会場を彩るフェアレディZたち

 毎月第2日曜日に東京・渋谷にある代官山蔦屋書店で行われている「代官山モーニングクルーズ」。朝7時から10時まで、毎月設けられたテーマ企画に沿ったクルマたちが集結するイベントで、オーナーたちの交流の場としての人気が高まっている。2020年は新型コロナウイルスの影響で、中止が続いてきたが、9月から感染防止対策をとりながら行われている。

 通常はテーマ車以外のクルマも参加することができるが、今回は車種を特定したスペシャルテーマでの開催となった。10月のテーマは「フェアレディZ」。9月16日にプロトタイプの発表がなされた新型の日産フェアレディZの登場を記念した特別版だ。

 台風14号が日本に接近することが騒がれていたなか、クルマ好きのあいだでは今回のモーニングクルーズが話題となっていた。その理由は、先日発表された日産「フェアレディZプロトタイプ」の特別展示が行われるということにある。

 イベント当日、事前申込みに見事当選した歴代フェアレディZのオーナーたちが続々と入場してきた。古くは1969年に登場した初代フェアレディZ(S30)をはじめ、S130型、Z31型、Z32型、Z33型、Z34型がズラリと並ぶ姿は圧巻。あいにくの雨模様にもかかわらず、参加したオーナー同志の会話が弾んでいたのが印象的だった。

 台風の進路がそれたこともあり、荒天は免れたものの、霧雨となった空模様にも関わらず、情報を聞きつけかけつけてきた一般の来場者も、アンベールされたフェアレディZプロトタイプに熱い視線を送る。

 旧いモデルを見て昔話に華を咲かせ懐かしむ方もいれば、歴代モデルをじっくり見てから新型フェアレディZのプロトタイプとデザインの比較をするなど、思い思いの時間を楽しんでいた。

 そこで実際に実車をみたオーナーに新型フェアレディZプロトタイプの印象を尋ねてみた。

オーナーの厳しい目で見ても新型はアリ!

 1972年式のフェアレディ240ZGを20年以上所有する秋吉さんは「もう少しサイドの厚みがなくなると良い気がするのですが、それでも前と後ろから見た姿は格好良いですよね。今は240ZGが可愛いので買う予定はないです」と答えてくれた。ちなみに、1度レストアを行ったという秋吉さんの240ZGをグルリと一周拝見したが、リヤの下まわりを覗くと塗装の剥がれもなく新車のような輝きを放っていた。

 22歳の時に手に入れたというS130Zを所有する29歳の高見沢さんは「昔らしいデザインとZ34が上手く融合されたシルエットがいいですね。リヤも130Zのショートデッキのような雰囲気がありますね。発売されて数年経って中古価格が安定してきたら、購入をしてみたいなと思いますね」と話してくれた。

 過去にZ33のCMにも登場したことがあるという野村さんのZ31も参加した。新車から乗り続けているが、スピードメーターが壊れやすく、すでに3回も交換をしているため、現在の走行距離は不明だという。

 早速、プロトタイプの印象を尋ねると「思ったよりカッコいいですね。シルエットが昔のZに似ていていいですよね。Zは低い方がカッコいいということをあらためて感じましたね。何はともあれ、買えないけど乗ってみたいです」と話してくれた。

 ちょうど取材途中に奥様も合流してくださり女性目線でのプロトタイプの印象はと尋ねると「乗ってみたいです。ただ、フロントノーズのエンブレムはニッサンではなく、Zにして欲しかったですよね。昔はZ31を運転して息子の幼稚園までよく迎えに行っていました。そういうこともあり、また乗りたいのですが、Z31はペダルが重いので今は……。でも、新しいZが庭にあったらいいなぁと夢を描いています」と答えてくれた。

 ダークグリーンパールというレアなボディカラーのZ32に乗る遠藤さんは、「写真より現物のほうがカッコいいですよね! 横のえぐれているデザインがいいですね。ただ、リヤまわりは……。でも、昔のS30Zにもあったイエローのボディカラーを取り入れてくれたことは嬉しいですね。高校3年生の息子が凄く興味を持っていて、ニッサンパビリオンに3回も見に行ったと嬉しそうに話してくれています」。

 ちなみに、欲しいかどうか聞いてみると「様子見です(笑)。車両価格が480万円スタートなら……グッドですね」と語ってくれた。「余談ですが、トミカのフェアレディZのプロトタイプはサイドマーカーも入っていましたね」など新型に関するチェックも鋭い、フェアレディZ愛にあふれた親子だった。

 Z33オーナーの木村さんは名古屋から参加。新車から17年間所有し、その前に所有していたクルマはZ32というほどのマニアだ。「実車を見るのは初めてですが、格好良いですね。2次元で見るのと3次元で見るのは全然違いますね。全体のシルエットも良いし、斜め後ろから見るデザインがいいですね。フロントグリルも作り込まれていて、実車の造形を見ると作り込まれているなと思いました」。

 今にも予約をしそうな勢いで話す木村さんに、欲しいかどうか尋ねると「ずばり欲しいですね。値段が気になりますが、ベースグレードが300万円後半だといいなぁと思いますね」と話してくれた。

 夜中に愛知県の豊橋市を出発して参加したという柴田さんの愛車は、国内に1台しかない左ハンドルの370Zヘリテージエディション。「歴代のフェアレディZのポイントを取り入れていて、いいですよね。ボクは好きなデザインです。見た目も思った以上にコンパクトで運転したら乗りやすそうと思いました。あと、色が良いですよね。フェアレディZの生みの親でもある片山豊さんが乗っていたS30Zの黄色に似ているなと思いました。エンジンバリエーションにNAを追加して欲しいですね。」と話してくれた。

 いつの時代もZは憧れであることは間違いなさそうだ。

 会場を偶然訪れたという方にも聞いてみた。「歴代モデルの好ポイントを上手く落とし込んだなと思いますね。強いて言えば、かつての240ZGのように、もう少しフロントを長くしたら格好良いのかなと思いました(40代男性:島村さん)」。

「普通にカッコいいと思いました。GT-Rは少し尖っているイメージがありましたが、フェアレディZなら横に乗ってみたいですね(30代女性:ともみさん)」。

「子供の頃に憧れましたね。まだプロトタイプと言うことですが、カッコいいと思いました。今はSUVとクラシックミニに乗っていますが、あらためてスポーツカーも良いかな?(50代男性:木崎さん)」。

「デートに乗ってきてくれたら嬉しいですね。(20代女性:ちえこさん)」という印象を語ってくれた。

 発表日の翌日から横浜みなとみらい21地区にある「ニッサンパビリオン」に10月4日まで展示されていたプロトタイプ。なお、フェアレディZのプロトタイプは、今後アメリカに持って行くことが決まっており、代官山のT-SITEで見られて幸運だとの声も上がっていた。