「有能なのに、能力をうまく発揮できない」社員が多いワケ

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どんなに優秀な人材を採用しても、仕事でその能力を発揮できないケースが後を絶ちません。今回は、株式会社プレジデントワン代表取締役である松久久也氏の著書『確実に利益を上げる会社は人を資産とみなす』(幻冬舎MC)より一部を抜粋し、「高い能力を持っていても能力を発揮できない」社員が生まれてしまう理由を中心にみていきます。

生産性を向上させるには、どんな工夫が必要なのか

就業時間内での社員教育は重要ではありますが、年間総労働時間1740時間の全てを使うことはできません。ある限られた時間で労働生産性を上げていかなければならないのです。何ら工夫をすることなく、現在の能力をいくら絞り出そうとしても生産性が改善されるということはありません。それは与えられた仕事を経費としての人間がこなすだけだからです。

生産性の改善は仕事の質の改善の結果ですから、創意工夫が必要となります。指示待ち社員が多い企業が生産性を改善し、国際水準に近づくことは不可能です。創意工夫、柔軟性、人間に対する理解、倫理観、感情への対処など人間の基本にかかわることを放置したままで生産性を改善することは難しいと考えなければなりません。

高い能力はあるが仕事で発揮できない社員…なぜなのか

近年、リテラシー(読み書き能力)、情報リテラシー、英会話、各種資格などの専門知識があれば仕事をこなすことができると考える風潮があります。しかし、こうしたテクニカル・スキルだけでは不十分なのです。

たとえ、これらを身につけたとしても人間に対する深い理解力が不足していれば企業の未来を生み出すことはできません。高い能力を有しながら企業内でそれを発揮することのできない人が多いのは、こうしたことに起因しているのです。

相手がものごとをどのように感じ、考え、判断し、行動に移すのかを想像し、理解することで仕事はうまく流れていきます。しかし、人間に対する理解力が不足していては、どれほど専門知識を振り回してもよい結果を得ることはできません。

どれほど専門知識を持っていても、人間に対する理解力が不足していれば良い結果を得ることはできない(画像はイメージです/PIXTA)

時間単価を上げる、つまり給料の2倍の働きを3倍にするということは、実は人間に対する理解と深い因果関係があるのです。しかし、今まで身についていない性質を獲得するということは簡単にできるものではありません。

「習慣づけ」が、社員を大きく成長させる

では、どのようにすれば身につくのでしょうか。それは同じことを何度も学んではじめて身につくといえます。古代ローマの哲学者、キケロは次のように言っています。

習慣は人間の第二の天性である。

※金森誠也・長尾剛訳『超訳 古代ローマ三賢人の言葉』PHP研究所

身についた習慣は、やがて生まれつきの性質のようになるということを意味しています。継続は力なりです。例えば、社内教育の一環で「今日、困ったこと、悩んだことをひとつ挙げなさい」と指示したとします。

誰かがその日に起きた嫌な出来事を発表し、それについて参加者全員で徹底的に分析します。対立はなぜ起こったのか、相手はどんな理屈をぶつけてきたのか、自分はどう考えたのか、相違点は何かなどについて徹底的に討論をします。

そこで上司や経営者が意見を述べ、具体的な方策を提示するという話し合いを粘り強く続けるという方法があります。結果だけを報告させるのではなく、結果に至るプロセスについて深く話し合うことで、人は大きく成長していくものです。

仕事についても同様のことがいえるでしょう。この話し合いを毎週、繰り返し行えば確実に成果が上がります。私の経験から、意見交換が活発になるのは開始後1時間半あたりです。また1回あたりの時間は2時間に留めておくのが最も効果的でしょう。1回当たり2時間の教育を行えば、年間の教育延べ時間は月1回で24時間、2回で48時間、週に1回で96時間となります。

月1回では、習慣とするには頻度が足りないでしょう。日課にできれば理想ですが、企業の実情により月2回、週1回などの頻度が現実的だと思われます。

大事なことは習慣とすることです。知識を理解させるだけでは人を資産として育て上げることはできません。習慣によって知識を記憶させ、行動につなげなければ未来を生み出すことはできないのです。

※本記事は連載『確実に利益を上げる会社は人を資産とみなす』を再構成したものです。

松久久也

株式会社プレジデントワン代表取締役