家電は製品ジャンル別に部品の保有年数が異なる

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【家電コンサルのお得な話・24】 家電製品の多くは生活必需品となっており、できるならば1日でも長く使いたいもの。特に、冷蔵庫やエアコン、テレビなどの大型商品は買い替えの金銭的な負担も馬鹿にならないため、修理できるなら安価に済ませたいと思うのは当然のことだ。筆者の接客経験でも、「どの家電製品も10年は使いたい」という顧客が多く、これが一般的な感覚だろう。

 しかし、そんなユーザーの思いとは裏腹に「修理したかったのに部品がなかった」という経験をされたケースも少なくないだろう。これには理由がある。家電製品には、製品ジャンルごとに部品の保有期間(製造終了からの期間)が決められている。

 この「補修用性能部品表示対象品目と保有期間」は、家電景品規約(景品表示法に基づいて定められ、消費者庁、公正取引引委員会によって認定を受けた自主運営ルール)で決められており、対象品目がそれぞれ記載された年数にわたって部品を保有しなければならない。

 例えば、冷蔵庫やエアコンで9年、テレビや電子レンジで8年、炊飯器や洗濯機、掃除機で6年、アイロンやトースターで5年といった具合だ。

 テレビの部品保有期間の8年は、逆にいえば8年が過ぎれば、部品取り寄せや修理ができない可能性が高まる。10年の使用を期待していた顧客からすれば、「まだ8年しか使っていないのに」という感覚に陥りやすい。

 しかし、稀に保有期間が過ぎていても、該当部品のストックが余っていたり、後継機種が同じ部品を使っているケースもある。そのため、保有期間が少し切れた程度なら、一度、販売員に相談してみて「部品供給なしで修理不能」という場合があることや、手数料や修理代金などを確認して、納得した上で修理に出すといいだろう。

 また、家電量販店では品目によって均一料金という最低料金が決められていることが多いため、この「最低料金の確認」と、それを超える場合は「見積り連絡が可能かどうか」も確認しよう。中には高額な部品もあるため、「こんなにかかるぐらいなら買い替えたのに」という最悪の事態を避けるにも確認作業は必要なことである。

 ポットや炊飯器のパッキンなど、自分で交換できる部品は修理に出すよりも取り寄せた方が金銭的負担が少なくて済むが、基本的に部品は完全な取り寄せ商品で、原則「返品できない」。販売員に部品取り寄せか修理がいいかを相談することも大切である。

 部品は通常、入荷するまで価格が分からないため、販売員からすれば事前の価格確認が手間のかかる仕事となる。顧客からの「価格を調べて欲しい」という依頼に対して、嫌な素振りを見せず対応してくれる店舗は、安心して商品も購入できる店舗といえるだろう。(堀田経営コンサルタント事務所・堀田泰希)

堀田泰希

1962年生まれ。大手家電量販企業に幹部職として勤務。2007年11月、堀田経営コンサルティング事務所を個人創業。大手家電メーカー、専門メーカー、家電量販企業で実施している社内研修はその実戦的内容から評価が高い。