マニアと味わう「ご当地カップ麺」の世界第四十回 「うまさぎっしり新潟」シリーズ 文・写真:オサーン

カップ麺ブロガーのオサーンです。「ご当地カップ麺」をレビューする連載の第四十回目は、新潟県のみで販売されているエースコックのカップ麺、「うまさぎっしり新潟」シリーズの3商品をご紹介します。

エースコック「うまさぎっしり新潟」の3商品

新潟のご当地ラーメンをカップ麺で再現

新潟のご土地ラーメンと言えば、「燕三条系」と呼ばれる背脂煮干ラーメンや、長岡の生姜醤油ラーメンなどが有名で、それぞれカップ麺にもなっています。面積の広さや南北に長いことが影響してか、実はそれ以外にも数多くのご当地ラーメンが存在しており、広くラーメンが愛されていることがわかります。

「うまさぎっしり新潟」シリーズは、そんな新潟のご当地ラーメンをカップ麺で再現した商品で、「三条カレーラーメン」、「妙高とん汁ラーメン」、そして「新潟麻婆麺」が再現されています。

新潟観光キャンペーンキャラクターの「レルヒさん」

そもそも「うまさぎっしり新潟」は新潟の観光キャンペーンのキャッチコピーで、そのロゴがカップにも描かれています。

また、カップには新潟観光キャンペーンキャラクターである「レルヒさん」も登場。さらには、新潟県のご当地アイドル「Negicco」を広告キャラクター(応援隊)として起用しており、オール新潟体制の商品と言えるでしょう。

「R10プロジェクト」を応援

また、食料自給率向上を目的として輸入小麦の10%以上を米粉に置き換える運動、新潟県庁発の「R10プロジェクト」の応援商品でもあります。実際に麺で使われている小麦粉の10%を米粉に置き換え、スープにも米粉を使用して製造しているとのことです。

内容物を確認

内容物(上)「三条カレーラーメン」、(左)「妙高とん汁ラーメン」、(右)「新潟麻婆麺」

3商品とも定価税別193円で「カップヌードル」などと同じ価格設定ですが、それらに比べるとだいぶ具は少なめ。三条カレーラーメンと妙高とん汁ラーメンには玉ねぎが、妙高とん汁ラーメンと新潟麻婆麺には豆腐が共通して入っています。

麻婆ラーメンのみ、別添の「液体スープ」が入っており、その分具が少なくなっているようです。

米粉入りの麺

「うまさぎっしり新潟」シリーズでは、小麦粉10%を米粉に置き換えた麺を用いることで、米どころ新潟の強みを活かしています。麺だけではなく、米粉を用いたパンも多く見かけるようになり、米粉特有のしっとりずっしりした食感がとてもおいしいですよね。

米粉を使った麺(上)「三条カレーラーメン」、(左)「妙高とん汁ラーメン」、(右)「新潟麻婆麺」

3商品とも縮れのついた中細の油揚げ麺で、材料や太さなどまったく同じタイプとなっています。

米粉のずっしり感みたいなものは感じられなくもないですが、小麦粉を10%置き換えているだけなのでそれほど大きな変化は感じられず。知らなければ米粉入りには気づかないだろうレベルの自然な麺でした。

三条カレーラーメン

「うまさぎっしり新潟 うんめぇ 三条カレーラーメン」

三条市は全国のカレーラーメンの発祥の地とも言われ、北海道苫小牧&室蘭と並ぶカレーラーメンの街として知られています。市内では様々なカレーラーメンが供されており、お店によって味も見た目も千差万別のようです。

スープは、ほのかに魚介を効かせたカレースープで、ゆるやかにとろみがつけられています。

辛さはあまり強くないですが、スパイスの存在がきちんと感じられます。ちょっとあっさりめなカレースープと言えるかと思います。スープに入っている米粉は存在感ありませんでした。

ポテト、玉ねぎ、大豆そぼろなどが入っている

具は、ポテト、玉ねぎ、大豆そぼろ、ニンジンなどが入っています。ポテトは量が多くホクホクした食感で、玉ねぎは独特な風味で特に目立っていました。同じ価格帯の商品に比べると具のボリュームはあまりありません。

妙高とん汁ラーメン

「うまさぎっしり新潟 うんめぇ 妙高とん汁うどん」

妙高市で有名なとん汁専門店が、とん汁のバリエーションとして登場させたのが「とん汁ラーメン」で、ラーメンのスープ代わりにとん汁が用いられています。現在では妙高市を中心に新潟上越地方の多くのお店で供されています。

白味噌主体の白っぽいスープ。とん汁なので豚の旨みは感じられますが、それよりも少し甘めな味噌味の中で、米粉のコクが強く感じられました。3品のスープで最も米粉の存在感があります。米どころ新潟らしいスープと言えるでしょう。

豚肉、豆腐、玉ねぎなどが入っている

豚肉や豆腐、ねぎといったとん汁らしい具に加え、玉ねぎが入っているのが特徴的。玉ねぎの風味が、甘みや米粉のコクがあるスープの中でとても映えていました。

豚肉や豆腐がしっかり入っているので、具は今回の3品で最も充実しているように感じました。

新潟麻婆麺

「うまさぎっしり新潟 うんめぇ 新潟麻婆麺」

新潟麻婆麺は、新潟市の中華店発祥で、今は新潟県の全域で供される歴史の長いご当地ラーメン。一般的なラーメンに麻婆豆腐をかけたタイプが多く、中には猛烈に辛いものもあるようです。

今回のスープはそこまで辛いわけではなく、豆板醤などの辛味はせいぜいピリ辛程度。花椒のシビレもあまり強くありませんが、食べ進めていくうちに舌に蓄積されていき、徐々にジンジンとシビレるようになってきます。

とろみはあまり強くない

麻婆豆腐なのでとろみがつけられていますが、一般的な麻婆豆腐のようなとろみはなく、あまり麻婆豆腐らしくはありません。この商品に限らず、カップ麺の麻婆麺で麻婆豆腐らしいとろみがしっかりついているものはあまり多くありません。

とろみ成分にコストを割かれたのか、具は3品の中で最も少ないです。麻婆豆腐なので豆腐はもっと欲しかったですが、上の妙高とん汁ラーメンよりも少なかったです。

新潟らしさを楽しめる一杯

新潟のご当地ラーメンに焦点を当てた「うまさぎっしり新潟」3品を食べてきました。新潟のご当地ラーメンの味に触れられるのと同時に、お米を使った麺やスープ、Negiccoの広告起用、R10プロジェクトの参加など、新潟の塊のような商品でした。

新潟以外では手に入り難い商品ですが、他に出ている燕三条系背脂煮干ラーメンや長岡生姜醤油ラーメンのカップ麺と並べて食べてみると、より新潟を楽しめるのではないかと思います。

筆者:オサーンカップ麺ブロガー。十数年前に出会った「日清麺職人」のおいしさに感激したことがきっかけでブログを開設。「カップ麺をひたすら食いまくるブログ」で毎週発売される新商品を食べて毎日レビューしています。豚骨スープとノンフライ麺の組み合わせがお気に入りですが、実はスープにごはんを入れて食べるのが最も至福の時です。Twitter(@ossern)