サラリーマン大家「一生お金を生み出す不動産ビジネスの極意」

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経済基盤が安定すると、人は心に余裕を持ち、豊かな人生を送れることを多くの大家を取材して強く感じたという。1万人の大家を取材してきた著者が、サラリーマンの定年後に毎月着実に家賃収入を得ることができる不動産で資産を増やす方法を伝授する。本連載は賃貸不動産オーナー向け経営情報誌「家主と地主」の編集長の永井ゆかり氏の著書『1万人の大家さんの結論!生涯現役で稼ぐ「サラリーマン家主」入門』(プレジデント社)から一部を抜粋、再編集した原稿です。

借金が返済できるだけの十分な収益があるか

最も重要なのは「マネジメントする力」

賃貸住宅を購入できたら、ここからが家主業のメインの仕事のスタートだ。家主の仕事とは何かを改めて整理して確認しよう。

(1)入居者の募集
(2)家賃集金、入居者の問い合わせ対応、建物のメンテナンスなどの賃貸管理
(3)退去時の手続き及び原状回復工事の手配
(4)リフォーム、入居者満足度を高めるサービスなど空室を発生させないための対策

以上が主な仕事となる。

情報や知識があるからこそ、経営リスクを最小限に抑えることができる。(※写真はイメージです/PIXTA)

(1)の入居者の募集、(2)の賃貸管理、(3)の退去時の対応などの仕事は、基本的には管理会社に任せることができる。管理会社に任せた場合、この3つの仕事について実際に動くのは管理会社だが、家主は状況を常に把握し判断することが仕事となる。(4)の空室を発生させないための対策については、管理会社と相談してどんなリフォームを行うべきか、どんなサービスを付加したら満足度が高くなるかを一緒に決める。

家主業はサラリーマンが副業として行うことは可能だが、重要なのは管理会社の動きを把握し、マネジメントすることだ。すべてを管理会社に任せて「自分は何もしなくても楽に家賃収入が得られる!」と安易に考えてはいけない。本業とうまく両立しているサラリーマン家主たちは、管理会社から状況をヒアリングし、何か問題があれば、どのような方法を取ることが最適かを考えて指示する。

的確な指示をするためには、知識と情報が必要だ。サラリーマンが副業として家主業が可能なのは、時間的な拘束が少ないからだが、成功しているサラリーマン出身家主たちは、家主業にかける時間を極力減らしていたわけではない。不動産購入前から家主業に関する知識を得るための勉強はもちろんのこと、購入後も、市場動向や賃貸業界のニュースなど日々情報収集に注力している。情報や知識があるからこそ、経営リスクを最小限に抑えることができるのだ。

キャッシュフローをコントロールする

家主業における最大の経営リスクは、借金が返済できなくなることだろう。基本的には借金ありきで始める事業のため、借金が返済できるだけの十分な収益があるかどうかがポイントとなる。

そのためには、財務状況をきちんと把握することが重要だ。十分な収益を出す、つまり「キャッシュフローを増やす」ビジネスモデルをつくり上げるためには、財務にも強くないといけない。まず、家主業の収支について確認していこう。

アパート経営は7つの支出を管理できるか

家主業の売り上げは家賃収入だ。家賃収入には、住宅の貸し付けによる「賃料収入」の他に「礼金」「更新料」「共益費」などが含まれる。不動産投資家が書いた本に「主婦でも家賃収入〇万円稼げた」とか、「たった2年で家賃収入〇万円」というようなタイトルがよくあるが、ここで勘違いしてほしくないことは、家賃収入すべてが儲けではないということだ。収入から支出を差し引いた金額がキャッシュフロー(手残り)となる。

永井ゆかり著『1万人の大家さんの結論! 生涯現役で稼ぐ「サラリーマン家主」入門』(プレジデント社)

では、家主業の支出とは何だろうか。

(1)借金返済額
(2)管理費
(3)修繕費(リフォーム費)
(4)仲介手数料
(5)広告料
(6)保険料
(7)税金

以上が主な支出となる。

この支出の中で、大半の家主にとって大きな割合を占めるのは(1)の借金返済額だろう。スルガ銀行の不正が起きるまでの2、3年は、「自己資金ゼロでも購入できる」というようなセールストークで不動産販売が行われてきたが、購入時の自己資金が少なければ、当然、購入後の借金返済額が多くなる。家賃収入における借金返済額の比率を「返済比率」と呼ぶが、この返済比率が高ければ高いほど、キャッシュフローは少なくなる。逆に返済比率が低いと、キャッシュフローは多くなる。

この借金返済額がキャッシュフロー以上になると、プライベート口座の預貯金から返済しなくてはいけない。つまり、資産を増やすために始めたはずなのに、資産を切り崩す事態になりかねないので注意しなくてはいけない。

返済比率はどのくらいまでに抑えておくべきか。一般的には空室リスクを基準に考える。賃貸住宅の空室率はおよそ20〜30%ということを考慮して、そこに他の支出も含めて検討すると、50%以内が妥当だろう。詳細は後述するが、借金の返済額は「固定金利」なら変化しないが、「変動金利」で融資を受ける場合は変化する。金利が下がれば返済額は減るし、金利が上がれば返済額は増えるのだ。

月々の借金返済額は、金利だけでなく、「借入期間」によっても変わってくる。借入期間は築年数がベースになる。新築の場合はマイホーム同様に最長35年ほどで組めるが、築年数が古いと、建物の法定耐用年数から築年数を差し引いた年数分が上限となるケースが圧倒的に多い。返済期間が長ければ、支払い総額は多くなるが、年単位の借金返済額を抑えることができる。

借金返済額については「金利」と「借入期間」が大きく影響することに留意したい。

不定期に発生する支出を把握して備える

借金返済額以外の主な支出を把握する

(2)の管理費は、通常管理委託契約の場合は毎月家賃収入の5%程度、サブリースの場合は10〜15%となる。借金返済額と管理費は毎月発生する支出だ。月単位で考えると、家賃収入からこの2つの支出を差し引いた金額を、間違って「儲け」と捉えてしまいがちだ。実際、初心者が勘違いして使い込んでしまうケースは少なくない。

しかし実際は、この2つの支出の他に不定期に発生する支出がある。(3)の修繕費、(4)の仲介手数料、(5)の広告料だ。その支出を把握して備えることが重要だ。準備しておかないと、いざ支払いが必要なときに手元に資金がなく、プライベート口座の預貯金から支払わなくてはいけなくなる。

修繕費には大きく分けて2つある。一つは、設備や建具が破損・故障したときに交換する費用だ。設備は概ね寿命が決まっているため、いつ設置したのかさえわかれば、次の交換時期の見当をつけることができる。修繕の時期が、いつどのくらいで発生するか見積もることができれば、予算立てができる。例えば、エアコンや給湯器がいつ設置したものかを確認して、交換時期を6〜8年くらいで見ておけば、いざ故障し交換が必要になったときにも慌てずに済む。

修繕のもう一つは、退去の度に発生する原状回復費だ。入居期間は、当然、入居者によって異なってくる。2年契約でも、1年ほどで退去するケースもあるし、更新を重ねて10年以上住むケースもある。入居者の更新のタイミングはわかるが、実際の退去時期はわからない。

入居者が快適に住むことのできない賃貸住宅であれば、退去スピードは速くなる。騒音や管理状況の問題、実際住んでみたが、生活しにくい部屋だったなどの理由で2年以内の退去や更新せずに退去になるケースもある。家主業では、いかに入居者に快適に住んでもらう賃貸住宅を提供できるかが重要なのだ。

契約時に不動産仲介会社に支払う仲介手数料や広告料は、退去が多く新規契約が増えれば、当然増える。退去が少なければ、減らせる費用であることを認識しておきたい。

(6)の保険料は、建物にかける火災保険料。火災保険は、賃貸経営する上で必要不可欠だ。火災保険には、火災や自然災害等による財物損壊リスク、漏水事故や屋根の剥がれ等、建物の所有、使用または管理に起因する賠償リスクなど、通常の火災保険で補償されるものに加え、火災や自然災害による建物修復時の一時的な家賃減少リスクや、死亡事故発生に起因するリスクに対応する保険商品もある。

保険料は、どの会社のどの保険に加入するかによって、当然金額も変わってくる。安ければいいわけでもないし、高い保険金が出るものであればいいというわけでもない。どのような保険商品がよいのか、約款をきちんと読み、理解した上で加入することが重要だ。火災保険は建物ごとに加入するため、所有建物が増えれば増えるほど、支払いも増えることになる。

徹底的に税金を抑える方法を考えよ

最後に(7)の税金。家主業の場合、家賃収入から必要経費を差し引いたものが「不動産所得」となる。その年分の不動産所得に対して課税される税金は、翌年2月16日から3月15日までの間に申告・納付する手続きをとる。

税金を抑える方法はさまざまだが、まず基本的な部分を押さえる意味では、個人の家主業の場合は「青色申告」を行うことがポイントになることを知っておこう。申告方法には「白色申告」と「青色申告」があるが、「青色申告」の申請を行い手続きをすると、「青色申告特別控除」が10万円から受けられて、課税対象額を減らすことができるのだ。

所有不動産の規模が事業的規模(概ね5棟10室以上)になると、複式簿記による帳簿をつけることで、青色申告特別控除額を10万円から65万円(2020〔令和2〕年より、帳簿を法律で認められた電子保存をしているか、電子申告を行う場合以外には、55万円)へと拡大することができる。青色申告については、個人の場合、税務署に行くと親切に教えてくれるので、わからないときは税務署に相談してみよう。

なお、減価償却費は、キャッシュフローを計算する上での支出にはならない。法定耐用年数に応じて毎年分割して、税金計算上の経費として計上していくというものだ。実際は「目に見えない支出」であるが、経理上は非常に重要で、実際にお金は出ていかないが、帳簿上は経費計上できるため課税される税額が低くなる。減価償却費を計上できる期間は建物の法定耐用年数によって決まる。

新築の場合は、前述した各建物の構造で定められた法定耐用年数、中古建物の場合は、法定耐用年数から築年数に0.8をかけた年数を差し引いた年数を、その建物の耐用年数とする。例えば、築10年の木造アパートを購入した場合は、木造の法定耐用年数22年から築10年に0.8をかけた年数を引いた14年が耐用年数となり、減価償却期間となる。

木造アパートの築年数が、木造の法定耐用年数の22年以上の場合の減価償却は、次のような計算式で算出することが決まっている。

耐用年数=法定耐用年数×0.2

つまり、築22年以上の木造アパートの場合は22×0.2=4年となる。

以上のように、家賃収入の額だけではなく、支出をいかに抑えてキャッシュフローを出すかが重要だ。

永井ゆかり
「家主と地主」編集長