるようになりました。このように、LEDはクルマのデザインのトレンドにも影響を与えているようです。

トヨタ新型「ハリアー」も横一文字のテールランプを採用している

 LEDに限らず、技術の進化はデザインにも大きく影響を与えています。その一方で、新しい技術により自由度の高いデザインが可能になったとしても、それを活かすかどうかがデザイナーの技量次第です。

 数々の名車をデザインしたあるイタリア人デザイナーは次のように警鐘を鳴らします。

「LEDの登場によって、理論上はどんな形のライトも実現できるようになります。

 けれども、多くのクルマのライトのデザインは従来のものの延長線でしかありません。これはデザイナーの怠慢といってもいいでしょう」

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 実際にはコストや保安基準などの問題があるとはいえ、ユーザーとしては技術の進歩による革新的なデザインの誕生を楽しみに待ちたいものです。