連続テレビ小説「エール」第38話。裕一(窪田正孝)が作曲した交響曲「反逆の詩」の楽譜に目を通し「で?」と冷たくあしらう小山田(志村けんさん・右)(C)NHK

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 今年3月29日に新型コロナウイルスによる肺炎のため亡くなったコメディアンの志村けんさん(享年70)が1日に放送されたNHK連続テレビ小説「エール」(月〜土曜前8・00、土曜は1週間振り返り)第79話に登場。これが最後の出演となった。番組公式ツイッターで「裕一が幼き頃から憧れ続けた、偉大な作曲家・小山田を演じた志村さん。この日が最後の登場となりました。ありがとうございました」と発表された。圧倒的な存在感を放ち続けてきた志村さんの熱演の見納めに、インターネット上には惜別と感謝の声が相次いだ。

 SNS上には「志村さん、今日が最後だったんですね…。小山田役は志村さんしか考えられないです。渋い演技と存在感。ありがとうございました」「まだあるんだ、まだあるんだって登場するたびに俳優・志村さんが見られてワクワクしていました。この日が最後だなんて。もっと見たかったです」「まだいなくなってしまった気がしません。みんなの心に生き続けます」などの書き込みが続出した。

 志村さんは第73話(9月23日)以来、6話ぶり10回目の出演(回想を除く)。NHKによると、この日放送されたシーンの収録は3月上旬に行われた。

 俳優の窪田正孝(32)が主演を務める朝ドラ通算102作目。男性主演は2014年後期「マッサン」の玉山鉄二(40)以来、約6年ぶり。モデルは全国高等学校野球選手権大会の歌「栄冠は君に輝く」などで知られ、昭和の音楽史を代表する作曲家・古関裕而(こせき・ゆうじ)氏(1909―1989)と、妻で歌手としても活躍した金子(きんこ)氏。昭和という激動の時代を舞台に、人々の心に寄り添う曲の数々を生み出した作曲家・古山裕一(窪田)と妻・関内音(二階堂ふみ)の夫婦愛を描く。

 志村さんは朝ドラはもちろん、最初で最後のドラマ出演。主人公に大きな影響を与える日本作曲界の重鎮・小山田耕三を演じた。台詞は多くないものの、その佇まいや眼力で圧倒的な存在感を示し、反響を呼び続けた志村さんの熱演を振り返る。

 志村さんの出演シーンは、初登場の第25話(5月1日)がラスト約1分。秘書・猿橋(川島潤哉)から裕一の演奏会成功と国際作曲コンクール入賞の快挙を知らされ「(新聞を手に取り)(裕一が)本物か、まがい物か、楽しみだね(新聞を机に投げ置く)(つづく)」。第28話(5月6日)もラスト約50秒。コロンブスレコードのディレクター・廿日市(古田新太)を呼び出し「君のところでな、(裕一を)契約してほしいんだよ(つづく)」。志村さんのセリフが連続して朝の15分を締めた。第34話(5月14日)も、中盤の音との絡みに続き、ラスト約20秒に登場。セリフはなかったものの、コロンブスレコードのサロンで偶然、初対面した裕一に視線を向ける顔のアップで「つづく」。登場3回連続でドラマを締める“8時14分の男”となった。

 第35話(5月15日)はタイトルバック明けに約2分。裕一が意を決して小山田に話し掛けると、小山田は「古山君。赤レーベル(流行歌)では、どんな曲を出したのかな?君は赤レーベル専属の作曲家だよね?ん?」と“塩対応”。その威圧感と風格がSNS上で話題となった。

 第37話(5月19日)は再び午前8時14分に約20秒。小山田の部屋。裕一が3日3晩徹夜して書き上げた楽譜を読み終え、裕一の顔を見る小山田。その反応をうかがい、緊張の面持ちの裕一の姿で「つづく」となった。

 第38話(5月20日)はタイトルバックの前、冒頭に約35秒。第37話の続きで、裕一が「最高傑作かもしれない」と持ってきた交響曲「反逆の詩」の譜面に目を通した小山田は「ふふっ」と薄笑いを浮かべ「で?」と目もくれず。立ち上がり、裕一に楽譜を戻して秘書とともに自室を去った。