西勇の会話相手、岩田(右)は1型糖尿病患者。コロナ重症化のリスクがある=12日、甲子園球場

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 コロナ禍でずさんな危機管理体制を露呈し続ける阪神。不祥事への一貫性のない処罰が、チーム内の規律を乱れさせている。その典型例がエースの西勇輝投手(29)だ。

 新型コロナウイルスの感染が拡大した当初、球団は特に会食を制限していなかった。だが春先に藤浪ら3選手がコロナ陽性となると、大阪市内での大人数の食事会に参加して感染した疑いが強まり、3人は退院後の4月23日に謝罪会見。球団も会食の内規を定めた。

 9月に選手ら7人にコロナ陽性が判明すると、そのうち6人が名古屋遠征中に参加していた2つの会食がやり玉に。上限オーバー8人の会食、同ポジション4人による会食ともに内規違反とされた。参加者には制裁金やレポートの処分が下り、チーム最年長の福留が代表して会見で謝罪した。

 ところが、政府が緊急事態宣言中の5月に西勇がゴルフや不倫を目的として、感染拡大を防ぐため国民全体で自粛していた県境をまたぐ移動をしていたことが週刊誌報道で発覚した際には、球団は本人の謝罪文を出しただけで処分内容は発表せず。直後の完封勝利でお立ち台に上がった西勇がざんげする異例の形を取ったものの、自分の行動の何が問題だったか、十分に理解したうえでの反省とは思えない。

 なぜなら、その後も甲子園内の感染防止策を公然と無視し続けているからだ。クラブハウス内の関係者食堂は十分な距離が確保できないため、現在は球場内の別の施設で食事を提供している。ところが、チーム関係者は「ナイター、デーゲームともに西は昼食の弁当を(クラブハウス内)ロッカーでほおばっている」と証言。本人の自覚のなさも問題だが、それを誰も注意せず野放しにしている球団の危機管理意識の低さは末期的だ。

 チームトップ9勝のエースは腫れ物扱い。矢野燿大監督(51)が夏場の広島遠征中、選手らと内規の上限を超える人数で会食していたことが本紙報道で明らかになっても、球団が「事前に許可していた」と不問にしたのと同じ構図だ。ここまで阪神の不祥事への対応を見る限り、感染者が出たら厳罰という最悪の形を取り続けている。

 信賞必罰がなされないチームは統制を失い、この日も悪夢のサヨナラ負けで3連敗。その責任を指揮官に求めているだけでは、再浮上の見込みはない。(山戸英州)