子どもたちの間で、オンラインゲームを巡るトラブルが広がっている。親のクレジットカードを勝手に使って高額な支払いをしたり、ゲーム内でのやりとりがけんかにつながったり。9月には、同級生に暴行してけがをさせたとして男子中学生が逮捕される事件も起きた。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う一斉休校などの影響で、保護者からの相談も増加している。

 9月上旬、福岡県の男子中学生(15)が同級生を通学路で待ち伏せし、顔を十数回平手打ちするなどし、顔面打撲などのけがをさせたとして傷害容疑で同県警に逮捕された。

 男子中学生は「バトルロワイヤル」というジャンルのスマートフォン用オンラインゲームにのめり込んでいた。参加者同士が無人島で戦って生き残りを目指すゲームで、他の参加者と会話をしながら遊べ、有料のアイテムを手に入れるとキャラクターが強くなる。

 捜査関係者によると、男子中学生が育てたキャラクターを、同級生が使ったことでトラブルに発展した。男子中学生はほかに親から現金を盗んだり、別の同級生に現金を払わせたりする非行を繰り返し、30万円以上を支払っていたという。

 バトルロワイヤルゲームは近年、子どもたちの間で流行。会員制交流サイト(SNS)のようにメッセージをやりとりできる機能もあり、昨年12月には福岡県の中学生が大麻購入の勧誘を受けたことが明らかに。未成年がゲームで知り合った大人から性犯罪に遭う事件も各地で起きている。

 同県那珂川市の那珂川北中(約480人)では今年8月、校区内の小学校で児童同士が悪口を言い合うなどの問題が起きたことを受け、全生徒を対象に二つのバトルロワイヤルゲームの使用実態を調査。その結果、生徒の約3分の1が遊んでいることが判明した。

 親に内緒で8万円を支払ったケースもあり、利用の際の注意点を校内放送した。古沢裕二校長は「ゲームを通じていじめが起きたり、知らない人と出会ったりする問題につながらないか心配だ」と懸念する。

 国民生活センターによると、小中学生のオンラインゲームに関する相談は2020年度(10月14日現在)は1374件に上り、前年同期比で414件増えている。子どもの高額な支払いに関する保護者の相談が多いという。センターは「新型コロナの一斉休校が、子どもがオンラインゲームに没頭する一因になった」とみる。

(古川大二)

高い依存性、現実からの逃げ場に

 ゲーム依存に詳しい国立病院機構久里浜医療センター(神奈川県横須賀市)の樋口進院長によると、オンラインゲームの中でも、他人と競い合う要素があるバトルロワイヤルゲームは依存性が高く、センターを訪れる患者にも利用者が多い。特に、子どもは脳が発達途上で衝動へのコントロールができず、成人よりゲームに依存しやすいという。

 樋口院長は「ゲームが、現実の世界でうまくいかない子たちの逃げ場になっている側面がある」と懸念。ゲームを含めインターネット依存に対応できる医療機関は全国に約90施設しかないといい、「軽い症状の子にスクールカウンセラーが助言ができるようにするなど、相談体制を整える必要がある」と訴える。

 未成年のネットトラブルに詳しい全国ICTカウンセラー協会(東京都)の安川雅史代表理事は「単にゲームを禁止するのではなく、大人がゲームをやってみて面白さや問題点を理解するべきだ。その上で、家庭や学校で子どもたちも交え、利用時間などのルールを話し合うことが望ましい」と提言する。